不動産投資
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投資したお金に対してどれくらいのリターンがあるか。これを客観的な数字で示す利回りは、物件の購入を検討するときに役立ちます。ただし、「利回りが高いから魅力的な物件だ!」といった勘違いをすると、マンション経営で大失敗する原因に−−。利回りの根本的な考え方や種類を正しく理解して、不動産投資の成功確率を高めましょう。

利回りを正しく理解せずに不動産投資の成功はない!

利回りは、不動産投資で賃貸マンションやアパートなどを買うときに重要な指標のひとつがです。利回りは収益の割合を年率(%)で示していて、率が高いほど収益性が高いことを表します。

株式など金融商品でも利回りは使われますが、不動産投資における利回りは計算方法や根本の考え方で違う部分もあります。不動産投資を始めるにあたっては、利回りの意味や種類を「完全に理解すること」がマストになります。これを省いて、マンション経営で成功することはできません。それくらい重要な指標です。

利回りの計算方法は「年間家賃収入÷物件の購入価格」

はじめに利回りの計算方法ついて紹介します。不動産投資の利回りの計算方法は簡単です。公式で表すと下記のようになります。

利回り=(想定される)年間家賃収入÷物件の購入価格×100

この公式にあてはめて計算すると、例えばマンションAの利回りは年間家賃収入が200万円で購入価格3,000万円なので6%台後半です。これに対して、マンションBの利回りは年間家賃収入が180万円で購入価格が2,500万円なので7%前半になります。理論上は、マンションBの方が高利回りなので「投下した費用を早く回収できる」ということになります。

条件利回り
マンションA年間家賃収入200万円÷購入価格3,000万円6.66%
マンションB年間家賃収入180万円÷購入価格2,500万円7.2%

初心者は要注意!利回りをチェックするときの3つの視点

先ほどの例は、新築マンションや好立地の中古マンションの利回りに近いイメージです。同じマンション経営でも築古マンションになると、高利回りになりキャッシュフローが有利になります。新築マンションや好立地の中古マンションだと月々の収支が赤字のケースも多いですが、築古マンションだと黒字のケースも目立ちます。

築古マンションは購入価格が安い分、2ケタ台の高利回り物件も少なくありません。ただし、こういった築古マンションに本当に投資価値があるかは、物件の中身を見てみないと判断できません。利回りはあくまでも表面上の大まかな投資効率の目安なので、実際の収支を示しているわけではありません。利回りをチェックするときは、次の3つの視点が大事です。

利回りチェックの視点1: 長期空室の可能性がないか

一般的に表示されている利回りは、空室がない状態の「満室想定利回り」です。中古マンション、とくに築年数の経っている築古マンションは、稼働率が悪かったり、長期空室になったりといったケースもあります。中古マンションを購入する際は、過去の稼働状況を必ず確認しましょう。

だからといって、空室の中古マンションが必ずしも悪いわけではありません。長期空室になっていることが原因で割安で市場に出ている可能性もあります。こういった物件を上手く再生できれば高利回りを得ることも可能です。

利回りチェックの視点2:相場家賃とかけ離れていないか

利回りの計算式は「年間家賃収入÷物件の購入価格」なので、年間家賃収入が高くなるほど利回りが高くなります。そのため、相場よりも高い家賃を強引にあてはめて利回りを高く見せかける業者もいます。利回りは、あくまでも相場の家賃で出さないと意味がありません。

相場の家賃を確認するには、信頼できる不動産会社から情報提供してもらうとスムーズです。それと共に、ご自身で同じエリアの競合物件の家賃をネットなどでリサーチしてダブるチェックすると安心です。

利回りチェックの視点3:過去の家賃をあてはめていないか

家賃は築年数が経つごとに下落していくのが普通です。平均的に家賃は年1%ずつ下落していきます(好立地物件は下落率が緩やかなことも)。築古のマンションに新しかったときの家賃をあてはめて、利回りを高く見せかけることもできます。こういったことがないよう、利回りのもとになっている家賃が最新のものになっているか、不動産会社にはか必ず確認しましょう。

「表面利回り」と「実質利回り」の違いとは?

ここまでの内容で利回りの根本的な考え方についてご理解いただけたと思います。利回りに関してもうひとつ重要なのは、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があることです。

表面利回りとは?

冒頭で紹介した「年間家賃収入÷物件の購入価格」の公式で割り出される利回りは、表面利回りを指します。通常「利回り」と物件紹介などに記載されていれば、表面利回りを意味します。これを使うと、おおまかな収支イメージをつかむときに便利です。

表面利回りの活用シーンとしては、数多くの投資物件の中から候補物件を絞り込むときなどに使われます。表面利回りは「グロス利回り」などとも呼ばれます。先ほどご紹介した「満室想定利回り」も一般的に表面利回りと同義です。

実質利回りとは?

実質利回りは、不動産投資で発生する経費や税金などを加味して計算したもの。実際にマンション経営したときの収支にかなり近いものになります。「ネット利回り」などとも呼ばれます。公式は以下のようになります。

(年間家賃収入−年間経費)÷(物件の購入価格+購入時諸経費)×100

なお、上記の公式の「年間経費」と「購入時諸経費」に含まれる項目例はこちらです。

〈年間経費に含まれる項目例〉
固定資産税・都市計画税、所得税・住民税、AD(客付会社に払う広告料)、管理料、管理委託費、修繕積立金、修繕費、ローン金利など

〈購入時諸経費に含まれる項目例〉
仲介手数料、不動産登記手続きの報酬、印紙税、登録免許税、不動産取得税、火災保険料、金融機関に払う融資事務手数料、ローン保証料など

ただし、実質利回りの計算時に、これらの項目をすべて反映させなければいけないわけではありません。精度が低くて構わないときは、主な項目だけで計算することもあります。

実質利回りの活用シーンとしては、購入間近の物件のキャッシュフローをつかむためなどが考えられます。実質利回りを出すには手間がかかりますが、リアルなマンション経営の収支をつかむためにも、ご自身で計算する価値はあるでしょう。

まとめ

この記事を通して、単純に「利回りが高いマンションが買いではない」ことがご理解いただけたのではないでしょうか。利回りといっても、そこにリアルな状況が反映されていなければ、机上の空論でしかないのです。リアルな利回りを手に入れるためには、次の3つの視点が重要でした。

〈利回りチェックの3つの視点〉
・長期空室の可能性がないか
・相場家賃とかけ離れていないか
・過去の家賃をあてはめていないか

ただし、この確認作業はオーナー自身だけでは、なかなか難しいというのが実状です。情報提供やアドバイスを積極的にしてくれる不動産会社をパートナーに選ぶことも大切です。

利回りは不動産投資をするときの指標のひとつでしかありません。マンション経営を成功に導くには、数多くの方向から物件を精査することが大事です。そのためには幅広い知識が必須−−。この知識を身に付けるために当メディアをお役立てください。