武岡太朗
T.S.MarketingLAB
不動産ポータルサイト運営企業でマーケティングを担当していた経験を活かし、不動産市況・業界動向・エンドユーザーのトレンドについて、各種メディアでライターとして情報発信を行うほか、不動産会社のコンサル・業務課題ソリューションなども手掛ける。

不動産投資を行うにあたって物件の選定は非常に重要です。しかし都心だけでも膨大な数の収益物件があるため「どういった基準で選定するかが分からない」という人も多いのではないでしょうか。選定基準としては、価格や設備・仕様、駅徒歩分数などの要素がありますがその一つに「マンションのブランド」も挙げることができるでしょう。

ブランドマンションは、さまざまな付加価値が価格に転嫁されるため「購入や賃借が難しいのではないか」と感じる人もいるかもしれません。しかしそれ以上に得られるメリットのほうが大きいケースがあります。この記事では、マンションブランド研究と題し三井不動産レジデンシャル株式会社が展開する「パークホームズ」シリーズを不動産投資の点から分析します。

ブランドマンションとは?

ブランドマンションとは、マンションデベロッパーそれぞれが定めたコンセプトやイメージに基づいて供給するマンションシリーズのことです。例えば株式会社大京が展開する「ライオンズマンション」などが有名でしょう。エントランスにライオンの銅像が配されているので目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

デベロッパーの中でも特に大手デベロッパーは、マンションのブランディングのために威信をかけてプロモーションやマーケティングを行い室内設備・仕様もハイクオリティなものを備えています。そのため一般消費者の人気・認知が高く資産性が維持しやすくなることから不動産投資を考えるうえでは、インカムゲイン・キャピタルゲインの両面で優位性が高いといえるでしょう。

実際、スタイルアクト株式会社が行った「売主別 中古マンション値上がり率(騰落率)ランキング2020」によると今回取り上げる三井不動産レジデンシャルは、関東で騰落率15.7%(3位)、関西で15.9%(2位)でした。他のデベロッパーと比べても高い結果となっています。

パークホームズとは?

ここからは、数あるマンションブランドの中から三井不動産レジデンシャル株式会社が供給する「パークホームズ」シリーズについて解説します。

三井不動産レジデンシャル株式会社企業情報

<三井不動産レジデンシャル株式会社企業情報>

設立 2005年12月26日
代表取締役社長 藤林 清隆
従業員数 1,877人(2020年4月1日)
資本金 400億円
事業内容 中高層住宅事業、戸建住宅事業、賃貸住宅事業、海外事業、市街地再開発事業・マンション建替え事業、販売受託事業、シニアレジデンス事業
コーポレートステートメント すまいとくらしの未来へ

三井不動産レジデンシャル株式会社は、それまで三井不動産株式会社が行っていた新築分譲事業、三井不動産販売株式会社が行っていた住宅販売事業をそれぞれ継承し2005年12月に設立。翌2006年10月に営業を開始しました。以降、全国各地で都心部のタワーマンションから郊外の低層マンションまで幅広いマンション供給を行っています。

2013年には、新築分譲マンションの事業主別供給戸数ランキングで初めて首位に立つなど新築分譲マンション領域で新たな価値の創造を続けている企業です。

三井不動産レジデンシャルのマンションブランド

三井不動産レジデンシャルが展開する一連のマンションブランドは「パークシリーズ」と呼ばれブランドコンセプトごとに分けて展開されているのが特徴です。ここでは、パークシリーズの各ブランドについて紹介します。

・パークマンション

パークマンションは、三井不動産レジデンシャルのパークシリーズの中で最も高級なマンションブランドです。日本初の超高層マンション「三田綱町パーク・マンション」を筆頭に麻布や田園調布といった一等地で展開されていることが特徴となっています。立地の良さに加えて外観から内装に至るまで先進性の高さと品格を備えた設えが印象的なものが多い傾向です。

なかでも2000年に竣工した「麻布霞町パークマンション」は分譲マンションとしては初のグッドデザイン賞を受賞するなど高い評価を得ました。

・パークタワー

三井不動産レジデンシャル株式会社が展開するタワーマンションシリーズです。タワーマンションのメリットを活かしながらそのエリアの象徴となるロケーションに立地している物件が多いことが特徴です。「青山に森を創る」をテーマに敷地の多くを緑地にするなどしてグッドデザイン賞を受賞した「青山パークタワー」はその中でも特に象徴的な物件といえるでしょう。

・パークコート

パークコートは、都市型ハイグレードがコンセプトのブランドで都市部の交通利便性を確保しつつ緑豊かな居住環境を提供しているのが特徴です。東京都の分譲マンションで初の長期優良住宅に認定された「パークコート六本木ヒルトップ」や国土交通大臣賞を受賞した「パークコート二子玉川」などが代表物件です。

・パークホームズ

パークホームズは、三井不動産レジデンシャルが最も多く供給しているものでパークシリーズの中ではスタンダートといえるブランドです。スタンダードとはいえ三井不動産レジデンシャル株式会社独自の厳しい品質基準をクリアしたマンションのため、高い基本性能を有していることには変わりはありません。

なかでも「パークホームズ等々力レジデンススクエア」は、国土交通省の「住宅・建築物省CO2推進モデル事業」に採択されるなど、環境問題への先進的な取り組みも注目されています。

・パークシティ

パークシティは、その名の通りマンションだけではなく大規模再開発も含めた街づくりから構想し住環境を創造していくことがコンセプトです。「パークシティ柏の葉キャンパス一番街」「アーバンドック パークシティ豊洲」などは、広大な土地を取得・開発し、管理まで行う三井不動産グループ全体の総合力がフルに発揮されたプロジェクトとなっています。

・パークリュクス

パークリュクスは、単身・DINKS世帯向けに都心部で展開しているブランドで他のブランドに比べてコンパクトなことが特徴です。立地も都心部での展開が多くセキュリティを確保した安心安全な都市生活の実現を支える実用性の高い仕様・設備を備えたブランドとなっています。

三井不動産グループの総合力

三井不動産グループでは、マンションの企画・分譲・管理・リフォームなどをグループ内で行っており分譲マンションの管理は同グループの三井不動産レジデンシャルサービス株式会社が行っています。同社は、入居者および管理組合の対応などを24時間365日体制で行っているほか物件所有者・入居者向けサービスとして「三井の住まいLOOP」を展開するなど入居者の満足度が高い管理体制を構築。

同サービスは、家事代行やハウスクリーニング・リフォームといった住まい関連のアフターフォローに加えて三井不動産グループのさまざまな優待サービスの提供など入居者の満足度を高める施策を行っています。新築マンションの企画・分譲から中古住宅の仲介、リフォームや賃貸まで住まいのニーズ・ウォンツに幅広く対応してきたからこそできる入居者サービスといえるでしょう。

このような総合力が「同社物件の人気の高さ」「入居率が高いこと」の理由の一つといえそうです。

リスクを抑えたブランドマンションで安定収入

ここまで三井不動産レジデンシャル株式会社「パークホームズ」シリーズを不動産投資の観点から検証・分析してきました。昔から「マンションは管理を買え」とよくいわれますが清掃や修繕・入居者管理・管理組合の運営などがしっかりと行われていることで入居者の満足度が向上し安定的な賃料収入を得る基盤となります。

リスクを低く抑えつつ将来的に家賃収入を見込める不動産投資を目指すのであればブランドマンションへの投資を検討してみるのも一つの方法といえるでしょう。