マンション投資で重要なのは、何といっても所有物件の資産価値が長期間にわたってしっかりと維持されることです。資産価値が維持されている不動産は売却しやすく値崩れを抑えることもできるため、出口戦略も描きやすくなるでしょう。

マンションなど建物は、時間の経過とともに劣化することは避けられませんが、築年数が経過していても人気を集めているマンションはあります。こうした「古いにもかかわらず人気があるマンション」に共通しているのは、立地条件のよさ。つまり立地条件がよければマンション投資は非常に有利になるわけです。

そんな理想的なマンション物件に出会いやすいのが、東京の都心5区と呼ばれているエリアといえるでしょう。理想的な立地条件と安定した賃貸需要に支えられ都心5区の不動産投資は、景気の浮沈に関係なく堅調な人気を保っています。

今回は、東京の都心5区でのマンション投資をテーマに取り上げ、マンション投資の理想像について解説します。

都心5区の概要

東京には23の区がありますが、そのうち千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区のことを総称して「都心5区」と呼びます。文字通り東京の都心にある5つの区で、それぞれの区には全国的にも有名な繁華街やターミナル駅、高級住宅地などがあるため利便性および知名度ともに断トツの価値を誇るエリアです。マンションもたくさんあるため、住宅地としての価値が非常に高いといえるでしょう。

しかしそれ以外にもオフィスや商業地としての価値も高いため、不動産の価格相場も高いのが大きな特徴です。マンションリサーチ株式会社が実施した都心5区のマンション価格調査によると、2020年はコロナ禍による影響で価格の下落が見られたものの全体としては堅調さを維持していることが明らかになりました。まさに「都心5区強し」です。

さらにエリアを絞って千代田区、中央区、港区の都心3区について見てみるとこちらも地価は長期上昇トレンドを維持していることが分かります。

地価の下落による資産価値の低下や賃貸住宅の不人気化は、いずれも不動産投資のリスク要因です。しかし都心5区がそういったリスクから遠い位置にあることが理解できるのではないでしょうか。

なぜ、都心5区は強いのか

なぜこれほどまでに都心5区の地価は安定したり上昇したりしているのでしょうか。地価は、その土地の価値を示す最もシンプルな指標となるため、地価が下がらないということはその土地の利用価値が下がっていないことを意味します。これら都心5区のエリアは、世界的な大都市かつ東京の中心エリアのため、圧倒的な知名度とブランド価値がある点は強みです。

またオフィスや商業地のイメージが強いですがブランド価値の高い住宅地も多数あります。立地的にも都心5区の住宅地は、いずれも交通アクセスがよくこのエリアに住みたい人は多い傾向です。過去にリーマンショックやコロナショックといった金融危機があり都心5区の不動産価値も下落を余儀なくされました。

しかしその後回復し、再び上昇トレンドを維持していることは、金融危機に強く都心5区の不動産にさらなる普遍的な価値を与えたといえるでしょう。

都心5区のマンション投資のメリットとデメリット

圧倒的な知名度と強さを誇る都心5区だけに当該エリアでのマンション投資には、特別な価値があります。それでは、都心5区でのマンション投資で考えられるメリットとデメリットについて整理してみましょう。

<メリット>
・ 教育機関や医療施設に恵まれており生活利便性が非常に高い
・ 職住近接を実現しやすい(健康志向やコロナ禍による自転車通勤シフトにも合致)
・ 地名やエリアにブランド価値があり資産価値が維持されやすい
・ 普遍的な価値があるため景気変動や各種リスクに強い
・ 再開発が多いエリアなので今後も資産性の向上が期待できる

これらのメリットに共通していえるのは、価値のあるエリアだけに人が集まり、不動産の価値が高くなりやすく、より多くの投資を呼び込むといった好循環です。この好循環が続く限り都心5区のマンション投資には特別な強みがあります。

<デメリット>
・ すでに物件価格が高く投資利回りが低くなりがち
・ リモートワークの普及によって需要減が考えられる
・ コロナ禍による「東京脱出」の影響を受けやすい

