不動産投資
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

不動産投資を始めると「どのような税金がかかるか」について気になる人は多いのではないでしょうか。家賃収入は不動産所得に該当するため、自分で確定申告をする必要があります。不動産投資に取り組むなら不動産所得や各種税金の計算方法について理解しておくことは必須です。

課税対象となる不動産所得とは?

不動産所得とは、土地や建物などの不動産の貸し付けによって得られる所得のことです。不動産投資の場合、マンションやアパートを貸し出して家賃収入を得るため、その家賃収入は不動産所得に該当します。株式や投資信託といった金融商品は、特定口座で取引すれば利益にかかる税金は証券会社が源泉徴収して代わりに納税してくれるため、基本的に確定申告は必要ありません。

しかし不動産所得は総合課税の対象のため、給与所得や事業所得など他の所得と合計して所得税額を計算します。勤務先で年末調整を受けられる会社員であっても、不動産投資で家賃収入を得ている場合は確定申告が必要です。

不動産の売却益は「不動産所得」ではなく「譲渡所得」

不動産投資では、家賃収入だけでなく不動産の売却によって利益を得ることも可能です。帳簿価額より高い値段で売却できた場合は、帳簿価額と売却価額の差額が売却益となります。売却益は、不動産所得ではなく譲渡所得に該当し土地や建物の譲渡所得に対する税金は、分離課税として他の所得と区分して計算することが必要です。

不動産の譲渡所得は、所有期間に応じて「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に区分されます。税率(所得税・住民税)は短期譲渡所得が39.63%、長期譲渡所得が20.315%です。(復興特別所得税を含む)このように不動産所得(家賃収入)と譲渡所得(売却益)は税率や申告方法が異なるため、混同しないように注意しましょう。

不動産所得の計算方法

不動産所得の金額は、以下の算式で計算します。

  • 総収入金額-必要経費=不動産所得の金額

不動産所得を計算するには、どのような収入・支出が総収入金額・必要経費に該当するかを理解しておくことが大切です。

総収入金額に該当するもの

総収入金額は、家賃収入の他に以下のような収入も含まれます。

  • 名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するもの
  • 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
  • 共益費などの名目で受け取る電気代や水道代、掃除代など

不動産投資では、更新料や共益費を受け取ることもありますが、これらは総収入金額に含まれます。また敷金や保証金として受け取ったものであっても返還をしないものについては総収入金額に含めることが必要です。

必要経費に該当するもの

必要経費に計上できるのは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区分できるものです。具体的には、以下のような費用が該当します。

  • 固定資産税
  • 損害保険料(火災保険、地震保険など)
  • 修繕費(マンションの管理費・修繕積立金など)
  • 減価償却費

入居者に貸し出している不動産にかかる固定資産税や損害保険料、修繕費は必要経費に計上できます。また不動産の建物部分は毎年減価償却を行いますが、その減価償却費も必要経費です。上記の他にも物件管理の委託費用、借入金利子、賃貸経営でかかる振込手数料なども必要経費に計上することができます。

必要経費に該当するか判断できない場合は、税務署や税理士などの専門家に相談するといいでしょう。

不動産所得にかかる税金の種類と税額

不動産所得にかかる税金は、「所得税」と「住民税」の2つです。所得税と住民税はそれぞれ税率が異なるため、納める税額も変わってきます。

所得税

不動産所得は総合課税のため、給与所得や事業所得など他の所得金額によって所得税率は変わってきます。所得税の税率(速算表)は以下の通りです。

課税される所得金額税率控除額
1,000~194万9,000円まで5%0円
195万~329万9,000円まで10%9万7,500円
330万~694万9,000円まで0%42万7,500円
695万~899万9,000円まで23%63万6,000円
900万~1,799万9,000円まで33%153万6,000円
1,800万~3,999万9,000円まで40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000円

例えば課税される所得金額が800万円の場合、所得税額は以下のように計算できます。

  • 800万円×0.23-63万6,000円=120万4,000円

会社員の場合は、給与所得と不動産所得の合計が増えるほど所得税率も上がっていく傾向です。また2037年までの各年分については、所得税に復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)が上乗せされます。

