経営層や成功者の中には、サウナー(サウナ愛好者)が多いことをご存じでしょうか。注目したいのは、彼らが仕事のパフォーマンスを高めるためにサウナを活用していることです。具体的には、サウナで「意思決定する」「ミーティングをする」「自分自身を振り返る」などを行っています。本稿では、経営者や成功者などのエグゼクティブがサウナで行っている具体的な内容を紹介します。

サウナーのエグゼクティブの一例:川邉健太郎氏、秋好陽介氏、本田直之氏…

サウナーとして知られるエグゼクティブの一例としては、以下のような人たちがいます。

* 川邊 健太郎氏(Zホールディングス株式会社 代表取締役社長)
* 秋好 陽介氏(ランサーズ株式会社 代表取締役社長)
* 本田 直之氏(レバレッジコンサルティング株式会社 代表取締役社長)
* 久志 尚太郎氏 (NEW STANDARD株式会社〈前・TABILABO〉代表取締役)
* 明石 ガクト氏(ワンメディア株式会社 代表取締役)など

川邉健太郎氏は、日経新聞のインタビューで青山学院大学・初等部時代からサウナに入っていたエピソードを明かしています。また秋好陽介氏は、自身の趣味の欄に「サウナ」と書くほどのサウナ好きです。本田直之氏は、サウナをテーマにした本『人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?』(KADOKAWA)を発表したほどサウナの魅力にひかれています。

こういった人たちにとってサウナは、汗を流してストレスを発散するだけの場ではありません。彼らにとってサウナは、ビジネスのパフォーマンスを高めるために欠かせない場なのです。

エグゼクティブ・サウナの活用方法:意思決定、ミーティング、振り返りなど

では、具体的にサウナーのエグゼクティブがどのようにサウナを活用しているのかを見ていきましょう。彼らの著作やインタビューなどに基づくとエグゼクティブ・サウナには、大きく分けると以下の4つの活用方法があります。

1. 意思決定をする
2. ミーティングをする
3. 自分自身を振り返る
4. 睡眠の質を高める

エグゼクティブ・サウナの活用方法1:意思決定をする

エグゼクティブのサウナーの中には「サウナで意思決定をする」という人もいます。2019年3月24日付のNewsPicksによると秋好陽介氏の場合、「経営者が意思決定をするのにサウナはすごく理想的な場所」と解説。また本田直之氏は、著書の中で「サウナ好きの経営者の間には『サウナで考え、水風呂で決断する』という言葉がある」(ニコーリフレ会会長・中市忠弘氏の言葉)と紹介しています。

サウナにあまり入らない人からすると「あんなに熱い場所で考えごとなどできるのだろうか?」との意見もあるかもしれません。しかし『医者が教えるサウナの教科書』の著者・加藤容崇氏(慶應義塾大学医学部 腫瘍センター特任助教)によると20名を対象にサウナに入る前・入った後の脳波を調べた結果、サウナによってα波の働きが正常化されることが分かったそうです。

α波が正常化されると認知機能(ワーキングメモリー)や集中力が向上するとの報告があります。そのため決断力が上がったり意思決定をスピーディにできたりするのではないかと加藤氏は解説しています。

エグゼクティブ・サウナの活用方法2:ミーティングをする

エグゼクティブのサウナーの中には「アイデアを広げるミーティングの場」としてサウナを活用するエグゼクティブもいます。サウナミーティングのメリットについて井上大輔氏(現:ソフトバンク株式会社 メディア統括部長)は「サウナ内でアロマや熱さ、冷たさなど五感を刺激されて脳活性化のトリガーがたくさんある感じ」と述べています。(Webメディア「アドバンスト」での対談より)

井上氏が感じているようにサウナに入ると実際に五感が鋭敏になるようです。そのメカニズムについて医師の加藤容崇氏は「(感覚を司っている)右脳の頭頂葉の一部が活性化するから」と解説。これにより結果的に五感が敏感になりゾーン(極度の集中状態)に近くなるのではないかと述べています。

