保有資産5,000万円以上の富裕層は相続税対策をするべき!おすすめの相続税対策まとめ
(画像=mimi@TOKYO/stock.adobe.com)
八木チエ
八木チエ
株式会社エワルエージェント 代表取締役|宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーなどの資格を持ち、中立的な立場で不動産投資に関連する情報をお届けします。書籍、メディアなどに記事掲載の実績多数。
  • 「富裕層が相続税対策する方法を知りたい」
  • 「相続税の計算方法が知りたい」

富裕層の方の中には、上記のように相続税について悩みを持っている方が少なくありません。

では、どのような相続税対策が有効なのでしょうか?

富裕層の相続税対策は、生前贈与や不動産、保険を利用したものなどが挙げることができます。ただし、これらの方法は相続税対策のやり方や注意点を完全に理解しておくことが前提になります。

こちらの記事では相続税対策の方法やそれぞれの方法の注意点ついて詳しく解説していくので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

保有資産5,000万円以上の富裕層は相続税対策をするべき

5,000万円以上の資産を保有している富裕層は多額の相続税が掛かってしまう可能性が高いです。そのため、相続をするときに子どもに負担をかけてしまいます。

しかし、被相続人が相続税対策を行うことで課税額を抑えることは可能です。

相続税対策を行う前に相続税を把握する

相続税対策を行うまえに自身の相続税がいくらになるかを把握することが重要になります。相続税を把握していないと、有効な相続税対策を立てることが不可能なためです。

ここでは相続税の計算方法をご紹介します。

相続税の計算方法

相続税は基礎控除額を超えた課税価額に相続税率を乗ずることで計算できます。計算するためには、まず基礎控除額を計算することが必要です。

基礎控除額の計算方法は以下になります。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm

例えば、法定相続人が2人の場合の基礎控除額は4,200万円です。つまり、この4,200万円を超えた金額に対して課税されます。

相続税率については以下のとおりです。

相続税の速算表
(画像=相続税の速算表)

出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

では、実際に相続税のシミュレーションをしてみましょう。

−前提条件

  • 法定相続人:1人
  • 相続財産:8,000万円
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×1(相続人)=3,600万円
  • 相続税の課税額:8,000万円(相続財産)−3,600万円=4,400万円
  • 相続税額:4,400万円×20%(税率)−200万円(控除額)=680万円

相続する場合は「680万円」の相続税が課税されます。

オススメの相続税対策

相続税対策としてオススメの方法は以下の3つの方法になります。

  • 生前贈与を活用した相続税対策
  • 保険を活用した相続税対策
  • 不動産を活用した相続税対策

それぞれについて説明します。

生前贈与を活用した相続税対策

生前贈与を活用した相続税対策はオススメです。

生前贈与とは生きているうちに所有している財産を譲り渡すという仕組みです。贈与した財産にかかる税金は特定の控除があり、相続財産から外れるため相続税を減らすことができます。ただし、相続人への贈与は死亡前3年間に行われた場合は課税対象になるなどの注意点も少なくありません。

生前贈与を利用した相続税対策には、以下の方法があります。

内容 贈与税
暦年贈与 毎年110万円以下の贈与を行うもの 贈与税はかからない
相続時精算課税制度 60歳以上の父母や祖父母(直系尊属)から20歳を超える子どもや孫(直系卑属)に生前贈与する際に利用できる制度 2,500万円が非課税になり、超える金額は一律20%の贈与税がかかる
教育資金の一括贈与 金融機関が取り扱う教育資金贈与信託などのサービスを利用して1,500万円以内の教育資金の一括贈与を行うもの 1,500万円までなら非課税
配偶者贈与 婚姻期間が20年以上の夫婦で、居住用不動産または居住用不動産を購入する際に利用できる制度 基礎控除110万円と最高2,000万円まで非課税になる

上記の方法で認められている贈与税の控除を利用することで、相続税を減らすことが可能です。ただし、場合によっては贈与を利用しないほうが得なケースもあるため、よく考える必要があります。

贈与税の税率

贈与した際に贈与税が課税されます。贈与税を計算するためには、年間110万円(基礎控除)を超えた額に贈与税率を乗ずることで計算することが可能です。

贈与税率は以下の表になります。

課税価格(基礎控除後) 特例税率 一般税率 特例控除額 一般控除額
200万円以下 10% 10%
400万円以下 15% 15% 10万円 10万円
600万円以下 20% 20% 30万円 25万円
1,000万円以下 30% 30% 90万円 65万円
1,500万円以下 40% 40% 190万円 125万円
3,000万円以下 45% 45% 265万円 175万円
4,500万円以下 50% 50% 415万円 250万円
4,500万円以上 55% 55% 640万円 400万円