住民税

住民税は、「所得割」と「均等割」があり所得割は給与所得などを含めた合計所得金額に対して課税されます。所得税は所得金額が増えるほど税率も上がりますが、住民税の所得割は所得金額にかかわらず一律10%です。一方、住民税の均等割は所得金額にかかわらず定額で課税され税額は自治体によって異なります。

所得税は自分で計算する必要がありますが、住民税は所得税の確定申告をすると税務署から自治体へ申告内容が自動的に送られるため、後日自治体から納付書が送られてきます。

不動産所得の確定申告方法

不動産所得の確定申告を行う場合は、必要書類を準備し所得金額や税額を正しく計算することが必要です。また、不動産投資を拡大して事業規模と認められると所得金額の計算方法が変わってきます。

不動産所得の確定申告は「確定申告書B」を使う

確定申告書には、確定申告書Aと確定申告書Bの2種類があります。確定申告書Aは、申告できる所得が給与所得や雑所得など限られており不動産所得の申告はできません。一方確定申告書Bは、所得の種類にかかわらず誰でも使用できます。不動産所得の申告を行う場合は、確定申告書Bを使いましょう。

確定申告の必要書類

不動産所得の確定申告をする際の主な必要書類は以下の通りです。

  • 源泉徴収票(給与所得がある場合)
  • 家賃の送金明細書
  • 管理費の請求書・領収書(物件管理を管理会社に委託している場合)
  • 借入金の返済予定表(融資を利用して物件を購入している場合)
  • 修繕費の見積書・請求書・領収書(修繕が発生した場合)
  • 固定資産税の通知書
  • 損害保険の証券
  • 固定資産台帳(減価償却費の内訳)

これらの書類を準備することで不動産所得の計算における総収入金額と必要経費の証明になります。また物件を購入した年度は以下の書類も必要です。

  • 不動産売買契約書
  • 売渡清算書(不動産売買の費用明細が確認できるもの)
  • 譲渡対価証明書(土地部分と建物部分の割合を証明するもの)

確定申告の時期になって慌てずに済むように必要書類は事前に準備しておきましょう。

事業規模になると税務上の特典が変わる

不動産投資が事業規模になると税務上の特典が変わるため、不動産所得の計算も変わってきます。事業として行われているかは、以下のいずれかの基準に当てはまるかどうかで判断されます。

  • 区分所有については、貸し出せる部屋がおおむね10室以上であること
  • 一棟マンション・アパートの貸し付けについては、おおむね5棟以上であること

不動産投資が事業規模と認められた場合は、以下の税務上の特典が受けられます。

税務上の特典事業規模事業規模以外
青色申告特別控除55万円(電子申告の場合は65万円)10万円
事業専従者給与(青色申告)
事業専従者控除(白色申告)
適用あり適用なし
資産損失全額を必要経費にできるその年分の不動産所得全額を必要経費にできる
貸倒損失全額を必要経費にできる回収不能に対応する所得がなかったものとして所得の計算をやり直す

特に大きいのが青色申告特別控除で電子申告(e-Taxなど)の場合は最高65万円(2020年度以降)まで所得から控除できます。

確定申告書の作成方法

自分で確定申告をする場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると簡単に申告書を作成できます。確定申告書等作成コーナーは、画面の案内に従って金額などを入力していくことで確定申告書を作成できるサービスです。作成した確定申告書はe-Taxで送信でき申告書を印刷して税務署に郵送などで提出することもできます。

また会計ソフトを利用して帳簿や確定申告書を作成することも方法の一つです。自分で確定申告書を作成するのが難しい場合は、税理士に依頼することも検討しましょう。

不動産投資にかかる税金について理解しておこう

家賃収入は不動産所得に該当するため、自分で所得金額や税額を計算して確定申告をする必要があります。不動産投資を始めるのであれば不動産所得にかかる税金の種類や計算方法についてしっかりと理解しておきましょう。

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