物件オーナーが知っておくべき退去から次の入居までにかかる費用
(画像=maglara/stock.adobe.com)

不動産投資には、不動産賃貸業という経営的な側面があるため、株式や投資信託といったペーパーアセットへの投資よりも多くの固定費、変動費が発生する傾向にあります。変動費の中でも入退去費用は、突発的に発生するだけでなく発生頻度が予測できない費用のため、退去者の入居年数や室内の使い方によって費用が大きく変動する可能性があります。

入退去費用が大きく上振れしてしまうと資金計画に狂いが生じ、最悪の場合事業破綻にいたってしまう可能性もあるため、変動要因を加味して資金計画に組み入れておくと良いでしょう。本記事では、入退去費用の項目および変動要因、各費用の資金計画への組み入れ方について解説します。

入退去費用の項目

賃貸住宅の場合「ワンルームマンション」「ファミリータイプのマンション」「戸建住宅」「1棟アパート」のいずれにおいても入退去にかかる費用は、一般的に大きく以下4種類の項目に大別されます。

  • 原状回復工事費
  • ルームクリーニング費
  • 設備交換費
  • 入居者募集費用

原状回復工事費

原状回復工事とは、退去者が入居期間に室内を使用したことによる損耗を復旧する工事のことです。具体的な項目には、フローリング(床材)やクロス(壁紙)の張り替え工事または傷や家具跡等の補修、巾木やコーキングの補修といった項目があります。

ルームクリーニング費

ルームクリーニングとは、住戸内のクリーニング作業のことです。具体的な項目には、エアコン(室内機および室外機)クリーニング、床面汚れのクリーニングおよびワックスがけ、換気扇クリーニングといった項目があります。

設備交換費

設備交換とは、経年劣化によって定期的に交換が必要なエアコンや給湯器を交換する作業のことです。設備交換費は、入居者が入れ替わるたびに必ず発生するものではありません。しかし設備自体が高額商品のため、1回あたりの交換にかかる費用(本体費用および工事費用等)は高額になる可能性があります。

入居者募集費用

入居者募集費用とは、次の入居者を見つけるために要する費用の総称です。具体的には、入居者を見つけた賃貸仲介業者に対して成功報酬として支払う「AD:advertisement」や「広告料」ともいわれる費用、賃貸管理会社に対して契約書の作成や入居審査等の手数料として支払う「契約事務手数料」といった項目が挙げられます。

入退去費用が変動する5つの要因

入退去費用には、おおよその目安となる相場があるものもありますが、以下5つの要因によって高くも安くも変動することがあります。

  • 間取りおよび面積
  • 退去者の入居期間
  • 入居者負担割合
  • 設備交換の有無
  • 入退去の発生時期

間取りおよび面積

間取りとは「1K」や「3LDK」といった室内の部屋数および作りのことで、室内の面積はおおむね間取りに対応して広くなるのが一般的です。部屋数が多かったり室内の面積が広かったりする物件は、設置されている設備や工事、清掃の項目が多くなりやすいため、原状回復工事費・ルームクリーニング費・設備交換費が高くなる傾向があります。

入居者募集費用は「成約賃料の◯ヵ月分」といった報酬形態になっている場合が多くワンルームマンションよりもファミリータイプマンションや戸建住宅などのほうが1件当たりの賃料が高いため、入居者募集費用も高額になりやすいでしょう。

退去者の入居期間

退去者の入居期間が長いほど設備の劣化や損耗が進行したり水あかや汚れが付きやすかったりするため、原状回復工事費およびルームクリーニング費が高くなるのが一般的です。例えば20平方メートル以下の狭小ワンルームマンションであっても入居期間が長ければファミリータイプマンションや戸建住宅と同等以上の退去費用が発生することも想定されます。

入居者負担割合

退去費用は、オーナーと退去者とで項目ごとに費用負担を分けるのが原則です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると原状回復の定義は以下のようになっています。

(1)原状回復とは
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
⇒ 原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化
引用:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より

そのためオーナーと退去者との費用負担は、上記の場合は退去者負担、それ以外はオーナー負担となります。退去者に費用負担を求められる一例としては「退去者が喫煙でつけた床のこげ跡」「喫煙に伴うクロスの変色」「ペット飼育によって傷や臭いが付いた」などです。ただし入居前に取り交わす賃貸契約書上にルームクリーニング費を退去者の負担とする内容の条項がある場合は、ルームクリーニング費を退去者に請求できるケースもあります。

退去時のルームクリーニング費のオーナー負担額を軽減するため、新規入居者と契約する際には、ルームクリーニング費を退去者の負担とする内容の条項を賃貸契約書に入れておくのも選択肢の一つです。

設備交換の有無

エアコンや給湯器などの設備交換費は、入居者が入れ替わるたびに必ず発生するものではありません。各設備の経年劣化の状況や目安とされている耐用年数等の要素を勘案して「交換する必要があるか否か」を判断するのが一般的です。エアコンも給湯器も10年に一度の頻度での交換が一般的な目安とされていますが「故障や不具合の発生によって必要に迫られてから交換を検討する」という考え方もできます。

エアコンや給湯器が故障または不具合を起こして使えなくなると入居者の生活に重大な支障を及ぼしかねません。そのため前回交換時から10年が経過したタイミングで交換を考えるのが得策です。

入退去の発生時期

入退去の発生時期によっては、原状回復工事の作業費や入居者募集にかかる費用(特に「AD」)が変動する可能性があります。賃貸住宅市場において1~3月および9~10月は就職や転勤、進学などで入退去が重なることから繁忙期となり7~8月および11~12月は閑散期となるのが一般的です。

・繁忙期
工事件数が増えて工事業者が忙しく手が回らなくなる時期のため、原状回復工事における出張費などの作業費が高くなることがあります。

・閑散期
賃貸住宅を探す客層が減少する傾向です。通常時よりも強く賃貸仲介業者に訴求するために成約報酬を高く設定する必要に迫られることも想定されます。

入退去費用を資金計画に組み入れる方法

入退去費用は、突発的に発生するうえに発生頻度が予測できない費用です。そのため資金ショートを起こさないように、あらかじめ資金計画に組み込んでおく必要があります。入退去費用を資金計画に組み入れる際は、以下のような各項目の発生頻度や発生する可能性がある費用を不動産投資のキャッシュフローの中から積立金として確保しておくことが有効な方法の一つです。

  • 原状回復工事費
  • ルームクリーニング費
  • 設備交換費
  • 入居者募集費用

原状回復工事費および入居者募集費用は、退去者の入居期間や入退去の発生時期といった要因によって上振れする可能性があります。そのため上振れを見越して余裕を持った積み立てをすることで、盤石な資金計画が期待できるでしょう。設備交換費は、各設備において直近で交換を行った時期や当該設備の耐用年数などから次回の交換時期の目安を見積もることが重要です。

不動産投資のキャッシュフローや給与収入、事業収入などの中から定期的に積み立てておくと安心です。

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