武井利明
住宅メーカーに約20年営業職で勤務。現在は住宅専門ライターとして住まいの選び方、土地の選び方、ローンを含めた資金計画、プラン、メーカー比較、リフォームなど、幅広いテーマで多数のメディアに執筆。人気動画サイトの住宅系動画脚本なども手がける。営業マン時代に培った知識と経験を生かし、これから家を建てる方の悩みや疑問、不安を解決する記事を得意としている。

「インデックス投資」は、資産運用について調べているとよく目にする用語です。しかし「インデックス投資のメリットや注意点がいま一つ分からない」という投資初心者もいるのではないでしょうか。インデックス投資の注意点は明確です。十分に理解すれば比較的安定した初心者におすすめの投資手法といえるでしょう。

インデックス投資とは

インデックス投資とは株式市場の値動きを示す株価指数と連動するような運用を目指す投資手法です。株価指数とは、市場全体の動向を表す指標で例えば代表的なものとして日経平均株価(日経225)、東証株価指数(TOPIX)、海外ではニューヨークダウ(ダウ平均)などがあります。株価指数から特定のものを選びその指数が上昇すれば同じ分だけ上昇するように運用を行うことが特徴です。

市場全体の動向に沿っての運用を目指すため、リスクが少なく比較的安定した収益を得やすくなっています。

アクティブ投資との違い

インデックス投資とは対照的に指数以上の利益を目指す運用方法が「アクティブ投資」です。運用のプロとなるファンドマネージャーがチームを組み銘柄や市場の調査をしたうえで運用を行います。狙い通りの成果が得られればインデックス投資よりも大きな収益が見込める点がメリットです。しかし想定よりも低い収益となるリスクも大きくなります。

インデックス投資の3つのメリット

インデックス投資の主なメリットは、以下の3つです。具体的な金融商品は、後ほど詳しく説明しますが実際にインデックス投資を行うには投資信託などを購入することになるため、それを前提としたメリットになります。

手数料が抑えられる

投資信託などの金融商品の中でもインデックス投資で運用されるものは手数料が安い傾向です。積極運用をするアクティブ投資は銘柄の調査や選定、運用にさまざまなコストがかかるため、購入者が支払う手数料が高めに設定されています。しかしインデックス投資は特定の指数を基準として運用するため、手間が少なく手数料が安めに設定されているのです。

一般社団法人投資信託協会が公表している「投資信託の主要統計等ファクトブック(2020年12月末)」によると2020年度のインデックス投資の平均信託報酬は0.43%、アクティブ投資が1.15%でした。約0.72ポイントの差ですがインデックス投資は長期の資産運用として取り組む人が多い傾向です。信託報酬の差額がたとえ少額でも長い間に積み重なれば無視できない金額となります。できるだけ運用中の手数料を抑えたいのであればインデックス投資がおすすめです。

リスク分散が手軽にできる

リスク分散とは、幅広い金融商品に投資をして特定の銘柄が暴落などをしても資産運用全体への影響を最小限に抑える考え方です。インデックス投資で購入する投資信託などは、運用の基準を特定の指数に置いていますが運用自体はさまざまな金融商品に投資しリスク分散をしています。そのため個人でさまざまな金融商品に投資をしなくても投資信託などを選べば手軽にリスク分散ができるのです。

もちろんアクティブ投資の商品も分散投資をしていますができるだけ損失を抑えたいリスク分散の目的から考えればインデックス投資を投資信託で行う組み合わせはより安心といえるでしょう。

初心者が始めやすい

インデックス投資は、市場の状況が指数となって現れているため、知識や情報の少ない初心者でも市場の動きをつかみやすくはじめての投資に最適です。今後の動向を予想するため細かく銘柄を調査したり社会情勢を読んだりするのは投資に慣れた人でも手間と時間が必要になります。しかし大まかな指標が示されるインデックス投資なら資産運用を勉強中の人でも今後の動きを理解しやすいでしょう。

初心者のみならず多忙で投資の勉強や市場分析の時間を作りにくい人にとってもインデックス投資は向いています。

インデックス投資ができる金融商品

インデックス投資を実際に行う際は、インデックス投資で運用している投資信託やETFの金融商品を選ぶことになります。もちろん多くの中から銘柄を選び指標に近づけるよう自ら運用することも可能です。しかし銘柄の絞り込みは十分な調査と知識が必要となります。運用も多くの手間と時間、経験がないと期待する成果は得られないでしょう。