1つ目のデメリットについては、都心5区に限らず人気のあるエリアに共通するものです。価値のある不動産には投資が集まりやすいため、おのずと価格は高くなります。しかしその価値が今後も続くと思うからこそ投資が集まるわけで、これは都心5区が持つ強みの裏返しといえるでしょう。2~3つ目のデメリットについては、コロナ禍によって初めて意識されるようになった内容です。

多くの企業が半ば強制的にリモートワークを余儀なくされた結果、都心に大きなオフィスを持たなくても業務を遂行できるようになる企業が現れました。維持コストが高い都心のオフィスを縮小する企業が続出すると都心5区が持つ強みが1つ減衰してしまうことになります。もう1つの「東京脱出」についても同様です。

コロナ禍以前の東京は、人口の増加が続いていましたが2021年3月1日現在の人口が前月比で約1万人減少しました。なんとこれは25年ぶりのことだそうです。考えられる原因はコロナ禍で「東京脱出」をしている人が増えていることが関係しているといわれており、この流れが加速すると都心5区が持つブランド価値を低下させる恐れもあります。

都心5区に見られる理想的なビジネスモデルを学ぼう

コロナ禍によるオフィスの縮小や人口の減少など不安要素がないわけではありません。しかしそれでもなお都心5区の地価や不動産価格は高止まりをしており、その価値が根本的に揺らぐことは考えにくい状況です。不動産は立地と将来性、安定した需要が命ですが、都心5区にはこのすべてがそろっています。この構図が変わらない限り今後も都心5区の優位性は維持されていくことでしょう。

長期的な視野で不動産投資に取り組むのであれば理想的な環境がそろっているエリアは、非常に重要です。しかしそれゆえに都心5区のマンション物件は決して安くはありません。よほどのお金持ちでない限り手放しで不動産を買ってよいということはなく、信頼できる不動産会社からの情報をしっかりと精査して購入の判断をするべきです。

入念な資金計画と収支のシミュレーション、将来の需要予測などを踏まえたうえで「投資に適格」と判断できた物件は、将来に向けた長期的な視野で購入し賃貸経営に取り組む価値は高いでしょう。物件価格は高いものの安定的な需要や資産価値が低下しにくいメリットは絶大なため、不動産投資が持つ本質的なメリットを享受できる可能性の高いエリアです。

もちろん東京にお住まいの方でなくても都心5区での不動産投資は十分可能ですし、すでに遠方から都心5区の不動産オーナーとなっている人はたくさんいます。日本国内だけでなく海外の投資家からも活発な投資が続く都心5区だけに、このエリアでマンション投資の理想的なビジネスモデルを学びそれを育てていく価値はおおいにあるでしょう。

都心5区のマンション投資に関するよくある質問

Q. コロナ禍で都心5区の不動産投資に影響はないの?
人口の流出やリモートワークの浸透による価格の下落の影響はありますが、繁華街やターミナル駅など、オフィスや商業地の価値が高いため、全体として堅調さを維持しています。

Q. 都心5区の地価が安定または上昇している理由は?
千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の都心5区のエリアは、世界的な大都市かつ東京の中心エリアのため、圧倒的な知名度とブランド価値があるからです。

Q. 都心5区のマンション投資のメリットとデメリットは?
<メリット>
・ 教育機関や医療施設に恵まれており生活利便性が非常に高い
・ 職住近接を実現しやすい(健康志向やコロナ禍による自転車通勤シフトにも合致)
・ 地名やエリアにブランド価値があり資産価値が維持されやすい
・ 必要経費をケチらず、外注化できることは外注化する
・ 普遍的な価値があるため景気変動や各種リスクに強い
・ 再開発が多いエリアなので今後も資産性の向上が期待できる

<デメリット>
・ すでに物件価格が高く投資利回りが低くなりがち
・ リモートワークの普及によって需要減が考えられる
・ コロナ禍による「東京脱出」の影響を受けやすい