田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

不動産投資の有力な候補地として知られる、東京都港区。区内には主要なターミナルや有名スポットがいくつもある一方で閑静な住宅街も併せ持つ、魅力的なエリアです。千代田区、中央区、新宿区、渋谷区と合わせて港区は「都心5区」の一角としても知られ、人気、知名度ともに東京を代表する区の1つといってもよいでしょう。

そんな港区には名門とされる公立小学校が点在し、それらの小学校の校区は特に人気が高く不動産投資の観点からも注目のエリアとなっています。今回はそんな港区内の名門小学校にスポットを当てて、それぞれの特色や、不動産投資の観点から「名門小学校」とはどんな存在なのかについて解説します。

港区の名門小学校の御三家とは

港区内の名門小学校として特に高い知名度を誇るのは、青南小学校、白金小学校、そして赤羽小学校の3校です。その中でも特に青南小学校の知名度が高く、多くの人が港区の名門小学校として筆頭格に挙げる存在です。なお、青南小学校の「青」、白金小学校の「白」、赤羽小学校の「赤」といったように、この3校はいずれも校名に色が含まれています。しかもこの3色はフランスの国旗である「トリコロール」と同じであるとして、この名門3校を「トリコロール」と表現する人もいます。

ちなみに、東京全体で見ると公立御三家と呼ばれる小学校は千代田区の番町小学校、港区の青南小学校、白金小学校なので、東京全体で見ても青南と白金の両校は名門と目されていることが分かります。

青南小学校の特徴

港区の名門小学校の中でも雄とされる青南小学校は、西麻布や南青山など、不動産の価値がとても高いエリアを校区としています。近隣の青南幼稚園、青山中学校と一貫教育に取り組むなど独自性を打ち出しており、東京大学への進学者が多いことでも知られています。

白金小学校の特徴

白金小学校の校名どおり、白金や白金台など「白金」エリアを校区としています。以前はこのエリアに住む女性が「シロガネーゼ」と呼ばれていたほど知名度の高い高級住宅地であり、その地位は今も健在です。

小学校としての歴史はとても古く、創立は明治9年です。すでに140年以上の歴史を有する伝統ある小学校であることも、同校のブランド価値を高めています。校区の特性上、教育熱心な家庭が多く、卒業時にはほとんどの児童が私立や国立の中学校受験にチャレンジしているともいわれます。

赤羽小学校

都営地下鉄大江戸線の赤羽橋駅から近く、高台にある小学校です。進学校として知られる都立三田高校と隣接し、周辺には各国の大使館があるという立地で、港区から文教地区に指定されているエリアを校区に含みます。学校としても保護者からのニーズに応えるべく中学校受験をサポートする態勢をとっており、前述までの2校と併せて人気小学校として広く知られています。

「トリコロール」以外にも港区には名門小学校が多数

ここまでは港区内の名門小学校として「トリコロール」とも呼ばれる3校をご紹介しました。しかし港区内の名門小学校はこの3校だけでなく、ほかにも有力な小学校があります。

笄小学校は、少々読み方が難しいのですが「こうがい」と読みます。開校は明治40年、同校が所在している土地柄もあって外国人の児童も多く、国際性を養えるとして人気を集めています。

高輪台小学校は、臺町小学校と高輪小学校が合併して誕生した小学校です。青山小学校は先ほどご紹介した一貫教育体制の青南小学校と校区が隣接しており、中学校に進学したときの校区が青南小学校と同じ青山中学校であることから、こちらも人気小学校として知られています。

港区内には最近話題の小中一貫校も

「トリコロール」に加えて、それに準ずる人気を誇る小学校をご紹介してきましたが、港区内にはそのほかにも話題を集めている小中一貫校があります。

お台場学園は、海に面した立地条件を生かして小中学校としてはとても珍しいセーリングヨット部の部活があるところがユニークです。もう1校の白金の丘学園は、三光小学校、神応小学校、朝日中学校の3校が合併して誕生した小中一貫校です。校名が示しているように学校が白金にあり、校区に高いブランド価値をもつエリアが含まれている点も不動産投資の観点からは注目に値します。

不動産投資で「名門小学校」を意識する意味

港区内の名門小学校を簡単にご紹介してきましたが、次にこうした名門小学校と不動産投資の関係について考察してみましょう。ここでご紹介している小学校はいずれも公立小学校なので、どの学校にも校区があります。私立と違ってこれらの小学校に通うにはそれぞれの校区内に住んでいる必要がある点が、不動産投資と大きく関わってきます。

これらの小学校に子どもを通わせたいと思う人は、それぞれの校区内に住居を構えるために校区内の不動産を求めることになります。つまり、これらの名門小学校の価値が高いほど校区内にある不動産の価値も高くなり、賃貸経営の安定化や収益性の向上に寄与します。

さらに、ここでご紹介した「港区の名門小学校」には長い歴史をもつ学校が多く、歴史が長いだけに著名人や大物の卒業生を輩出していることも少なくありません。このことも学校の知名度を高め、その人気が校区内の不動産にブランド価値をもたらします。

大都市圏には、文教地区として指定されているエリアがあります。過度な市街化や教育環境の悪化を防ぎ、静かな教育環境を維持するために都市計画法が定めている特別用途地区の一種として自治体から指定されます。文教地区に指定されたエリアではホテルや遊技場など繁華街にあるような施設を設置することができませんが、港区でも同様に文教地区として指定しているエリアでは環境の保持が図られています。

港区内で文教地区として指定されているのは北青山や三田などのエリアで、場所によっては名門小学校の校区に含まれているところもあります。文教地区に直接指定されていなくても周辺の地区も含めて同様の都市環境になることが多く、文教地区に準ずる環境を手に入れやすいエリアとなります。

文教地区は子どもの良好な教育環境を求める人や富裕層から好まれやすく、家賃が高くても文教地区やその周辺に住みたいという旺盛な需要があります。こうした家賃相場の高いエリアで賃貸物件を求めている人たちは優良な顧客が多く、滞納や原状回復など金銭トラブルが起きにくいという二次的なメリットもあります。

名門小学校と文教地区、そしてこうしたエリアを好む顧客層。港区内にはこの3つが揃っているエリアがいくつも点在しており、このことも不動産投資の黄金エリアと目される理由の1つです。

当然ながらこうしたエリアは地価が高く、マンションの物件価格も決して安くはありません。だからこそ医師や企業経営者など属性の高い方々にとって最適な不動産投資の候補地となります。物件の価格が高いことで参入障壁も高く、競合が少ないことも賃貸経営をしていくうえで重要な優位性です。

その一方で立地条件や教育環境のよさ、ブランド価値の高さゆえに資産価値が低下しにくく、長期間にわたって安定的な賃貸経営を見込むことができます。読者の皆さんの中にはご自身が住むことを前提に港区の名門小学校の情報を求めておられる方もおられると思いますが、住むだけではなく不動産投資の候補地としても非常に有望なエリアです。

高い資産性と安定した需要、そして今後もそれが続くと見込まれることは不動産投資の典型的な「勝ちパターン」ですが、港区内の名門小学校校区にはその理想的なモデルがあるといってよいでしょう。