不動産投資
(画像=pormezz/stock.adobe.com)

社会人としてお金を稼ぎ始めてある程度収入が増えると、会社に提示された額面金額と、実際の手取り金額の差に疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。これは、給与から所得税、住民税、社会保険料が天引きされているからです。

日本は累進課税制度であり、所得が増加すると所得税率が上がってしまいます。また、社会保険料や住民税は、所得税と同様かそれ以上に手取り額に影響をもたらします。この記事では、収入から引かれる税金や社会保険料と、納税額を抑えるための方法を解説していきます。

所得税・社会保険料・住民税の計算方法

では、収入から所得税・社会保険料・住民税がどれくらい天引きされているのか。それぞれの計算方法を見ていきましょう。

所得税の計算方法を解説する

大まかに言うと、収入から所得税を計算する流れは以下になります。

  1. 収入から必要経費を引き、所得金額を出す
  2. 所得金額から所得控除を引き、課税所得金額を計算する
  3. 課税所得金額に税率をかけ、所得税額を出す

なお、給与所得は総合課税の対象で、計算過程で課税対象の所得(例:不動産所得や事業所得、他)と合算することで、総所得金額を計算してから所得控除を引く、という流れになります。

以下の表は、課税される所得金額ごとの所得税額計算の速算表です。

所得税の速算表(平成27年分以降)

課税される所得金額税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

出典:国税庁

上表を見ても分かる通り、課税される所得金額が大きいほど、税率は高くなっています。最高税率は45%となっており、収入が高い方ほど収入の額面金額と手取り収入のギャップが生じるということになります。このように、所得金額が多くなるにつれて税率が高くなる制度を「累進課税制度」と言います。

ここで覚えておきたいことは、収入から必要経費や所得控除等の様々なものが引かれてから課税される所得金額が計算されているということです。納税額を抑えるためには必要経費や所得控除を可能な限り計上することが大切になります。

社会保険料の計算方法を解説する。

社会保険料は所得税の計算とは違い、収入金額を基に計算していきます。会社員の方が給与から天引きされる社会保険料は以下の4つです。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 介護保険料

健康保険料は、勤めている会社や住んでいる都道府県などによって異なりますので、全国民一律のルールではありません。

例えば、お勤め先が全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入し、被保険者が東京都に住んでいる場合の2020(令和2)年4月納付分からの健康保険料は、9.87%となっています。ちなみに、厚生年金保険料は18.30%です。

この率を、あなたの給与額から導き出した標準報酬月額(最高65万円)と、賞与額から導き出した標準賞与額(最高150万円、年3回までの賞与が対象)に乗じて給与から天引きされる保険料を計算します。

また、40歳以上の方は介護保険料も引かれます。介護保険料は、健康保険料と一緒に給与から天引きされます。例えば、東京都に住んでいる方の2020(令和2)年4月納付分からの健康保険料と介護保険料は合計で11.66%になります(健康保険料だけの方は9.87%という意味です)。

健康保険料と厚生年金保険料は労使折半が原則のため、負担しているのは納付額の半分になります。また、雇用保険料も給与から天引きされます。

雇用保険料は2020(令和2)年分の場合、一般事業労働者負担は0.3%、事業主負担は0.6%となっており、合計0.9%になっています。0.3%を給与や賞与にかけた金額が、支給時に天引きされます。

住民税の計算方法を解説する

住民税には、所得が高い方の納付額が高くなる「所得割」と、所得額によらず住民が平等に納付する「均等割」の2つがあります。住む地域によって納付すべき住民税額は異なります。

多くの地域では、所得割は課税所得金額の10%、均等割は4,000円で平成26年から令和5年までの10年間は1,000円が加算されて5,000円になっています。ただし、横浜市を例に挙げると、所得割が課税所得金額の10.025%、均等割が6,200円となっていることからもわかる通り、全国一律のルールというわけではありません。

不動産所得は給与所得と損益通算が可能

ここまで見てきた通り、日本では所得が多い方ほど税金と社会保険料の納付額が高額になります。社会保険料は、各種控除がなされる前の収入額を基に納付額を計算するため、納付額を抑える方法はありません。

