不特法の2019年改正ポイントと投資家にとってのメリットを解説
(画像=sophon/stock.adobe.com)

不動産特定共同事業法(不特法)は、これまでに何度も改正されてきた法律ですが、2019年にも大きな改正がありました。不動産の小口化商品に対する参入障壁の緩和などを目指して法改正が行われてきましたが、それによって財務基盤が脆弱な運営会社の破綻によって投資家が損失を被ってしまうといった事態が続出し、こうした環境を健全化させるための法改正も進められてきました。

2017年の不特法改正ではクラウドファンディングを活用した不動産の小口化も可能になっており、投資家にとっては不動産に投資する方法について選択の幅が広くなっています。医師や高所得者層の皆さんにとっても、この法改正によって登場した不動産関連商品には魅力的なものが多いので、法改正のポイントやこれによって生まれた不動産小口化商品のメリット、デメリットなどについて解説します。

そもそも不特法(不動産特定共同事業法)とは何か

不特法とは、不動産特定共同事業法の略称です。この法律名にある「特定共同事業」というのは、いわゆる不動産ファンドのことを指しています。投資家から集めたお金で不動産を運用し、その収益を投資家に分配する事業に対する法的な規制や環境整備を目的としたものです。

この不特法によって不動産の小口化商品を販売することが可能になり、これまでにはなかった不動産投資の形が実現することになりました。しかしそれにはメリットだけでなくデメリットもあるので、次項からそれぞれについて解説していきます。

不特法によってもたらされたメリット

不特法の成立、改正によって投資家目線で考えられるメリットは、以下の3つです。

(1)小口化によって高額な優良物件への投資が可能になった

優良物件といわれる不動産の中には高額物件も多く、個人投資家にとっては簡単に参入しにくい存在でしたが、不特法によって小口化が可能になり、高額な物件も投資対象とすることができるようになりました。

(2)現物不動産でありながら維持管理は不要

小口化によって部分的な所有者になるものの、その不動産を管理するのは運営主体です。オーナー自らが物件を管理するとなると労力を要しますが、不特法による小口化商品であれば「持っているだけ」なので、維持管理の手間が不要です。

(3)リスクの分散が可能

不動産投資も投資の一種なので、一定のリスクを伴います。それは小口化された不動産であっても同様ですが、少額で参入ができるため、同じ予算規模であっても複数の不動産に分散して投資することが可能になります。分散投資はリスク管理の基本ですが、これまで不動産での分散投資はとても大きな資金規模が必要でした。そのハードルが下がったことにより、多くの投資家が適切なリスク管理のもとで不動産投資ができるようになりました。

(4)高所得者層にとって有望な金融資産となった

当メディアの読者層である医師や高所得者の皆さんにとって、有望な金融資産が新たに加わることは魅力的です。しかも不動産という手堅い現物資産に裏づけられた小口化商品なので、それが不特法によってもたらされたことはチャンスの拡大につながります。

不特法による小口化商品のデメリット

続いて、不特法による不動産の小口化商品で考えられるデメリットについても解説します。

(1)大きなリターンは期待できない

小口化というだけあって少額から始められるメリットがある一方で、不動産を丸ごと所有するのと比べると大きなリターンは期待できません。もちろん投資口数を増やせばその分だけリターンも大きくなりますが、欲しいだけ購入できるとは限らないのも小口化商品の特徴なので、リターンに対する過度な期待は禁物です。

(2)運営主体の倒産・破綻リスク

不特法による不動産の小口化スキームでは、運営主体が常にその中心にあります。この運営主体が倒産や破綻といった事態に陥ってしまうのは、投資家にとって大きなリスクです。かつて規制緩和の一環で不特法が改正された当時は新規参入が相次ぎ、その中には財務基盤が脆弱な企業もありました。そのせいで運営主体の倒産によって投資家が損失を被る事例が続出しましたが、これを教訓として不特法はその後も改正が続けられ、健全な業者でなければ参入しにくい仕組みになっているため、以前と比べるとこのリスクは改善しています。

(3)融資は利用できない

不動産投資で融資を利用する際、購入する物件に担保が設定されます。小口化商品の場合はそれを担保にすることができないため、不特法による小口化商品への投資は全額が自己資金である必要があります。

2019年の不特法改正ポイント

不特法は2019年に改正されました。その改正ポイントについて解説します。その主な骨子は、以下の通りです。

・不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドラインが策定された
・不動産特定共同事業法施行規則が改正された
・不動産特定共同事業への新設法人の参入要件が明確化された
・不動産流通税の特例措置が延長・拡充された
・特例事業者の宅建保証協会への加入が認められた

こうした点から読み取れるポイントとして、最も大きいのは、クラウドファンディングによる参入の環境が整備されたことでしょう。クラウドファンディングを活用した参入については2017年の改正でも盛り込まれていましたが、2019年の改正ではそれをさらに活性化させるための仕組みが作られた形です。

しかし、かつての教訓から市場を活性化させるために新規参入を容易にしすぎると不健全な業者の参入を招くことがあるため、2019年の改正ではそういった業者の参入を防ぐために「新設時法人の参入要件明確化」やガイドラインの策定なども盛り込まれています。投資家にとっては投資のチャンスが拡大する一方で安全性が高まっていると考えてよいでしょう。

2019年の不特法改正が目指すのは、小口化商品の発展をはじめとする関連商品の多様化や、新たな商品の開発による市場の活性化です。不動産の有効利用は国としても積極的に推進したいところなので、今後さらに不特法の改正を利用した商品が登場してくることでしょう。

不特法関連商品の魅力は今後も拡大する

国のあと押しもあって、今後不特法の関連商品は増えていくことが予想されます。さらにその内容も充実していくと思われるので、医師など高所得者の方々はこの段階でその存在や概要だけでも知っておく価値はあると思います。活性化とともに健全化が進むことで長期的な資産としての魅力が増すでしょうし、これまでの資産運用ポートフォリオに加えることでリスク分散の多様性も向上します。

同じく不動産の関連商品としてはREITや、上場している不動産投資信託であるJ-REITなど、類似した商品があります。投資家から見ると両者はとてもよく似た存在ですが、運営スキームや得られた収入の取り扱いが異なるため、別物と考えておいたほうがよいでしょう。REITには市場価値によって値動きがありますが、不特法による小口化商品は短期的な価格変動をあまり気にする必要がないため、同じ不動産関連商品であってもその特性にも違いがあります。

このように両者の特性が異なるので、それぞれのメリットを生かす観点から別物として両方を資産運用のポートフォリオに組み込むのも有効です。現物の不動産投資に進出する意向がおありなのであれば、まずはこうした小口化商品で少額からの不動産投資に取り組み、そこから現物の不動産を所有する投資に拡大していくのもよいのではないでしょうか。

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