本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

「不動産投資を始めるまでに、どんな手順があるか知りたい」という人向けのコンテンツです。この記事を読むことで、ゼロベースから不動産投資をスタートアップするまでの流れがしっかり理解できます。

不動産投資の始め方がわからないと挫折しやすい

最近では、ビジネスパーソンや士業の方々の副業として、不動産投資が人気を集めます。ただ実際には「契約までの過程で挫折してしまった」というケースもあるようです。

このうまくいかなかった原因のひとつに、「始めるまでの流れを把握していなかったこと」が挙げられます。たとえば、仕事でも段取りを知らなければ、うまく進めることはできません。同様に、不動産投資も手順を知らないとムダや手間が多くなり、上手く進まないので挫折しやすくなります。

こういった失敗パターンにはまらないよう、これから不動産投資をしたい人は、始めるまでの流れをしっかり把握することをおすすめします。とくに多忙な人は、最小限の手間でスタートアップできるよう、次に紹介する9つの手順を意識しましょう。

不動産投資を始めるまでの9つの手順

物件探しから買付、融資申込、売買契約まで、不動産投資を始めるまでの流れを9つの手順で解説します。

手順1:相性のよい収益物件のタイプを知る

不動産投資を始めるとき、最初に手をつけるのは「収益物件の情報収集」という人もいるでしょう。しかし、いきなり物件探しから手をつけると、失敗する確率が高まります。なぜなら、不動産投資もいくつかの種類があり、その人のタイプによって相性のよい収益物件が変わってくるからです。

それを知らないまま物件探しをしてしまうと、ミスマッチが起こりやすくなります。メリットを享受できず、何のために不動産投資をしているかわからない状態に陥りやすくなります。

ミスマッチを防ぐため、まずは不動産投資の種類とそれぞれのメリット・デメリットを理解しましょう。そして、自分に合う収益物件の種類を選んだ上で、情報収集することをおすすめします。

手順2:物件情報を収集する

不動産投資を始めるには、当然ながら、リターンの源泉となる収益物件を決めなければなりません。その前段階として、まず候補となる物件情報を収集しなければなりませんが、方法は2つあります。

・物件情報を先に集める方法

ひとつ目は、自分で物件情報を収集する方法です。収益物件サイトをこまめにチェックして気になる物件を絞り込み、取り扱っている不動産会社に連絡します。この方法のメリットは、幅広い物件を対象にできることです。デメリットは、膨大な物件情報に目を通さなければならないため、手間と時間がかかることです。

・不動産会社を先に決める方法

もうひとつは、不動産会社を通して情報収集する方法です。不動産会社の担当者が、収益物件を代わりに探してくれます。この方法のメリットは、物件情報を収集する時間がかからないことです。デメリットは、不動産会社にはそれぞれ得意分野がありますが、それが自分の求める収益物件と合っていないとミスマッチになってしまうことです。

手順3:現地確認をする

気に入った収益物件が見つかったら、まずは現地へ足を運んでみましょう。仕事の忙しい人だと、現物を見ないまま買い付け(物件を抑えること)を入れる人もいますが、よほどの事情がない限り、おすすめできません。

周辺環境、物件の外観、共有スペースなどを入居者感覚で見て、「住みたくないと感じるマイナス材料はないか」「事前の物件情報と違う点はないか」などをチェックしてみましょう。

手順4:融資や管理会社の情報を集める

不動産投資の安定経営は、次の3つの要素がそろってはじめて実現します。

1.入居者ニーズのある収益物件
2.有利な低金利ローン
3.優秀な管理会社

不動産投資ビギナーは、このうち収益物件選びに意識がいきがちです。金利と管理会社の2つの要素についても情報収集すると後々スムーズです。具体的には、候補の収益物件を取り扱う不動産会社に対して、次の確認をするとよいでしょう。

* 金融機関を紹介してもらえるのか
* 具体的にどんな金融機関か
* どれくらいの金利条件が見込まれるのか
* 管理会社を紹介してもらえるのか
* どんなサービスを提供してくれるのか
* 毎月支払うフィー(管理委託費)はどれくらいか

手順5:買付証明書を出す

現地確認をした上で「この物件を購入したい」と思ったら、不動産会社経由で売主に対して買付証明書を出します。買付証明書とは「買い付け申し込みを入れた」と意思表明するための書類です。

ここで注意したいのは、買付証明書は法的拘束力のない書類だということです。そのため、買付証明書を出した後に「やっぱり購入しない」と撤回することも可能です。その場合、金銭的なペナルティはありません。とはいえ、買付証明書の撤回は、社会的あるいはビジネスの信用力を損なうため、気軽にするのは止めるべきでしょう。

また、買付証明書には購入希望金額も記載しますが、「相場よりも高い」と感じた場合は売り出し価格よりも安い指値にすることも可能です。ただ指値に応じるかは売主次第となります。

手順6:売買契約を結ぶ

買い付けが無事に通ったら、いよいよ売買契約となります。宅地建物取引士から重要事項説明を受け、とくに問題がなければ売買契約書に署名・捺印をして契約成立となります。一般的に手付金を支払うのはこのタイミングです。

なお、金融機関のローンを利用する場合は、売買契約書に「ローン特約」の内容を盛り込むのが通例です。この特約があれば、希望した融資を受けられなかったときに売買契約書を解除できます。その際、手付金はそのまま買主に戻ってきます。

手順7:ローンの融資審査を受ける

売買契約が成立したら、金融機関に必要書類を提出し、融資審査を受けます。ローンが通らないケースもあるため、売買契約前に事前審査を受けておくと効率的です。ただ、仮審査に通ったら本審査に100%通るわけではない点に注意しましょう。

このとき金融機関に提出する書類は意外に多いです。一例では、収益物件に関わる登記簿謄本や固定資産税評価額の確認できるもの、会社員であれば源泉徴収票などです。不動産会社のアドバイス・サポートを受けながら揃えましょう。

手順8:融資の本契約を結ぶ

融資審査を受けて無事に通ったら、金融機関と「金銭消費貸借契約(融資の本契約)」を交わします。

手順9:決済・引き渡し・管理会社との契約

決済は、関係者が一堂に集まって行われます。参加するのは、売主・買主・不動産会社・司法書士・金融機関担当者などです。仕事で多忙な人は、早めに決済日を調整しておくのが無難です。決済が済んだら部屋の鍵をもらって引き渡し完了となります。

入居者や物件の管理業務をアウトソースする場合は、決済・引渡しまでに管理会社を探しておくべきでしょう。決済・引き渡しが済んだら、速やかに管理会社と契約書を交わします。

ちなみに、手順8または9のあたりで初期費用の決済もします。主な項目は次の内容です。

登記関連の費用・手数料
融資事務手数料
ローン保証料
火災保険料
仲介手数料 など

手順を覚えられない場合は見返しながら進める

不動産投資を初めてする人は、ここで紹介した9つの手順を完全に覚えるのは難しいかもしれません。流れを忘れてしまった場合は、この記事を見返しながら進めてみてください。必要な人はこの記事をブックマークすることをおすすめします。