時代にマッチしたESG投資信託は安定した資産運用に最適
(画像=thodonal/stock.adobe.com)
丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

投資の世界では、ESG活動に熱心な企業に投資する「ESG投資」が増えています。巨額の資金を運用する機関投資家もESGを重要なテーマとして運用方針に加えており、世界的な流れになっています。本稿では、ESGの概要と安定した資産運用に最適なESGをテーマにした積立投資信託について紹介します。

ESGとは何か

ESG とは、企業活動におけるEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの要素を合わせた言葉です。ESG投資は、単に業績や財務状況だけで判断するのではなく、環境・社会・企業統治への取り組みを重視して銘柄を選ぶ投資方法です。

ESGが重視されるようになったきっかけは、2006年に国連主導で制定されたPRI(国連責任投資原則)というガイドラインの提唱です。この原則に署名した金融機関など機関投資家はESGの観点を投資の意思決定に取り入れることが求められるようになりました。世界の年金運用機関もPRIに署名する機関が増え、ESG投資が世界的な潮流になっていったのです。

たとえば、国内最大の機関投資家であるGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)も、ESGを運用の重要なテーマとして選択しています。環境や社会問題などのマイナス要因を減らし、運用資産全体の長期的なリターンを向上させるのが狙いです。

GPIFは、2017年11月よりグローバル株式を対象とする環境株式指数に基づくパッシブ運用(日経平均などベンチマークになる株価指数に連動することを目標にする運用)を行っています。GPIFが採用している指数は「FTSE Blossom Japan Index」「MSCIジャパン ESGセレクト・リーダーズ指数」「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数シリーズ」「MSCI女性活躍指数(WIN)」の4指数です。

医師やビジネスパーソンに向いている投信積立

では、ESGにどのように投資すればよいのでしょうか。1つは、ESG活動に熱心な企業をリサーチして個別の株式に投資することです。しかし、平日に時間が取れない医師やビジネスパーソンは、こまめなチェックが必要な個別株トレードは難しいという事情があります。

そこで日々の値動きに一喜一憂せずに長期投資ができる投資信託が向いています。投資信託は個別株への投資ではなく、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数に連動するファンドや、「成長株」「高配当株」などテーマ別に銘柄を組み合わせて運用するファンドに投資する商品です。

毎月一定額を投資する「積立投資信託」なら、一度あたりの金額や口座引き落とし日を設定すればあとは指定したファンドの価額に合わせた口数を毎月、自動的に買い付けてくれます。

積立投資のメリット

積立投資のメリットは、毎月同じ金額を買い付けることによって買値を平準化できることです。1度にまとめて買い付けた場合は、相場が高いときにあたると「高値掴み」になるリスクがあります。しかし、積立投資であれば毎月同じ金額を投じるので、価額が高いときには少ない口数を、安いときには多くの口数を買い付けることになります。

結果的に買値は平準化されることになるので、1口あたりの買付コストは毎月一定の口数を購入するよりも下がるのが一般的です。このような買い方を「ドルコスト平均法」と呼びます。

もう1つのメリットが、投資信託の分配金を再投資して得られる「複利効果」です。投資信託のなかには分配金を出さずに、元本に組み入れて運用するファンドがあります。分配金を毎月や毎年受け取る単利運用の場合は下記の例では元本100万円に対して毎年3万円の分配金を受け取ります。

一方、複利運用の場合は本来受け取るはずの分配金を投資元本に組み入れるため、2年目の元本は103万円となり、分配金も3万900円に増えます。3年目以降も同じように運用すれば、同じ利回りで運用できることを前提に元本と分配金は雪だるま式に増えていきます。

<複利運用のイメージ図 投資元本100万円を年利3%で運用した場合(スポット購入)>

1年目   2年目   3年目
投資元本
100万円
投資元本
103万円
投資元本
106万900円
分配金
3万円
分配金
3万900円
分配金
3万1,827円

上記の例は1度に100万円を投じるスポット購入の場合ですが、積立投資でも同じような効果が得られます。複利運用を希望する場合は「分配金なし」のファンドを選ぶようにしましょう。

