2021年4月19日にNASAは、火星でヘリコプターを飛ばすことに成功する歴史的快挙を遂げました。そのヘリコプターには、世界初の有人動力飛行に成功したライト兄弟の思いも乗せられていたことをご存じでしょうか。

地球以外の惑星で航空機が飛んだ!世界初の40秒

2021年2月にNASAの火星探査車「パーシビアランス」は、火星に到着。今回の探索で飛行実験は主要計画の一つで火星探査車には、小型ヘリコプター「インジェニュイティ」が搭載されていました。火星の薄い大気の中で航空機が飛べるのか……人類の科学力が試される飛行実験は、2021年4月19日に大成功を収めたのです。

最高高度3メートル、飛空時間はわずか40秒。宇宙開発の歴史上発となったこの40秒は、人類の次なる挑戦と未来を感じさせるものとなりました。インジェニュイティには、カメラも搭載されているため、撮影された画像には飛行するヘリコプターの影が写っていたといいます。

ライト兄弟が飛ばした飛行機の一部を携えて

インジェニュイティが飛行した場所は、将来「Wright Brothers Fieldと呼ばれるだろう」とNASAがコメントしています。しかしなぜライト兄弟の名前が出てきたのでしょうか。実は、インジェニュイティにはライト兄弟が最初に飛行させた「フライヤー1」の片翼に使われていた布の一部が搭載されていたのです。

NASAはかねてより「他の惑星におけるライト兄弟の瞬間」について語っており地球上ではじめて飛行機を飛ばしたライト兄弟にリスペクトしつつ本プロジェクトを進行していたことが分かります。

インジェニュイティの詳細

インジェニュイティは、高さ約49センチ、重さは約1.8キログラムととても小さなヘリコプターです。火星の重力は、地球の約3分の1で大気圧は地球の100分の1ほどしかありません。このような環境下では、地球用のヘリコプターのブレードと回転数では上昇できず地面から浮き上がるためには大きな力が必要となります。

そのためインジェニュイティのブレードの回転数は、地球で使われているヘリコプターよりも高速化されているとのことです。

人類が他の惑星に移り住む日も近い!?

NASAは、今回の実験が成功したことを受けて今後は大型のヘリコプターの飛行にもチャレンジすると述べています。さらに土星の衛星「タイタン」でのヘリコプター計画も進めているそうです。人類の宇宙開発はかつてSFの世界でしか語られていなかったものを実現するまでに至っています。「地球以外の惑星に移り住んでいる」未来も遠くないのかもしれません。