エグゼクティブ・サウナの活用方法3:振り返りをする

「自分自身を振り返る」「自分自身の思考を深める」といった目的でエグゼクティブ・サウナを活用しているケースもあります。本田直之氏は、著作『人生を変えるサウナ術』の中で現代のビジネスにおいて内省(自分の考えや行動などを深く省みること)の重要性が高まっていることに触れたうえで「サウナを内省空間として利用すれば仕事のパフォーマンスが飛躍的に向上する」と提言しています。

エグゼクティブ・サウナの活用方法4:睡眠の質を高める

最近では、仕事のパフォーマンスを高めるために睡眠を大切にするエグゼクティブも増加傾向です。睡眠の質を上げるための方法としては「睡眠時間を十分確保する」「就寝前にリラックスする」などが考えられますがサウナを活用する選択もあります。医師の加藤容崇氏によると「サウナに入ると75%の人に睡眠の改善が得られる研究結果がある」とのこと。

この研究で分かった具体的な効果として「短時間で深い睡眠を得られる」「日中の眠気も防げる」などを挙げています。

エグゼクティブ・サウナは「目的に合ったお店選び」が重要

ここまでの内容でエグゼクティブ・サウナの活用方法について理解できたのではないでしょうか。ここから先は「仕事のパフォーマンスを高めるためにサウナを活用したい」という人のためにサウナ選びのポイントについて解説します。

まずは、サウナを使って得たい成果を明確に

エグゼクティブ・サウナで気をつけたいのは、来店するサウナをなんとなく選ばないことです。なぜなら最近はサウナがブームなので混雑していることも多くイメージしていた効果が得られないケースもあるからです。エグゼクティブ・サウナとしての利用であれば「サウナを使ってどんな成果を得たいか」を明確にすることが大切です。

「意思決定をする」なら高級ホテルのプライベートサウナを選択

「意思決定をする」「自分自身を振り返る」などの目的でサウナを活用する場合は、静かな雰囲気が理想です。こういった場合は、高級ホテル内のサウナの利用がよいでしょう。一口に高級ホテルのサウナといっても「客室に設置されているプライベートサウナ」「共用のスパ施設内のサウナ」などがあります。集中した環境を求めているのであればプライベートサウナがおすすめです。

客室にプライベートサウナを設置している高級ホテルの例としては「The Okura Tokyo(「オークラ ヘリテージウイング」エリアのみ)」「ホテル雅叙園東京(全室)」などがあります。ただしホテル雅叙園東京は、低温タイプのスチームサウナの設置です。またワンランク上の共用サウナを設置している高級ホテル例としては、アマン東京の「アマン・スパ」などがあります。

「ミーティングをする」ならワーク+サウナの専用施設を選択

「ミーティングをする」の目的でサウナを活用する場合は、サウナとワークをテーマにした専用施設を利用するのが良いでしょう。一例では、サウナ会議室のある「両国湯屋江戸遊 湯work」「コワーキングサウナ・KOOWORK(クーワーク)」 などがあります。

仕事のパフォーマンスを高めるためのサウナの入り方とは?

仕事のパフォーマンスを高めるには、正しいサウナの入り方も押さえておきましょう。特にエグゼクティブにはストイックな人が多いため、限界までガマンしてサウナ室にこもるケースもあるのではないでしょうか。しかしこれでは、逆に心身を疲へいさせてしまいパフォーマンスを下げる結果となりかねません。

パフォーマンスを高めるためのサウナの入り方について加藤容崇氏は、著書『医者が教えるサウナの教科書』で1章分を割いて解説しています。その一部を引用すると以下のような内容になります。

・ 基本は3~4セット
・ 最終セットは「サウナ」→「水風呂(10秒程度)」→外気浴せずに水シャワー
・ 心拍数を目安にサウナ室を出るのがおすすめ

※ただし目安の心拍数は人によって異なる

より詳しく知りたい人は、加藤医師の書籍をチェックしてみてください。