田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)というと世界的なIT巨人として知られる企業です。そのため驚異的な株価の成長ぶりも相まって繁栄の象徴のように見られている感もあります。GAFAを構成する4企業の上場している市場が米国の新興企業市場ナスダック(NASDAQ)です。

GAFA以外にも多くの成長企業が上場しているナスダックだけに「ナスダックの成長力を資産運用に役立てたい」と考える人がいても不思議ではありません。特に高所得者や富裕層の人であればなおさらでしょう。そこで当記事では、このナスダックに投資する方法を紹介しつつナスダックの成長力を資産運用に結び付ける方法を解説します。

GAFAだけではない、圧倒的な強さを見せつけるナスダック市場

私たちの生活で身近な存在なため、GAFAばかりに注目が集まりがちです。しかしナスダックには他にもインテルやマイクロソフト、テスラ(大手電気自動車メーカー)、コストコ、ネットフリックスといったおなじみの企業がずらりと並んでいます。それ以外にもクリエイター御用達のアドビやオートデスクなどナスダックの上場銘柄には成長力を感じさせる企業が多くあります。

それを反映するかのようにナスダックの有力な100銘柄を集めた「ナスダック100」という指数の推移からは驚異的な成長力を感じます。

GAFAも上場、最強の市場ともいわれるナスダックに投資する3つの方法

(画像=出典:トウシル)

指数設定直後の1986年には100ポイント台だったナスダック100指数ですが、2021年初頭には1万3,000ポイントをうかがう水準です。この時点ですでに、12倍程度の成長をしていることになります。しかしナスダック100には成長余地の大きなベンチャー企業が多く含まれているため、今後もさらなる上昇を期待する声もあるのです。

ナスダックは、成長性だけでなく逆境に強いことでも知られています。チャートを見ると2008年後半のリーマンショックや2020年3月のコロナショックでは一時的に下げているのが見て取れるでしょう。しかしその後は何もなかったかのように上昇トレンドを再開して現在にいたります。他の株価指数が回復に時間を要したのを尻目にナスダックだけが驚異的な回復を見せました。

そのため多くの市場関係者は、ナスダックの実力を見せつけられた形となりました。

ナスダック市場が圧倒的に強い3つの理由

ナスダックの強さの主な理由は、以下の3つです。ナスダックへの投資を検討している人は、理由もしっかりとマスターしておいてください。

1.ベンチャー精神のあふれる米国の経済風土

米国には、ベンチャー企業が成長しやすい経済風土があります。前例がないことに対して日本ではリスクばかりがクローズアップされがちですが、米国では前例がないからこそビジネスチャンスがあると捉える起業家が多い傾向にあります。

こうした意欲ある起業家が資金調達をしやすい環境があるため、今後もGAFAのような企業が勃興してくる可能性はおおいにあるといえるでしょう。

2.ストックオプションと自社株買いによる利害の一致

米国企業の成長力を生み出している要因の一つにストックオプションが挙げられます。ストックオプションとは、ストック(株式)を購入する権利(オプション)のことです。ストックオプションを得た社員や役員には、あらかじめ約束された価格で自社の株を購入する権利が与えられます。この価格は、優遇された安い価格となることが多い傾向です。

ストックオプションを得た社員は、自社株が高値になればなるほど権利を行使して購入する価格との差が大きくなるため、多くの利益を手にすることができます。米国では、ベンチャー企業の多くがストックオプションを付与する傾向があるため、この権利を得た人は自社株が高値になるように働くモチベーションとなるでしょう。

有能な人がストックオプションを条件に迎え入れられ、企業の成長のために努力することで業績が向上すれば株価の成長要因になります。また米国には、業績好調な企業が配当負担を減らす目的もあって公開している自社株を買い入れる傾向です。つまり業績が好調になると「自社株買いに充てるのではないか」との思惑が流れるため、これも投資家からの買いを誘発します。

3.株価上昇と旺盛な投資意欲の好循環

上場企業にとっての株価上昇は、追い風です。資金調達がしやすくなるだけでなく調達コストも安くなります。株価上昇による恩恵を受けた企業は、積極的な投資をしやすくなるため、さらなる業績の向上につながることが期待できるのです。この好循環が最も顕著に表れているのが、ナスダックに上場しているベンチャー企業群といってよいでしょう。

ナスダック市場に投資する3つの方法

長らく好調を維持し「最強の市場」ともいわれるナスダックそのものに投資をする方法は、主に3つあります。それぞれに特徴があるので投資の参考にしてください。

1.日本に上場しているナスダック100指数連動ETFを購入

株価指数のナスダック100と連動するように運用されているETFがあります。ETFとは上場している投資信託のことで、上場していることから個別株と全く同じ感覚で売買が可能です。ナスダック100と連動するETFとしては米国の「QQQ」がとても有名ですが、こちらは米国に上場しているETFです。米国のETFを購入できる証券口座であればQQQを購入しても同じ効果が得られます。

しかし日本国内にもナスダック100と連動するETFが上場しているため、手軽さや日本円で購入できることなどを考えると国内版のナスダック100連動ETFのほうが初心者向きです。2021年1月現在、東証には以下の3つのナスダック100連動型ETFが上場しています。

* NEXT FUNDS NASDAQ-100R連動型上場投信<1545>
* 上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)為替ヘッジなし<2568>
* 上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)為替ヘッジあり<2569>

この3つには、それぞれに為替の取り扱いに違いがありますが、いずれも信託報酬が0.5%未満と安くETFのメリットを得やすい商品です。

2.CFDでナスダック100指数銘柄を購入

株価指数を取引する方法としてETFと並んで注目されているのがCFDです。CFDとは、さまざまな金融商品や指数などを参照原資産とする差金決済取引のことです。もちろんナスダック100を参照原資産とするCFD銘柄もあります。CFDを利用することで主に以下のようなメリットがあるため、より機動的にナスダック投資をしたい人向きです。

* レバレッジを利用することで少額の証拠金を使って大きな金額の取引が可能になる
* ナスダック市場が動いていない時間帯も含めてほぼ24時間取引ができる
* 「売り」からのエントリーであっても「買い」と同条件など

一方でレバレッジを使えることからハイリスクな面もあるため、十分な知識と資金管理が必要になります。CFDによるナスダック投資を始めるには、CFDの取り扱いがある証券会社の口座が必要です。まだそれほど数は多くありませんが、楽天証券が2021年から取り扱いを始めるなど大手証券会社にも広がりつつあるため、今後は多くなっていくかもしれません。

3.ナスダック100指数連動型の投資信託を購入

ナスダックには、投資信託経由で投資を行うことも可能です。ETFのように上場していない投資信託の中にもナスダック100と連動する銘柄があるため、こういった投資信託を購入することでナスダック全体への投資ができます。主な銘柄としては「NZAM・ベータ NASDAQ100」「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」などです。

ただし、ETFやCFDのようにリアルタイムの値動きに応じて価格が決まるわけではない点は注意が必要です。投資信託によるナスダック投資は、長期的な積み立てやストロングホールド(長期的に保有し続ける手法)などに適しています。