資産運用

(画像=mrmohock/stock.adobe.com)

史上空前の低金利時代が継続しています。大手都市銀行の定期預金金利は0.002%(年率)ほどです。100万円を1年間預金しても手取り15円(税引き後)ほどです。人生100年時代といわれる昨今、預貯金だけではなく、資産運用を始めなければ生き抜けないのではないでしょうか。

基本的な資産運用の種類とそのメリットとデメリット、最後にはじめの第一歩(何から始めれば良いか)を紹介します。

## 大きな利益の可能性はあるが、動向を読み解くのは難しい株式投資

株式投資とは、企業が発行する株式を株式市場で売買することをいいます。株式とは、企業が経済活動を行うための資金調達の手段であり、資本金という性質を持っています。資本金は借入金と異なり返済する義務がないことから、その株式を購入した株主はリスクを負うこととなります。

企業はその経済活動(魅力的な製品やサービスを提供すること)において企業努力を重ねていますが、成功する企業と、少なからずそうではない企業に分かれます。成功する企業は社会的にも認知され、株式の価値は高くなり、株価は高騰します。一方、そうでない企業の株式を保有していて、その企業が倒産するようなことがあれば、その株式は紙くず同然になる危険性があります。

成長しそうな企業を見つけて、株価が安いうちに買い付け、その企業が成功し株価が高騰した時点で売却すれば、大きな利益を上げることができます。しかし、株式市場の動向を読み解くことは大変困難であり、タイミングを計る株式取引はリスクを伴います。

### 株式投資のメリット
株式投資のメリットは主に以下の3点です。

・売却益を期待できる
買い付けた株価よりも高く売却することができれば、その差額を値上がり益として得ることができます。

・配当金を享受できる
投資している企業が利益を上げた場合、その利益の一部が株主に還元されます。これを「株主配当金」といいます。配当金の計算は1株当たりで算出され、保有している株式数分が配当されます。

・株主優待を受けることができる
株主に対するサービスとして、株主への優待品を受けることができます。自社製品の詰め合わせセットなどです。すべての企業が実施しているわけではないようですので、株主優待を目的にする場合は事前に確認しましょう。

### 株式投資のデメリット
一方のデメリットは以下の3点です。

・価格が大きく変動する
証券市場で売買されることから常に価格の変動があり、社会情勢により大きく株価が下落する危険性も含んでいます。

・投資資金が比較的高額になる
単元株、銘柄により相違しますが、売買できる株式の単位が決められていることから、投資信託等に比較して取引単位が高額になります。

・流動性リスクがある
買いたいときにその株式が売りに出されていない場合があります。

## 為替レートの差益を狙うFXはハイリスク・ハイリターン
FXとは、為替レートの上昇・下落を予測し、その差額利益を狙う取引です。別々の国の通貨を交換することを「外国為替」といいます。英語でForeign Exchangeといいますが、この短縮形Forexをさらに短縮しFXとなったそうです。

FXで取引されるのは、物やサービスではなく、お金とお金を交換するときの交換レートです。世界中で、通貨を「買いたい人」「売りたい人」が日々通貨を交換しています。そのため、為替レートは常に変動しており、欲しい人が多い通貨は為替レートが値上がりし、人気が低い通貨はその為替レートが値下がりします。FXはこの為替レートの流動性を利用して、差益を求める金融商品の一つです。

また、スワップポイントを利用して、利益を出す方法もあります。スワップポイントとは、通貨の交換を行うと同時に金利の交換が行われます。各国の金利は異なることから、その差額を調整する必要があり、その金利の差調整額がスワップポイントといわれます。

FX取引は、レバレッジ取引が可能なため、ハイリスクな金融商品といえます。

### FXのメリット
では、FXのメリットを見ていきましょう。

・通貨価格が変動すれば利益を出せる
円安や円高に関係なく、通貨の価格に変動があれば利益を獲得することができます。

・24時間取引可能
外国為替は世界中で常に取引されていますので、24時間取引可能です。

・少額取引が可能
最大の特徴である「レバレッジ取引」が可能です。個人口座の場合、最大25倍までレバレッジをかけられることから、必要資金の25分の1の資金で取引することが可能です。

・手数料が無料
多くのFX会社では、口座開設手数料や取引手数料、その他の手数料が無料になっています。

### FXのデメリット(リスク)
FXのデメリットは以下の通りです。

・為替変動リスク
通貨の為替変動によるリスクです。

・金利変動リスク
プラスのスワップポイントを保有している場合でも、その後、金利差が逆転した場合はスワップポイントを支払わなければならないリスクもあります。

・流動性リスク
祝日や祭日、取引時間帯の関係により、希望する価格での取引が成立しづらくなることがあります。

・ロスカットリスク
FX取引はレバレッジ取引が可能であることから、大きな損失を被る可能性も含んでいます。一定の損失が生じた場合は、強制的に取引が終了(強制ロスカット)されることがあります。

・スリッページリスク
指定したレートと実際に約定したレートとの間に生じる差を「スリッページ」と言います。為替相場の急変時にはスリッページが大きく開き、希望する価格と大きく乖離した価格で注文が成立することがあります。

## 投資信託はリスクをコントロールした投資が実現できる
投資信託とは、投資信託運用会社を通じて株式や債券などに投資、運用する商品を言います。その運用成果を投資家の投資額に応じて分配する仕組みの金融商品の1つです。株式投資では、自分自身で投資先の優劣を判断する必要がありますが、投資信託はその必要がありません。

投資信託は、運用の専門家が選定した運用商品を購入する仕組みになっています。そのため、比較的専門知識を必要とせず、つみたてNISAに代表される「リスクをコントロールした投資」を実現することも可能です。