そのため初心者や本業があり時間が限られた人は、投資信託やETFを介してインデックス投資をする方法が現実的です。

投資信託とETFの違い

投資信託やETFで扱われるインデックス投資の金融商品の種類は非常に豊富です。商品選択時にしっかりと精査する必要がありますがその後の運用はプロに任せるため手間暇がかからず初心者や忙しい人に人気があります。投資信託は、株式をはじめさまざまな金融商品により運用をして利益を購入者に分配するものでETFはその投資信託を証券取引所に上場しリアルタイムで売買できるようにしたものです。

投資信託は商品を購入した後、運用成果を見守るスタンスになります。しかしETFは売買が頻繁にできるため、より積極的な運用を行うことも可能です。投資に取り組む時間が多少でも作れてできるだけ収益を上げたい人はETFを検討しても良いでしょう。

iDeCoやNISAでも取扱がある

資産運用への税制優遇商品となる「iDeCo」「NISA」などでもインデックス投資をしている商品を選ぶことができます。iDeCoは個人型確定拠出年金制度、NISAから派生したつみたてNISAは長期的な資産形成への税制優遇であり両者と長期の安定を目指すインデックス投資は非常に相性が良い組み合わせです。iDeCoの収益が受け取れるのは60歳からですが商品の選択肢が広く税制の優遇幅も大きくなっています。

一方つみたてNISAの税制優遇は限定的ですがいつでも換金可能です。それぞれの特徴を理解し自分に合った制度を選べばインデックス投資の安定性を活かしつつ税制優遇を受けられるため、メリットは非常に大きいといえます。

インデックス投資が連動を目指す株価指数

インデックス投資が連動を目指して運用する株価指数は多くの種類がありますがここでは代表的な3つの指数を紹介します。

日経平均株価(日経225)

東証1部上場の銘柄の中から日本経済新聞社が取引の活発な225の銘柄を選び算出した平均株価です。東証株価指数と並び広く知られている指数ですが225銘柄の単純平均であるため株価の高い特定銘柄の変動に影響されやすい特徴を持っています。

東証株価指数(TOPIX)

東証1部上場銘柄の時価総額を評価したもので算定時の全銘柄時価総額を1968年の基準日の時価総額で割り指数化したものです。東証1部の全銘柄を対象としているため、日経平均のように株価が高い特定の銘柄の変動影響を受けにくくなっています。

ダウ平均株価(ニューヨークダウ)

S&Pダウ・ジョーンズインデックス社が米国の代表的銘柄を選びリアルタイムで公表している平均株価です。ダウ平均株価は一つではなく工業株30種平均、輸送株20種平均、公共株15種平均、これらを合わせた総合65種平均があります。

インデックス投資を選ぶときの注意点

インデックス投資は多くのメリットがありますが選択する場合は、以下のような注意点を理解しておくことが必要です。

短期的に多くの収益を求めない

インデックス投資は、短期的に多くの収益を求めるものではありません。インデックス投資は、あくまで市場全体の動きに連動して運用されそこから大きく逸れない安定性を重視しています。アクティブ投資のようにこれから価値が上昇する銘柄などに狙いを定めより高い収益を目指すものではありません。そのためできる限りリスクを回避し長期に安定した収益をコツコツと積み重ねる投資をしたい人に向いている投資手法です。

任せきりにせず定期的なチェックをする

運用を完全に購入した投資信託などに任せきりにしないことは重要です。実際の運用は、信託会社が依頼する運用会社が行いしかも分散投資が行われるため安心して任せきりにしてしまう人も少なくありません。しかしできれば定期的に運用状況を確認し思うような成果が上がっていなければ信託商品を切り替えることも必要です。

安定しやすいといわれるインデックス投資ですがコロナウイルス感染拡大のような大きな経済の変化があれば影響がまったくないというわけにはいきません。せっかくの長期的な安定性を十分に活かすためにもぜひ定期的にポートフォリオのチェックを行うようにしましょう。