以上のようなメリットがある積立投資は、自由になる時間の少ない医師やビジネスパーソンの資産運用に向いているといえるでしょう。

ESGがテーマの投資信託もある

ESGに積極的な企業の株式を組み入れた投資信託も販売されています。代表的な銘柄をいくつか紹介しましょう。

グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド 愛称:未来の世界(ESG)

純資産総額が1兆円を超える巨大ファンドで、発売時大きな話題になりました。目論見書によると、「持続可能な競争優位性を有し、高い利益成長が期待される企業のうち、市場価格が理論価格より割安かつESG評価の観点から企業価値の向上が期待できる銘柄を厳選してポートフォリオを構築する」ファンドです。

投資対象は世界の株式で、Amazonが組み入れ比率7.57%(2021年1月29日基準)で最も多くなっています。直近1年のリターンが31.40%と高いパフォーマンスをあげていますが、手数料が高いのが難点です。

  • 1口価額 1万2,726円(2021年8月6日基準) 
  • 分配金 0円
  • 信託報酬 1.848%
  • 手数料 1億円未満3.30%、1億円以上3億円未満1.65%、3億円以上0.55%

シュローダー・アジアパシフィックESGフォーカス・ファンド(資産成長型)

日本を含むアジアパシフィック諸国の株式に投資するファンドです。ESGの観点を加味した銘柄選定を行い、持続的に利益の成長が期待できる企業を投資対象としています。信託報酬控除後のトータルリターンは1年で29.75%、5年で12.72%と極めて優秀です。

  • 1口価額 1万9,730円(2021年8月6日基準)
  • 分配金 0円
  • 信託報酬 1.84%
  • 手数料 無料

CAM ESG日本株ファンド

日本株のみに投資するファンドです。ESGに対する経営目標、体制や整備などの状況を分析し、経営力があって成長が見込める企業に投資します。信託報酬控除後のトータルリターンは1年で18.71%、3年で4.98%と上記アジアパシフィックよりはパフォーマンスは落ちますが、出遅れている日本株が上昇気流に乗ったときに面白いファンドといえそうです。

  • 1口価額 1万4,679円(2021年8月6日基準)
  • 分配金 0円
  • 信託報酬 1.50%
  • 手数料 無料

3つのファンドはいずれも分配金なしなので、複利運用に適しています。

ESG投資信託の運用成績は?

気になるのは、ESG投資信託がほかの指数の運用と比較して、どの程度のリターンがあるかです。モーニングスターの調べによると、2017年4月から2020年3月までの期間において、GPIFが選定したESG指数が年率でTOPIXを上回るリターンを記録しています。

たとえば、総合型の「FTSE Blossom Japan Index」の同期間の年平均収益率は0.10%でTOPIXの-0.14%に比べ0.24%の収益超過となっています。2020年2~3月のコロナショックによる大暴落があった期間にあたりTOPIXはマイナスになっていますが、「FTSE Blossom Japan Index」はプラスを維持しています。

TOPIXは東証1部全銘柄の平均リターンを表す指数ですので、GPIFが選定したESG指数は東証1部全銘柄を買った場合よりも大きなリターンを得られたことになります。ただし、日経平均株価のリターンと比較した場合はやや劣るというデータもあり、必ずしもESG投資が有利とは限らない側面もあります。

いずれにしてもESG投資がベンチマークになる主要な株価指数と同じレベルのリターンを得られることが証明されていることは投資家の買い安心感につながるでしょう。モーニングスターはESG投資の意義について、「ESG要素を加えることによって、その投資が地球温暖化対策にも役立っているという付加価値が付くことは大きい」と述べています。つまり、単なるリターンが目的ではなく、地球環境の保護などに投資を通じて貢献できるという投資マインドとしての満足感が大きいというのです。

いま世界では地球温暖化対策、格差の是正、ジェンダー問題、飢餓・貧困の解消など解決すべき課題が山積しています。ESGやSDGsにも関連するこれらの課題解決に取り組む企業をESG投資という形で支援することは、リターンを得るだけでなく社会貢献にもなる有意義な資産運用方法といってよいでしょう。

※本記事で紹介している投資信託は一例であり、当該銘柄への投資を推奨するものではありません。

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