引用:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

上記のように贈与や相続する金額によっては、相続税よりも贈与税が高い税率で課税されてしまいます。そのため、ただ贈与すれば相続税対策になるわけではありません。

生前贈与の手順

生前贈与をするときの手順は以下の4つです。

  1. 生前贈与の内容について受け取る人の合意を得る
  2. 生前贈与契約書を作成して押印する
  3. 財産の引き渡しや不動産の場合は登記する
  4. 必要に応じて贈与税を申告し納付する

生前贈与契約書は口頭契約でも生前贈与できるため、必ずしも必要ではありません。ただし、贈与契約書がないことでトラブルなるケースがあるため、作成することをオススメします。

生前贈与するときの注意点

生前贈与するときの注意点は以下の3つです。

  • 相続時精算課税制度を利用した場合は暦年贈与が利用できない
  • 贈与契約書を作成する
  • 遺留分を侵害している

遺留分とは、法定相続人が相続できる最低限の相続財産のことです。生前贈与した財産でも一定の基準を満たすと遺留分とみなされるため、注意が必要になります。

遺留分を侵害したと認められた場合は、他の相続人から遺留分の支払いを請求される可能性があります。

保険を活用した相続税対策

生命保険を利用した相続税対策もオススメの方法になります。生命保険は「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるためです。

例えば、法定相続人が3人なら1,500万円以下の金額には、相続税がかかりません。

この非課税枠を上手に利用することで、相続税対策が可能です。

契約形態によって課税される税金が違う

被保険者が死亡した場合、生命保険の死亡保険金に課税される税金は保険料負担者と被保険者、保険金の受取人によって以下の表のように変わります。

死亡保険金の課税関係表
(画像=死亡保険金の課税関係表)

出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1750.htm

生命保険を利用した相続税対策をするなら、加入時に相続税が課税される契約形態にすることが重要になります。

ちなみに、死亡保険金ではなく満期保険金を受け取る場合も、相続税は課税されないため注意が必要です。

相続税対策に適した保険を選ぶときのポイント

前述したように生命保険で相続税対策をするためには、終身保険など相続税対策に適した保険を選ぶ必要があります。

そのうえで、保障が一生涯続くものを選ぶことが重要です。死亡保険金が受け取れないと相続税対策にならないため、注意してください。

また、定期付終身保険のような若いときに保障が大きく、高齢になると保障額が少なくなる保険は相続税対策に向いていません。

長生きしても死亡保険金が減額されずに、一生涯保障が続く保険がオススメです。

不動産を活用した相続税対策

不動産を活用した相続税対策もオススメです。

相続税対策になる理由は以下の2つが挙げられます。

  • 現金よりも相続税評価が低い
  • 融資を受けることで相続税評価額が減る

それぞれについて説明していきます。

現金よりも相続税評価が低い

不動産の相続税評価は土地と建物の評価額を合わせたものです。土地は路線価で評価するので公示価格の80%程度になり、建物は固定資産税評価で評価するため公示価格の60%程度になります。そのため、実際の価値よりも相続税評価が低くなることが多いです。

一方で現金は基礎控除を引いた金額がそのまま相続税課税額になるため、5,000万円なら5,000万円と評価されます。

ちなみに、公示価格が5,000万円の不動産を相続する場合は以下の課税評価額です。

  • 公示価格3,000万円の土地:3,000万円×80%(路線価評価額)=2,400万円
  • 公示価格2,000万円の建物:2,000万円×60%(固定資産税評価額)=1,200万円
  • 相続税の課税額:2,400万円+1,200万円=3,600万円

現金の場合と比較すると、相続税課税額は3,600万円と5,000万円の現金で相続するよりも、1,400万円相続税課税額が低くなります。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm

融資を受けることで相続税評価額が減る

不動産を購入する際に融資を受けることで、マイナス資産である債務が増えます。この債務は相続税評価額から差し引くことができるため、相続税評価額を下げることが可能です。そのため、相続税課税額も減らすことができます。

出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4105.htm )       (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4126.htm

まとめ

富裕層の方が相続税対策をする方法として、生前贈与や不動産、保険を利用した方法を挙げることができます。これらの方法を利用することで、資産をそのまま相続するよりも課税評価額を減らすことができます。

ただし、これらの方法で相続税対策するためには、やり方や注意点について理解しておくことが重要です。特に生前贈与は暦年贈与や相続時精算課税制度など複数の方法があり注意点も多くあるため、しっかりと確認する必要があります。

相続税対策を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしていただけると幸いです。

>>【無料小冊子】税金を操る教科書

>>【年収900万円以上の方にお勧め】損をしない確定申告(不動産を活用した税金対策・資産形成)オンライン個別セミナー

【あなたにオススメ】
年収600万円を超えたら検討しよう!不動産投資で節税する方法
どちらを選ぶべき?寄附金に係る所得控除と税額控除
投資用マンションを売却したときの税金は?計算方法と節税対策
不用品売却やポイント付与で税金がかかるケースとは?