お金持ちに愛されてきたプリウス神話崩壊?この車に代わる日本車とは
(画像=KATSU/stock.adobe.com)
本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

トヨタ自動車株式会社のプリウスは、大衆車にもかかわらず海外のセレブや国内の富裕層に支持されてきました。しかし近年は、プリウス人気にも陰りが見えはじめています。本稿では、プリウスがお金持ちに愛され続けてきた理由と人気低迷の背景を解説しながらプリウスに代わる日本車のモデル(車種)についても考察していきます。

プリウスが20年近くもお金持ちに愛され続けてきた理由

プリウスの車名は、ラテン語で「~に先立って」という意味です。初代プリウスは、1997年10月に「世界初の量産ハイブリッドカー」として誕生。当時の従来車の約2倍という圧倒的な低燃費性とCO2排出量半減などを実現しまさにその後に開発・販売が本格化するエコカーの先駆けとなりました。「プリウスはお金持ちにファンが多い」というイメージが広がったのは、輸出が開始された2000年以降。

トヨタ自動車株式会社のプリウス20周年サイトでは、当時の様子を「環境に敏感なアメリカ市場では大きな話題となりセレブリティーたちが率先して愛用したことも社会現象となった」と振り返っています。とりわけプリウスが世界中にインパクトを与えたシーンは2003年のアカデミー賞の授賞式でした。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオン氏のフォーブス誌のコラム記事では、数多くのハリウッドスターがこの年の授賞式の送迎車でハイブリッド車(プリウス)を選んだ模様を紹介しています。さらにレオナルド・ディカプリオをはじめトム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、キャメロン・ディアスなど名だたるスターが実際にプリウスを愛車に選んでいるのです。

このようなことも国内外のお金持ちの間でプリウス人気が広がった一因として考えられます。

プリウス人気の落ち込みを新車販売データでチェックする

長く続いたプリウス人気にも陰りが見えはじめています。このことをはっきりと示すのが日本国内の新車販売ランキングにおけるプリウスのポジションです。

年度 新車販売ランキング 台数
2017年 1位 16万912台
2018年 3位 11万5,462台
2019年 1位 12万5,587台
2020年 12位 6万7,297台
2021年(1~6月まで) 15位 2万6,791台

日本自動車販売協会連合会のデータをもとに作成

2017~2019年におけるプリウスの新車販売ランキングは、3位以内で販売台数10万台をずっとキープしてきました。しかし2020年を機にプリウス人気が一変し新車販売ランキングで12位と大きく後退。台数も前年度よりも半減に近い約6万7,000台まで落ち込みました。プリウスの2017年の販売台数が約16万1,000台と比較すると半分以下、台数にして約9万4,000台も落ち込んだことになります。

ちなみに2021年上半期(1~6月期)のプリウスの順位は15位(2万6,791台)と順位の下降に歯止めがかからない状況です。プリウスの人気が低迷する原因には、さまざまな見方があります。その意見の一例を紹介すると自動車の専門メディア「ベストカーWeb(2021年6月5日付)」では「プリウスが特別なクルマではなくなってしまったこと」を販売不振の原因として挙げています。

ここでいう「特別なクルマ」とはどういう意味でしょうか。冒頭で紹介したようにプリウスは「量産型のハイブリッドカーの先駆け」として世界でデビューしました。しかし時代が移り変わりプリウスの4代目が発売された2015年当時は、プリウス以外のハイブリッドカーも数多く存在するようになり「もはや特別なクルマではなくなった」というわけです。

この影響がランキングにはっきりと表れたのが2020年ごろということでしょう。このほか海外の自動車市場に目を転じるとEV(電気自動車)のシェアが高まっている流れも見逃せません。EVの普及で特に先行しているのは欧州です。EVシェアが57.3%のノルウェーをはじめ、ドイツ、オーストリア、スウェーデンなどが10%超に達しています。

日本産業新聞(日本経済新聞 電子版転載:2021年8月2日付)では、今後EVのシェアが「1割超えの国がさらに増えるのは確実」と報じており海外でのプリウスの存在感がさらに薄れる可能性もあります。

ポストプリウスとなる日本車の有力候補は?

