不動産投資を始め、資産に投資用不動産が加わることで税金に関する大きな変化が生じます。

投資用不動産は、不動産所得や固定資産税による新たな税負担が生じる一方で、損益通算による所得税・住民税の軽減や賃貸に供することで相続税評価額を引き下げる節税効果もあります。

本記事では、不動産投資に伴う各種税金の仕組などについて解説していきます。

不動産投資に関わる税金について

不動産所得や固定資産税、不動産投資に伴う税金について
(画像=Brian Jackson/stock.adobe.com)

不動産投資では、購入時・所有時・売却時でそれぞれ税金が生じますが、金額が大きいため比較的大きな負担となるものも存在します。

生じる税金の種類が異なりますので、不動産投資のシチュエーションごとに生じる税金の種類と仕組を整理し、不動産投資の税に対する懸念を払拭していきましょう。

投資用不動産を取得する際の税金

投資用不動産を取得する際の税金には、「印紙税」「登録免許税」「不動産取得税」の3つがあります。

売買契約などの契約時には印紙税

印紙税は、不動産の売買を行う際の契約書などに収入印紙の貼り付けが義務付けられており、負担額は売買金額によって異なります。

不動産取引で生じる印紙税は、取引額が1,000万円超~5,000万円以下の場合は2万円、5,000万円超~1億円以下は6万円、1億円超~5億円以下は10万円を負担する必要があります。

現在、不動産の売買に伴う印紙税には軽減税率が設定されており、1,000万円超~5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超~1億円以下は3万円、1億円超~5億円以下は6万円となっています。

登記時には登録免許税

登録免許税は、不動産の所有者などの権利関係を明らかにする「不動産登記」を行う際に生じる税金です。不動産の所有権は、登記が対抗要件となります。登記を行わないままにしておくと、第三者に対し所有権を主張することができず、最悪の場合は所有権を失うこともあります。

課税額の算出方法は、固定資産税評価額に各種税率を乗じて算出されますが、新築の場合は固定資産税評価額が定まっていませんので、登記官が認定した課税標準額に税率をかけて計算を行います。

登録免許税の税率は、土地を売買によって取得した場合は2%ですが、2021年3月31日までに登記を受ける場合は1.5%に軽減されます。

また、新築建物を取得した場合(所有権の保存)は0.4%、中古住宅などを売買によって取得した場合(売買又は競売による所有権の移転)は2%、ローンなどを利用し不動産に抵当権を設定する場合は0.4%になります。

登録免許税の納付は、法務局へ不動産登記が完了するまでに収入印紙や銀行振り込みによって完了させる必要があります。

不動産を取得した場合は、不動産取得税

不動産取得税はその名の通り不動産を取得することで生じる税金です。税金の算出は登録免許税と同様に固定資産税評価額を用い、これに一定の税率を掛けて税額を算出します。

不動産取得税の税率は原則4%ですが、2021年3月31日までは軽減税率が利用可能となっており、土地と賃貸・自己居住問わず一定の床面積の新築住宅の場合は税率が3%となるなどの不動産取得税の軽減制度がありますが、中古の投資用不動産を取得した場合は軽減税率の適用を受けることはできないので注意が必要です。

不動産取得税の支払は固定資産税評価額の算出を待つ必要があるため、不動産取得後に各都道府県から送付される納税通知書を待って支払を行います。

投資用不動産の所有時の税金について

投資用不動産を所有し続ける場合、所得区分に新たに不動産所得が加わりますが、不動産所得は事業所得・山林所得・総合課税される譲渡所得と並び、給与所得などの他の総合課税される所得から損失額を差し引く「損益通算」が可能となっています。

不動産所得は賃料収入から賃貸経営に関わる各種税金や入居者募集の広告宣伝費などの経費を差し引いて算出しますが、この経費のなかには「減価償却費」という資金の支出を伴わないものがあります。

投資用不動産は、少しずつ資産価値を減じつつ長い年月をかけて賃貸収入を生み出すことができる資産です。

そのため、初年度に不動産取得費全てを経費としてしまうと、収入と経費の発生が実体にそぐわなくなってしまうので、不動産取得費を一定期間にわたり少しずつ経費として計上する減価償却が行われ、資金を流出することなく、税負担を抑えることも可能です。

不動産所得と青色申告特別控除

不動産所得は事業所得と密接な関係がありますが、特に不動産投資を事業的規模で行っている場合や、事業を営み事業所得を得ている場合は青色申告事業者の申請を行うことができ、不動産所得と事業所得から最大65万円の青色申告特別控除の適用を受けることが可能になっています。

固定資産税の算出方法と税額の見直し

固定資産税は、各自治体により土地や建物などに課税が行われます。この際税率を定めるのに固定資産税評価額を用いますが、この算出方法は総務省が定める固定資産税評価基準に沿い、屋根や天井、内装の仕上げやキッチンの構造、果てはコンセントの数に至るまで確認が行われます。

土地・家屋の固定資産税評価額は3年毎に評価額が見直されるため、それ以外の年は税額が据え置かれますが、評価基準が複雑なため課税額の誤りが発生する可能性があります。

このため、毎年4月1日から最初の固定資産税の納付期限までの間、自分や他の土地・家屋の固定資産税台帳を確認する「縦覧制度」が設けられていますので、周辺に比べて固定資産税が高すぎると感じる場合は、確認を行ってみることをおすすめします。

固定資産税の算出は、この固定資産税評価額を6分の1とする小規模住宅用地の特例などを反映し、それに標準税率の1.4%を掛けて算出を行います。

投資用不動産を売却する際の長期・短期譲渡所得の違いについて

投資用不動産の売却による所得は「譲渡所得」に区分されます。譲渡所得には総合課税されるものと、他の所得と区別して税金が課される分離課税のものがあり、不動産の売却による譲渡所得は分離課税となり、他の所得との損益通算は行えず、分離課税内での内部通算のみが可能となっています。

譲渡所得の算出は、売却による収入から投資用不動産の取得費と仲介手数料などの譲渡費用を差し引き、税率を掛けることで求められます。

投資用不動産の取得費は、購入した金額から減価償却費の累積額を差し引いたもので、取得費が不明な場合や取得費が5%に満たない場合は、収入金額の5%を取得費と見なす特例があります。

また、譲渡所得は所有期間が譲渡の日の1月1日から起算して5年以下であれば短期譲渡所得に該当し、税負担は所得税・住民税合わせて39.63%が課されます。

5年以上であれば長期譲渡所得に該当し、税負担は所得税・住民税合わせて20.315%に半減します。譲渡所得が1日でも長期の要件に満たない場合は税負担が大きく異なりますので、減価償却費による節税効果を見込んで売買を行う場合は所有期間に注意が必要です。

投資用不動産の取得による税金への影響を把握しよう

投資用不動産を取得することにより、不動産所得の追加や所得税などの節税効果など、税金に対しさまざまな選択肢を増やしてくれます。

しかし、不動産取得税や固定資産税などの新たな税金の負担が発生するほか、売却時の譲渡所得は所有期間が1日違うことによって税率が大きく異なるため注意が必要です。

投資用不動産を利用する際は、税金の構造が大きく変化することに留意し、投資の効果を充分に発揮できるようにしていきましょう。

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