### 投資信託のメリット
以下で投資信託のメリットを挙げていきます。

・少額取引が可能
基準価格:1口1円で1万口=1万円から購入することが可能です。基準価格は変動します。

・株式、債券に分散投資可能
さまざまな資産に分散投資が可能で、リスクを分散することができます。

・専門家による運用
投資、運用の専門家が運用します。

・透明性が高い
毎日基準価格が公表されており、監査法人などの監査を受けていることから、透明性が高い金融商品といえます。

### 投資信託のデメリット(リスク)
投資信託のデメリットはどんなことがあるのか、見ていきます。

・価格変動リスク
投資信託商品が組み入れている株式や債券の価格が変動するリスクです。

・金利変動リスク
一般的に金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が下降すると債券価格は上昇します。

・為替変動リスク
外国株式や外国債券で運用する投資信託は為替リスクが生じます。

・信用リスク
債券を発行する国や企業が、社会情勢の悪化や財政難などの影響から利息や償還金を定められた条件で、支払うことができなくなる可能性もあります。

## 不動産を証券化した商品がJリート
Jリートとは、証券取引所に上場されている投資信託の仲間です。投資信託と同じく、多くの投資家から資金を集め、オフィスビルや商業施設・マンションなどの不動産を購入して、賃貸収入や売却益を投資家にその投資額に応じて分配する商品です。不動産を証券化(流動化)した金融商品の一つです。

### Jリートのメリット
Jリートのメリットを見ていきます。

・専門家による運用
不動産投資のプロが運用します。

・少額投資が可能
個々の投資家は少額から不動産投資をすることができます。

・分散投資が可能
複数の不動産への分散投資が可能です。

・換金性が高い
証券取引所に上場されており、購入や売却の注文が常時可能となっています。

・収益のほとんどが分配金となる
収益のほとんどを投資家に分配する仕組みとなっています。

### Jリートのデメリット(リスク)
次にJリートのデメリットについてです。

・不動産市場のリスク
不動産市場や経済情勢などの影響を受けて、物件の賃料収入などが減少します。

・運営者に関するリスク
Jリート運営者が倒産する可能性があります。

・金利変動のリスク
金融機関からの借り入れがある場合、金利に変動があった場合のリスクとなります。

・上場廃止リスク
上場基準に抵触し、上場が廃止される可能性もあります。

・自然災害のリスク
地震や火災など予測不能な事態が起きる可能性があります。

## ETFとは株式指数と連動する商品で分散投資が可能
ETFとは、株式市場に上場している投資信託で「上場投資信託」と呼ばれており、Exchange Traded Fundの略とされています。ETFは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウなどの指数に連動する商品であり、株式と同じく株式市場で売買することができます。

ETFも投資信託の仲間であり、分散投資が可能となっており、比較的専門知識を必要としません。また、株式市場での売買ができることから、リアルタイムに市場価格を確認しながら取引が可能となっています。ETFは投資信託と株式の特性を併せ持った金融商品の一つです。

### ETFのメリット
ETFのメリットは以下の5点です。

・少額分散投資が可能
投資信託同様、リスクを抑えながら分散投資が可能です。

・株式市場で売買可能
株式と同様に市場での取引が可能です。

・値動きが明確
日経平均株価などの指数に連動するよう運用されているため、値動きが明確です。

・豊富な選択肢
国内株式・債券、外国株式・債券、REIT、コモディティ(商品)など、さまざまなものに投資することができます。

・低コスト
信託報酬などのコストも比較的低めに設定されています。

### ETFのデメリット
ETFのデメリットは以下の3点です。

・分配金が自動的に再投資できない
一般的な投資信託と異なり、配当金などは決算時にすべて分配されてしまいます。

・基本的に自動積立投資は不可
ETFは市場価格を見ながら自身で売買を行うことから、基本的に自動積立投資ができないことがあります。

・価格が乖離することがある
ETFは、上場株式と投資信託を併せ持った特性があることから、「市場価格」と「基準価格」の2つの価格を有していますが、市場価格は市場の需給で決まるため、両者は乖離する可能性があります。

## はじめの第一歩は“つみたてNISA”
各種代表的な金融商品を紹介しましたが、FXなどはかなりハイリスクな金融商品です。ハイリスク・ハイリターンの商品をとれば、大儲けすることも可能ですが、大損する可能性も大いにあります。金融資産運用は基本的に自己責任であり、しっかりとした知識を備えて取り組むべきだと考えます。

はじめの一歩として、是非取り組んでいただきたい資産運用の方法があります。それは、金融庁も推奨している長期積立分散投資です。具体的には、「つみたてNISA」制度を利用した積立投資です。リスクを分散しながら、長期で資産形成を行う投資手法となります。

金融庁が厳選した投資信託等の金融商品を、毎月少額で積み立てます。1人1口座、年額40万円を20年間積み立てることが可能です。総額800万円を時間・地域(国)・通貨に分散投資することによりリスクを上手に分散し長期に資産を形成する手法です。

金融庁のHPでも詳しく解説されています。興味のある方は是非始めてください。開始が早ければ早いほど、時間を味方につけた複利効果が有利に働きます。

>>【無料小冊子】高所得者のための不動産投資バイブル

>>【年収700万円以上の方限定】東京都心の不動産運用オンライン個別セミナー≪人気の都心5区≫

【あなたにオススメ】
資産形成は早めに始めるのが肝! 若いうちに知っておくべき投資のルール
【投資初心者】NISAと積み立てNISAの違いとは
高年収から資産家になるためにすべきこと
貯蓄を増やす方法の種類は?コツコツ貯める資産運用から幅広くご紹介
【連載】医師と学ぶ資産形成|精神科医 前田先生 Part.1