マンション経営などを行った場合、物件の破損や劣化、入居者のニーズの変化などから空室率が高まる可能性が懸念されます。高い入居率を維持するために求められるのが必要に応じた物件のリフォームです。今回の記事では、不動産投資でリフォームを行うべきタイミング・箇所・費用に関して解説します。物件のリフォームに関して不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください。

不動産投資における内装リフォームについて

壁のクロスやフローリング、水まわりなど物件の内装部分でリフォームが必要になる箇所はたくさんあります。リフォームといっても全体的に実施するのではなく「部分的に行う場合もある」と認識しておきましょう。

内装リフォームのタイミングとは?

投資目的で物件を所有している場合、内装をリフォームするタイミングとしては以下の2種類があります。

・ 築10年が経過したとき
・ 退去者が出たとき

一般的に築10年は、内装リフォームを行うのに適切なタイミングとなります。なぜならキッチンやバス、トイレなど物件に備え付けられた設備は長くても約10年で保証期間がきれるからです。しかし入居者がいる状態では当然リフォームが行えませんので当然退去のタイミングで行うことになります。空室が発生するとクロスの張り替えやクリーニングなど原状回復が必要です。

築10年以上経過した物件では、同時に大幅なリフォームを行う可能性も想定して資金繰りを行いましょう。次の入居者が入ってしまうとリフォームを実施できるのは、さらに数年後となってしまうかもしれないため、適切なタイミングを見極めることが大切です。

内装リフォームにかかる費用

リフォーム箇所の状態や広さによっても値段は変わりますが賃貸マンションを全面リフォームした場合、約100万~400万円の予算が必要です。部分的にリフォームを行う場合、施工箇所ごとの相場感は以下のようになります。

<内装リフォームの相場感>
キッチン:30万~120万円
浴室:60万~100万円
トイレ:20万~40万円
リビング:~100万円

不動産投資における外装リフォームについて

内装部分以外にもオーナーとして物件の外装部分までリフォームをしなければならないケースもあります。外装部分の状態は、外側から見た物件の印象を左右する非常に重要なポイントです。物件の外観をきれいに保てば入居者の満足度向上や空室対策につながることも期待できます。建物の外壁は、毎日雨風にさらされているため、次第にひび割れや塗装のはげが起こります。

屋根などの目に見えない部分も次第に傷んでいくため、放置したままにしておくと漏水被害などのリスクが高まるでしょう。

外装リフォームのタイミングとは?

外装のリフォームを適正時期としては、築10~15年ほど経過したタイミングとなります。外装リフォームは外で行うため、内装リフォーム以上に季節が重要です。外壁などを塗装する場合、日照時間や空気の乾燥具合によって塗料の乾きやすさも変わるため「3~5月の春の時期」「9~11月の秋の時期」を中心に発注を行いましょう。

ただし地域によっては上記の法則が当てはまらない場合もあります。また築10年未満の物件でも外壁にはがれなどが生じていた場合は適宜リフォームを施すなど柔軟な対応が必要です。

外装リフォームにかかる費用

外装リフォームで行うのは、主に外壁・屋根の修繕や塗装になるでしょう。外装リフォームでは、人件費や塗料代以外にも足場設置や養生費用が発生します。その他にも使用する塗料の種類によって耐用年数と値段が変化することも忘れてはいけません。仮に一戸建ての外壁をリフォームした場合、値段は50万~150万円ほどが相場です。

リフォームを行う物件がマンションの場合は、階数によって値段が変動します。マンションの総面積によっても変動しますが3階建ての場合約130万~410万円、7階以上となると1,000万円を超えてくるケースもあります。

不動産投資でリフォームを成功させるポイント

不動産投資でリフォームに失敗しないためにすでにご紹介したリフォームの適正時期に加え以下の要素も把握しておきましょう。

・リフォーム後の利回りをシミュレーションしておく
・リフォームにどのような工程で行われるのか把握しておく
・複数社から見積もりを取るようにする

以下よりそれぞれ個別に解説します。

リフォーム後の利回りをシミュレーションしておく

不動産投資を始めるにあたって利回りの算出を行いますが、リフォームを行う場合、リフォーム後の実質利回りを再計算する必要があります。リフォーム費用も加味した利回りの計算式は、以下の通りです。

・リフォーム後の実質利回り=(リフォーム後の賃貸収入 – 家賃収入の総額)× 12ヵ月 ÷ 物件の購入費用

物件のリフォームを行うと不動産投資における支出がそれだけ増加する点はデメリットです。しかし物件価値の回復に成功すれば「さらに高い家賃を設定できる」「売却時の価格が高くなる」などのメリットが発生します。そのため利回りに関してもリフォーム実施前と同じ、あるいはそれ以上の高利回りになる可能性も十分に考えられます。

リフォームを行った結果、収支が悪化しないよう物件のリフォームによる収益性が見込めるかどうか、慎重に見極めましょう。

リフォームにどのような工程で行われるのか把握しておく

物件のリフォームは、施工箇所によって必要な期間が変わります。内装の場合、工事をしている期間は空室状態となるため、家賃収入が発生しません。リフォームが終わり次第入居者に入って貰うためにもリフォームにどの程度の時間を要するのか、あらかじめ把握しておく必要があります。リフォームを行う箇所ごとの必要日数の目安は以下の通りです。

<施工箇所ごとのリフォームに必要な期間の目安>
キッチン:5~6日
浴室:4~5日
トイレ:3~4日
リビング:3~4日(壁紙の張り替えだけなら1~2日)

複数社から見積もりを取るようにする

リフォーム費用をなるべく抑えるために複数社に見積もりを依頼する「相見積もり」も行いましょう。複数の業者に見積もりを依頼すれば価格やサービス内容を比較検討でき不当な値段で請求されるリスクも下げられます。相見積もりを取る際には、すべての業者に同じ条件で見積もりを依頼するようにしましょう。

不動産投資におけるリフォームは、空室に期間をなるべく減らすために施工完了までの時間も重要な要素となります。各社の担当者がどのくらいのスピード感でレスポンスを返してくれるのかについても注目しましょう。

リフォームは改装後の収益性を想定して実施しよう

不動産投資におけるリフォームは、築10年前後たった物件に対して行うのが一般的です。予算はおおよそ数十万円から場合によっては数百万円程度必要になります。そのためリフォームを考えているなら、退去者が出たタイミングで迅速に行えるようにあらかじめ計画を立てておくことが必要です。リフォームの期間が長くなってしまうとその分の家賃収入も下がってしまいます。

リフォーム後の利回りについても概算し収支が悪化しないよう適切なタイミングで効果的な箇所にリフォームを行いましょう。