次に考えたいのは、環境性能にこだわりを持っていたプリウスのオーナーたちが「実際にどの自動車ブランドやモデル(車種)に乗り換えているのか」ということです。海外で勢いのあるエコカーといえばテスラでしょう。2021年4~6月期のテスラの販売台数は、グローバルで20万1,250台に及びます。これは、前年同期比の約2.2倍の台数です。

かつてのプリウスのようにテスラのEVを愛車にしているお金持ちも増えています。兵庫三菱Web編集局の調べによるとハリウッドスターの具体例は、ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、ウィル・スミス、スティーヴン・スピルバーグなどです。日本でもテスラを選ぶ高所得者や富裕層は、着実に増えている可能性があります。

しかし「日本車のように販売ネットワーク(正規ディーラー)が充実していない」「そもそも日本国内のEVのシェアが低い」といったことから一定のシェアにとどまっていると予想されます。では、日本のプリウスオーナーは、テスラ以外のどのモデルに乗り換えているのでしょうか。前出の「ベストカーWeb」の記事では、トヨタ自動車の販売店をヒアリングしています。

この情報を参考にすると若い世代のプリウスオーナーは、以下のようなモデルを選んでいる傾向があるようです。

モデル 価格帯(税込み) タイプ
ハリアー ハイブリッドの場合
358万~482万円
SUV
RAV4 ハイブリッドの場合
334万3,000円
※RAV4 PHVは469万円~
SUV
ヤリスクロス ハイブリッドの場合
239万4,000円~258万4,000円
SUV
ライズ ガソリン車のみ
167万9,000円~206万円
SUV

価格帯はトヨタ公式サイトに掲載されている2WDのメーカー希望小売価格・税込み(2021年9月21日時点)

プリウスオーナーの乗り換えモデルとして選ばれている上記の4車種はいずれもSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)タイプです。SUVの人気ぶりを感じさせる結果です。価格帯で考えるとこの4車種のうちプリウス(259万7,000円~344万2,000円)またはプリウスPHV(338万3,000円~401万円)に近いモデルはRAV4とハリアーです。

もともと乗っていたプリウスに近い価格帯のトヨタのハイブリッド車となるとこの2モデルが候補になってくるのではないでしょうか。またガソリンと充電した電気の両方で走れるプラグインハイブリッド車がお好みであればRAV4 PHV(469万~539万円)という選択肢もあります。上記で紹介した日本車販売台数ランキング(2021年1~6月期)で見るとハリアーは5位、RAV4は13位で特にハリアーの人気が高い傾向です。

特筆すべきは、ハリアーの前年比3.5倍という販売台数の伸び率でしょう。これは、ランキングトップ10に入っている自動車の中でも驚異的な伸び率です。ハリアーの人気の高さは、2020年にフルモデルチェンジをした影響もあると考えられます。しかしこのままファンを長期的に積み上げていけばこのモデルがポストプリウスになる可能性もあるでしょう。

一方で知名度の高いEV車「日産リーフ」がポストプリウスになるのではないかという声もありそうです。しかし2021年上期の販売台数ランキングでは、50位にとどまっています。

真のポストプリウスは電気自動車から生まれる?

ハリアーは、1997年に発売開始したプリウスのような「ほかのモデルにない特別な環境性能」を持っているわけではありません。人気が高いといってもその影響は限定的です。また今後EVの普及が加速するとハリアー自体が淘汰される可能性もあります。そうなると真のポストプリウスとなる日本車は、これからシェアが高まると見られるEVの中から生まれるのかもしれません。

日本は、EVの分野で欧州や米国、中国などに遅れをとっているといわれますがモノづくりの底力に期待しましょう。

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