富裕層の税金対策には何がある?有効なのは不動産投資
(画像=Andrii Zastrozhnov/stock.adobe.com)

富裕層の税金対策(相続税対策)にはいくつか選択肢がありますが、王道とされているのが不動産投資です。なぜ、不動産投資が相続税対策につながるのでしょうか。

今回は、富裕層の相続税対策の種類、不動産が相続税対策につながる理由などについて解説します。

富裕層にかかる税金について

富裕層は資産があるゆえに、多額の税金が課せられる運命にあります。例えば、固定資産税は、土地、家屋、償却資産など固定資産を持つと徴税される税金です。もちろんマス層が固定資産を持てば徴税対象になりますが、基本的には資産家(富裕層)に対する税金と言えるでしょう。

さらに富裕層を悩ませるのが相続税です。法定相続分に応ずる取得金額が2億円以下の場合は40%、3億円以下の場合は45%、6億円以下の場合は50%、6億円超の場合は55%が課されます。

「三代で財産がなくなる」という言葉があるように、日本は相続が発生する度に多額の相続税が発生します。最高税率である55%に該当する人は、財産の約半分が税金で持っていかれてしまいます。

上記の税率からも、相続税がいかに富裕層とそのファミリーの資産を毀損する税金であるかが分かります。したがって、富裕層にとって相続税対策を施すことは非常に重要です。

富裕層の税金対策(相続税対策)には何がある?

ここからは、富裕層の相続税対策の方法について解説します。例えば、以下のような方法が挙げられます。

生前贈与して相続財産を減らす

相続税は、被相続人が保有している財産に対して課税されます。したがって、生前贈与(生きているうちに子どもなどの親族に資産を贈与すること)を活用して、相続財産を減らすことで、相続税を圧縮することができます。

贈与を行う場合は贈与税がかかりますが、年間110万円までならば非課税になっています。また、贈与税がかかったとしても、計画的に贈与したほうがトータルの税金を下げることができる場合もあります。

特に、株式(自社株)や不動産など「今後も値上がりが期待できる資産」もしくは「配当や賃料などで定期的にキャッシュを生む資産」は、できるだけ早く次世代に移転したほうが、一族全体の納税額を少なくできる可能性が高いでしょう。

生命保険等の非課税枠を活用する

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部もしくは一部を被相続人が負担していた場合、「500万円×法定相続人の数」までが非課税となります(相続税法第12条5項より)。

例えば、法定相続人が3名の場合、1,500万円までは相続税の課税対象外になるということです。一般的に法定相続人の数はそれほど多くないので、多額の資産を保有する富裕層の場合は、そこまでインパクトが大きいわけではないですが、少しでも相続税を圧縮するために検討したい事項です。

資産管理会社を活用する

資産管理会社(資産管理法人)とは、その名の通り、資産を管理するための法人です。一般的には、不動産や株式などを法人名義で保有します。なぜ資産管理会社を活用することが相続税対策につながるのでしょうか。これは大変奥が深いテーマのため、この記事では概要のみをお伝えします。

資産管理会社を活用することが相続税対策につながる理由はいくつかあります。まずは、税額の圧縮につながるわけではありませんが、不動産などの分けにくい資産に比べて、オーナーが持つ資産管理会社の株式は相対的に分けやすく、遺産分割がスムーズに進みやすいということが挙げられます。

また、「37%控除」も挙げられます。資産管理会社の株式の相続税評価に使われることが多い純資産価額方式では、法人が保有する資産に含み益がある場合、含み益から法人税相当額(37%)を引いて純資産価額を求めることできます。ただし、取得3年以内の不動産には適用されないことに注意が必要です。

また、家族を雇用して給与を支払うことで、資産管理会社のオーナーの蓄財が抑えられ、相続税額が減るということも挙げられます。これに付随して、家族を雇用して給与を支払うことで、相続が発生した際の納税資金を準備することができます。

