「病は気から」という言葉の本来の意味をご存じでしょうか。仕事でミスをしてしまい、気にしていたら何となく具合が悪くなってきた……「病は気からというし、くよくよしないでがんばろう!」といった使い方をしている人も多いかもしれません。これが間違っているのだとしたら、本当はどのような意味で使用したらよいのでしょうか。

そこで今回は、意外と知られていない「病は気から」の正しい使い方を紹介します。

かつては「病は気持ちの問題でコントロールできる」という意味ではなかった

現代において「病は気から」は「具合がいいのも悪いのも気持ちの問題」という意味で使われています。辞書にも「病気は気の持ちようで重くもなるし軽くもなるということ」と記されていますが実はこのことわざの成り立ちから考えると気持ちではなく、「気の持ち方一つで病状が悪くもなり、良くもなる」という意味があります。

「気」は気持ちのことではない

本来「病は気から」の「気」は、気持ちのことではなく、東洋医学で用いられている用語、または「生命の原動力となる勢い」「活力の源」という意味があります。東洋医学では、体を健康に保つ重要な要素を「気」といい気が不足したり滞ったりすることで人は体調を崩すと考えられています。

「気」とは何なのか

東洋医学でいう「気」は、生命エネルギーと言い換えることができます。呼吸や心臓の働き、血液の巡り、体温や汗の調節などは気によって行われているとしています。気が不足すると、胃下垂や肌のたるみが起こり、気が滞ると血液の流れが悪くなり、肌に栄養が行かないというように、気の量や巡りが正常でないときには体の調子が悪くなると考えられています。

つまり「病は気から」とは「生命エネルギーとなる気の巡りが正常ではないときに病が起こる」という意味なのです。

病は気からの使い方

「気」は、気持ちのことではないと前述しましたが時代とともに「病は気から」の使われ方や意味が変わり「気=気持ちのこと」として使われています。つまり現在では冒頭で紹介した「病は気からというし、くよくよしないでがんばろう!」という使い方は間違いではなくなっているのです。

「病は気から」を使った例文
・ いつも明るい○○さんは病気にならない。「病は気から」は本当なのかもしれない
・ 何となく熱を測ってみたら発熱していた。さっきまで元気だったのに、病は気からというのか、急に具合が悪い気がしてきた

気にせずこれまで通り使って大丈夫

言葉の意味は、時代とともに変わるものです。「病は気から」もその一つ。その言葉が生まれた当時と今で使い方が違っていますが、多くの人が間違った意味で使い、それが一般に通じるようになればそれが「正しい意味」になるのです。