一方、所得税、住民税に関しては、課税される所得金額が少なければ、納税額が少なくなります。また、所得税に関しては、先に述べた通り累進課税制度が採用されているため、所得金額が下がるほど税率も下がります。収入の多い方が課税される所得金額を下げる方法として挙げられるのが「損益通算」です。

不動産所得で損益通算を行う方法

不動産所得は所得税の計算を行う過程で、他の総合課税の所得と合算します。その際に、不動産所得に損失が生じている場合は、その損失額を給与所得などの他の総合課税の所得から引くことができます。これを「損益通算」と言います。

<損益通算の例>
例:給与所得450万円、不動産所得▲50万円、損益通算後の所得金額400万円
※所得税率はこの場合10%

上の例では所得金額が50万円減少することで、納税額が所得税から5万円、住民税から5万円(所得割10%)、合計10万円減少したことになります。本業の他に不動産経営をされている方は、損益通算をすることで結果的に納税額を抑えられているケースは多々あります。

減価償却費は支出を伴わない費用計上が可能

不動産経営の収入は家賃であることは言うまでもありません。一方、必要経費は固定資産税等、管理費、修繕費、水道光熱費、リフォーム費用、火災保険料、減価償却費など多岐に渡ります。

この中でも、減価償却費は現金の払い出しがない必要経費です。減価償却費とは、建物の価値の減少を会計上で計算した費用になります。不動産経営をされている方は、保有している建物の価値減少分を毎年必要経費として計算できます。

これから投資用不動産を購入する方は、定額法という方式で減価償却費を計算します。例えば、新築の鉄筋コンクリート造りのマンションの法定耐用年数は47年です。この場合、建物部分の価値を47年間かけて償却していくという考え方になります。

毎年の減価償却費を求める際は、建物の取得価額に0.022を掛けます。例えば、建物部分の取得価額が2,000万円だとしたら、毎年の減価償却費は44万円ということになります。

減価償却費を毎年必要経費に計上する場合、不動産所得がマイナスになりやすくなります。それゆえ、損益通算により、給与所得や事業所得といった他の総合課税の所得との損益通算を行い、納税額を抑えることができる場合があります。

なお、専門的な知識が必要な分野になるため、税理士などの専門家に問い合わせするほうが無難でしょう。

他人資本での資産形成が可能

不動産経営の最大の利点は、家賃収入を元に、物件を購入した時の借入金を返済できることです。

例えば、家賃収入が8万円あり、毎月の借入金返済額と不動産経営上の維持費(固定資産税、管理費、修繕費、水道高熱費、リフォーム費用、火災保険料等)の合計額が月に直すと8万円程度の場合、家賃収入でほとんどの支出をカバーできることになります。

現役世代の方が不動産物件を購入する場合、基本的には借入金に頼らざるを得ないケースが想定されます。

「何千万円もの借金を負うのは怖い」と思われるかもしれませんが、その借金のほとんどは、物件の借主が払ってくれるということを見落としてはいけません。もちろん、不動産経営では空室、家賃の滞納、災害による修繕など、リスクは想定しておくべきです。

具体的な例を挙げてみましょう。

借入金の返済期間が35年だとします。悲観的に想定するため、35年間に空室期間が10%(42ヶ月)生じてしまったとします。もし家賃を8万円と想定していた場合、空室期間で得られなかった家賃は336万円(42ヶ月×8万円)になります。この場合、本来は家賃で賄うはずだった出費を自分で負担するということになります。その他、エアコンなどの設備の買い替え費用等も不動産の持ち主が負担します。

このような出費は想定されるものの、将来借入金を返済した後に残る資産の価値、不労所得として受け取れる家賃収入などのメリットを天秤にかけて検討しましょう。

普段の家計の収支が厳しく、リスクに耐えられない方は不動産投資を行うべきではありません。一方で、一定の収入がありリスクを許容できる方は、十分に検討の余地があると考えられます。

また、リスクは優良な物件を選ぶことで抑えることができます。1度、将来を見据えた不動産経営について、じっくり調べてみてはいかがでしょうか。

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