富裕層や医師の不動産投資で「タワーマンション」の選択は正解か?
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タワーマンション投資は、富裕層や医師などの高所得者に人気の高い投資・節税の手法です。そもそもなぜ普通のマンション投資ではなくタワーマンションでなければならないのでしょうか?本記事では、タワーマンション投資を「肯定意見」と「否定意見」の両面から考察します。

タワーマンション投資の肯定意見/建物比率が高いので評価額を抑えやすい

タワーマンション投資の魅力は、主に以下の3つです。

  • 好立地にあるので空室リスクが低い
  • 一般的なマンションよりも高い家賃収入を得やすい
  • 固定資産税や相続税の両方で節税効果がある

不動産に強い税理士は、節税効果についてどのように考えているのでしょうか。例えばNIKKEI STYLE(2017年6月30日付)における内藤克税理士の解説を要約すると「不動産は、額面が評価額となる現預金よりも評価額が低くなるので現預金などを不動産に変えただけで節税できる」ということです。具体的には、以下のように大幅な評価額圧縮ができると述べています。

  • 土地の評価に使われる路線価が時価の80%程度
  • 建物の評価に使われる固定資産税評価額が時価の60%程度

さらに不動産の中でも限られた敷地に建てられているタワーマンションは「購入価格に占める建物比率が高いため評価額が低くなり節税効果が高くなる」と補足しています。以上が内藤税理士の解説ですが富裕層や医師は一般の人よりも所有資産が多い傾向のため、評価額を圧縮できることは大きなアドバンテージです。

医師の中には「それほど資産がない」という方もいるかもしれません。しかし実家が富裕層で相続税対策をしないといけない方もいるのではないでしょうか。こういった人たちにとってタワーマンション購入・投資は、大きなメリットがあるといえます。

タワーマンション投資の肯定意見/高層階の節税効果は今でも有効

もう1人、タワーマンション投資肯定派の専門家の意見を見てみましょう。石井彰男税理士は、著書『不動産投資のお金の残し方 裏教科書』の中でタワーマンションの相続税の節税効果について解説しています。ちなみに、この本は、出版社が「不動産投資の税金本でイチバン売れている」とPRしており8刷・約2万7,000部突破のロングセラーとなっているそうです(2021年7月9日現在)。

「不動産投資の税金」というニッチなテーマでは、異例の売れ行きといってよいでしょう。タワーマンションの節税効果が高い理由として石井税理士は、高層階と低層階の固定資産税評価額が(実際には高層階の価格が高いにも関わらず)同じ点を挙げています。ただし、この高層階優位の固定資産税評価がおかしいと法改正され階が上がるにつれて約0.26%ずつ補正率が増える仕組みになったことにも言及。

とはいえ「1階と40階を比べても評価額の差が10%程度しかないこと」「改正されたのは固定資産税評価額のみで相続税評価額には影響しないこと」を理由にタワーマンションの節税効果は「今でも有効」としています。石井税理士は、注意点として相続発生後すぐにタワーマンションを売却するなどの行動をとると税務署から否認される可能性があることにも触れています(実際に否認された事例あり)。

タワーマンション投資の否定意見/廃墟化のリスクがある

否定意見も見てみましょう。著名な不動産コンサルタント長嶋修氏は、不動産投資以前にタワーマンションそのものの廃墟化リスクを指摘しています。具体的には、著書『100年マンション 資産になる住まいの育てかた』で「2027年にタワーマンションの廃墟化が露呈する」と述べているのです。なぜ廃墟化がクローズアップするタイミングが2027年なのでしょうか。

読売新聞デジタル版(2018年8月2日付)では、1997年に建築基準法改正に伴う以下のような高度住宅導入誘導地区制度が創設されたことでタワーマンションが数多く建てられるようになった背景があると解説しています。

  • 共用部分が容積率の計算から除外
  • 容積率600%の適用除外
  • 日影規制の除外 など

この規制緩和がはじまった時期から建てられたタワーマンションが築30年を迎える2027年ごろ、次々に大規模修繕の必要に迫られるというわけです。タワーマンションの多くは、豪華な共用設備があったり外壁の修繕が高所で高コストになったりすることが予測されます。そのため修繕がうまく進まず「廃墟化が露呈する」というのです。

ただし長嶋氏は、著作の中で「すべてのタワーマンションが廃墟になる」といっているわけではありません。あくまでも「林立するマンション群でも持続可能なマンションとそうでないマンションの2極化が進む」と指摘しています。もし富裕層や医師などの高所得者がタワーマンション投資をする場合は、当然「持続可能なマンション」を選択することが重要です。

タワーマンション投資の否定意見/管理費や修繕費の負担が大きいなど

タワーマンション投資の識者の否定意見としては、『ミンカブ不動産投資』のプロデューサー八木チエ氏のコラム(2020年7月30日付)もあります。タワーマンションが不動産投資に向かない理由として八木氏がまず挙げているのが「空室時の返済負担の大きさ」です。タワーマンションは、一般的なマンションよりも高額なため、ローンを組んだ場合、毎月の返済額がそれだけ重くなると注意喚起しています。

またタワーマンションは、共用設備が充実している分「管理費や修繕費の負担が大きい」ことにも言及。あわせて諸経費かかるなどの理由から「ほとんど利回りが出ない」「ターゲットであるファミリー層が減っている」などの懸念材料も挙げています。

富裕層や医師の不動産投資でタワーマンションは正解か?

ここまでの内容を振り返ってみましょう。タワーマンション投資の「肯定意見」と「否定意見」をまとめると以下のような内容になります。

肯定意見 ・現預金を不動産にすると固定資産税と相続税の評価額が圧縮できる
(土地は時価の80%程度、建物は時価の60%程度)
・建物価格の割合が高いタワーマンションは節税効果が高い
・高層階と低層階の価格差を利用できる
・固定資産税の評価額改正がされたが、さほど影響のない内容
否定意見 ・将来的に修繕費がかさむため廃墟化のリスクがある
・空室時の返済負担が大きい
・管理費や修繕費の負担が大きい
・利回りが出にくい
・ターゲットであるファミリー層が減っている

タワーマンション投資に限らず「あらゆる投資にはデメリットがある」という点は、意識したいところです。否定意見があるからといってタワーマンション投資をすべて否定するのは早計でしょう。最終的に上記の「肯定意見」「否定意見」を比較してどのように判断するかは人それぞれです。廃墟化のリスクや多少の持ち出しがあっても相続税を下げたい人にとっては、メリットが大きいかもしれません。

逆に不動産投資でキャッシュフローを得たい人にとっては、リスクが高いと見ることもできます。いずれにせよタワーマンション投資を選ぶのであれば「廃墟化リスクの低い物件や立地を選ぶこと」は、マストです。ポイントとしては、「都心の一等地にあること(例:都心5区など)」「駅近物件であること」の2点はしっかりと押さえておきましょう。

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