不動産投資戦略におけるマーケティングの活用①「3C分析」
(画像=Monster Ztudio/stock.adobe.com)
武岡太朗
T.S.MarketingLAB
不動産ポータルサイト運営企業でマーケティングを担当していた経験を活かし、不動産市況・業界動向・エンドユーザーのトレンドについて、各種メディアでライターとして情報発信を行うほか、不動産会社のコンサル・業務課題ソリューションなども手掛ける。

不動産投資の成否は、物件選びが大きな比重を占めるため「投資物件の選定の仕方が分からない」「投資額が大きいので迷ってしまう」という人は多いのではないでしょうか。利回りだけで安定した家賃収入を長期的に得られる物件かは判断できません。物件の立地や間取り、設備だけでなく入居者の属性やライフスタイル、対象地域の人口の増減など複合的に評価して選定することが必要です。

本記事では、投資物件を選ぶ上で留意しておきたいポイントをマーケティングにおける「3C分析」を通じて確認していきましょう。また不動産投資戦略を成功させるための物件選定の方法や投資戦略立案についても紹介します。

不動産投資戦略の方向性

不動産を運用することで得られる賃料収入を安定的に確保するには「空室率を下げること」が重要なことは言うまでもありません。実現のためには、賃貸需要の高いエリアで入居検討者が必要とする設備・仕様・立地などを備えた物件を供給することが前提条件です。

「3C分析」で不動産投資の成功要因を見出す

3C分析とは、企業のマーケティングなどで使われる分析手法でCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の観点から経営戦略上の課題を導き出していくものです。それぞれの頭文字をとって3C分析と呼ばれています。3C分析の目的は、3Cそれぞれの観点から分析を行うことでビジネスにおける成功要因を発見することです。例えば以下のようなことができるようになります。

  • 顧客視点で分析することで顧客ニーズを発見する
  • 競合との比較で自社の強み・弱みを知る
  • 市場の成長性を把握することにより最適な意思決定・判断を行う

「3C分析」は、外的要因と内的要因(自社)を照らし合わせることが可能で、そこで得た知見をマーケティング戦略に生かす目的で行うものです。

不動産投資における3Cとは?

3C分析手法を不動産投資戦略に置き換えるとCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合物件)、Company(オーナー自身および所有物件)となります。不動産投資における3Cについて各項目の内容をしっかりと確認しておくことが重要です。

・Customer(市場・顧客)分析

入居者の分析、賃貸ニーズの把握、市場の分析などから賃貸需要の高いエリアを発見することが目的です。

・Competitor(競合物件)分析

同じエリアに立地している類似物件と比較することで競合物件との差異化を目的に行います。

・Company(オーナー自身および所有物件)分析

オーナー自身が持つ強みを把握することで、所有する物件に付加できる価値の把握を目的に行います。

3C分析で得た結果をもとに不動産投資戦略を構築することで、安定的な収益の確保に近づくことが期待できるでしょう。

3C分析を行う際のポイント

3C分析それぞれのポイントは、以下の通りです。

3C分析のポイント
Customer(市場・顧客) 賃貸需要
顧客ニーズ
Competitor(競合物件) 競合物件のシェアと推移
競合物件の特徴
Company(オーナー自身および所有物件) オーナー自身の不動産投資における強み(成功実績の有無、人脈の有無など)
所有する物件の強み/弱み

それぞれの項目ごとに分析のポイントを解説します。

①Customer(市場・顧客)分析

・賃貸需要

まず検討しているエリアの賃貸需要について検証・分析してみましょう。当該エリアの人口動態は、総務省の国勢調査や各自治体のホームページで動向を把握することができます。近年では、多くの自治体で少子高齢化による人口減について調査を実施しており、将来人口推計などの数字を公開していることも多い傾向です。

人口(特に若年層)が多い自治体のほうが当然安定的な賃貸ニーズがあると考えられるため、事前に確認するようにしましょう。また対象エリアの賃貸需要を見るうえでのポイントは、居住者の年代別割合や世帯数・世帯人数などです。平均年齢が低いエリアであれば単身者が多くワンルームや1Kの需要が大きいことが考えられます。

年代が上がればDINKs(Double Income No Kids ディンクス:結婚して子どもを持たず夫婦とも働くライフスタイル)やファミリーなどの可能性が高まるでしょう。また世帯数や世帯人数などからどういった層が多いエリアなのかも推測することが可能です。単身者が多いエリアにファミリー向け物件を供給してもニーズのミスマッチングとなるため、需要と供給の動向はできるだけ詳細に把握するようにしましょう。

他にも大規模再開発によって街が生まれ変わる大学・企業誘致などの予定のあるエリアは人口が増加する可能性は高まります。そのためこういった情報にも常にアンテナを張っておくと良いでしょう。

・顧客ニーズ

検討しているエリアの人口動態などから大まかな賃貸ニーズが見えてきたら次に入居者個別のニーズについて考えていきましょう。Customer(市場・顧客)の分析では、まず顧客の大まかなペルソナを決めるとスムーズに進めることができます。ペルソナとは、マーケティングにおいて商品やサービスの代表的な利用者像のことです。

不動産投資においては、所有する物件の入居者像と言い換えることができるでしょう。入居者の属性について男女・年代・職業(学生/社会人)などの基本的なプロフィールから単身・DINKs・ファミリー、趣味などに至るまで「どういった人が入居するか(もしくは入居してほしいか)」について大まかな像をイメージしておきます。

そのうえでペルソナが入居するにあたって重視していると考えられる立地・間取り・設備などについて「どういったものが好まれるか」について考えていきましょう。賃貸検討層のトレンド調査については、suumoやat homeなどの不動産ポータルサイトで頻繁に実施しているため、最新のニーズについて把握することができます。

例えば不動産情報サービスのアットホーム株式会社が2020年3月に行った「一人暮らしの社会人が幸せに生活するために必要な住まいの条件調査」によると、「一人暮らしの社会人が最低限必要だ」と感じる間取りは、1Kが40.6%、広さ(延床面積)は15平方メートル以下が26.9%でそれぞれ最多となっています。

一人暮らしの社会人にとって住まいが広いかどうかは、幸せな生活を送るための必須の条件ではないことが分かります。

まとめ

ここまで「3C分析」を活用した投資戦略立案の方法〜Part1〜としてCustomer(市場・顧客)の分析について解説しました。人口動態からエリアの賃貸需要動向を把握し投資した場合、「勝てるエリアなのかどうか」「どういった属性が多いエリアなのか」などを把握したうえで入居者のニーズを満たす立地・設備・間取りの物件を選んでいくことの重要性が理解できたのではないでしょうか。

次回は「3C分析」を活用した不動産投資戦略の立案のpart2としてCompetitor(競合物件)とCompany(オーナー自身および所有物件)の分析について解説します。

<「一人暮らしの社会人が幸せに生活するために必要な住まいの条件調査」調査概要>

■調査対象:現在一人暮らしをしている、全国の 20 代の社会人男女 414 名(男性 207 名、女性 207 名)
■調査方法:インターネットによるアンケート調査
■調査期間:2020 年3月19 日(木)~21日(土)

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