しかしながら、資産管理会社は「株式等保有特定会社」や「土地保有特定会社」に認定されることも多く、そうなると純資産価額方式で株価評価されることで、個人で資産を保有するよりも、かえって相続税が重くなる可能性もあります。詳細は税理士などの専門家に相談するようにしてください。

不動産投資をして相続財産を圧縮する

不動産投資を行うことも、相続税対策につながります。不動産を活用した相続税対策は、富裕層の相続税対策の王道と言えるでしょう。なぜ不動産投資を行うことが相続税対策につながるのでしょうか。次の章で解説します。

不動産が相続税対策につながる理由

不動産が相続税対策につながる理由はいくつか存在します。

理由1.路線価や固定資産税評価額は時価よりも低い

不動産を相続するときの評価方法として、土地は路線価(路線価が定められていない場合は倍率方式)にて、建物は固定資産税評価額に1.0を乗じて計算します(つまり固定資産税評価額です)。これらは時価の5〜8割ほどの評価と言われています(専門家によっても意見が分かれていますが、便宜上、この記事ではどちらも7割と設定します)。

一方で現金は、そのままの金額で評価されます。つまり、3億円の現金を保有する富裕層は、そのまま亡くなったら3億円が相続税評価額となりますが、現金3億円を不動産A(土地2億円・建物1億円)に替えていたら、相続税評価額は2億1,000万円まで減る計算になります。

理由2.不動産を人に賃貸することで相続税評価額が低くなる

これだけでも大きな節税効果を得られますが、他人に貸している不動産は、活用の選択肢が狭まるという理由から、さらに相続税評価額が低くなります。土地と建物で計算式が異なりますので、それぞれを見ていきましょう。

まずは土地についてです。所有する土地にマンションやアパートがあり、それを他人に貸している土地のことを「貸家建付地」と呼びます。計算式は以下の通りです。

貸家建付地の相続税評価額=自用地としての価額−(自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

「借地権割合」と「借家権割合」は地域により異なるので、路線価図や評価倍率表で確認する必要があります。例えば、前述の不動産A(土地2億円)を他人に貸しており、借地権割合が70%、借家権割合が30%、賃貸割合が100%とすると、

2億円×70%−(2億円×70%×70%×30%×100%)
=1億4,000万円−2,940万円
=1億1,060万円

となります。続いて建物についてです。計算式は以下の通りです。

賃貸用建物の相続税評価額=固定資産税評価額−(固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)

例えば、前述の不動産A(建物1億円)を他人に貸しており、借家権割合が30%、賃貸割合が100%とすると、

1億円×70%−(1億円×70%×30%×100%)
=7,000万円−2,100万円
=4,900万円

となります。したがって、不動産Aを他人に貸している場合の相続税評価額は、1億1,060万円+4,900万円=1億5,960万円となり、他人に貸していない状態の2億1,000万円よりさらに下がりました。時価3億円に対しては約半分になりました。不動産投資を行うということは、不動産を購入して他人に貸すということですので、不動産投資を行うことが相続税対策につながるのです。

なお、上記は現金3億円で不動産Aを購入することを想定していますが、不動産Aの購入金額を借入で賄うと、さらに相続税が圧縮できる可能性があります。借入金額はその金額のまま負債として評価されますが、借入で購入した不動産Aの相続税評価額は、上記計算のように約半分となり、計算上は保有資産額が減って、負債が増えるためです。

不動産自体の資産性や収益性もしっかり吟味しよう

ここまで、富裕層の税金対策の種類、不動産が相続税対策につながる理由などについて解説してきました。

不動産投資は、富裕層の相続税対策の王道です。しかし、相続税を減らすことばかりを考えてしまい、資産性や収益性が低い不動産を購入し、相続後に相続税圧縮分以上の損が出てしまっては本末転倒です。相続税対策の不動産購入だとしても、その不動産の資産性や収益性はしっかり吟味するようにしましょう。

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