資産いくらあれば富裕層と呼ばれる?全世帯に占める割合は?
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お金持ちを表す言葉のひとつに「富裕層」があります。富裕層と呼ばれるためにはいくらくらいの資産を保有している必要があるのでしょうか。

今回は、富裕層とは何か、いくら持っていれば富裕層なのか、全世帯に占める割合はどれくらいなのか、富裕層にはどのような人がいるのか、コロナ禍における富裕層の意識の変化などについて解説します。

富裕層とは?いくら持っていれば富裕層なの?

「富裕層」とはどのような人を指すのでしょうか。一般的には、資産をたくさん持っている人を指します。いくら持っていれば富裕層であるかは、明確な定義はありませんが、純資産もしくは純金融資産が1億円以上の人のことを富裕層と呼ぶケースが多いようです。

富裕層ビジネスの世界において、よく引用される(参考にされる)野村総合研究所(以後、NRI)の「NRI富裕層アンケート調査」(2020年12月21日発表)では、「純金融資産保有額が1億円以上5億円未満」を富裕層と定義しています。「純金融資産保有額」とは、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた金額を指しています。

総資産、純資産、純金融資産の違い

重要なことは「総資産1億円以上」ではないということです。総資産、純資産、純金融資産は何が違うのでしょうか。

総資産とは、負債も含めたすべての資産の総額のことです。例えば、Aさんは不動産投資を行っており、つい先日、フルローンで3億円の物件を購入したとします。この不動産以外には、貯金が2,000万円あるとします。便宜上、不動産と貯金以外の資産はないものと考えて下さい。

このとき、Aさんの総資産は3億2,000万円です。このように聞くと、Aさんは富裕層であるように感じます。しかし、「純資産もしくは純金融資産が1億円以上の人のことを富裕層と呼ぶ」とすれば、Aさんは富裕層に該当しません。なぜなら、純資産および純金融資産が1億円に届いていないためです。

まずは、Aさんの純資産から考えてみましょう。純資産とは、総資産から負債を差し引いた金額のことです。つまり、3億2,000万円−3億円=2,000万円です。1億円には届いていないことが分かります。

次に、Aさんの純金融資産を考えてみましょう。純資産とは前述のように、金融資産の合計額から負債を差し引いた金額のことです。つまり、2,000万円−3億円=マイナス2億8,000万円です。1億円に届いていないどころか、プラスにもなっていません。

上記はやや極端な例かもしれませんが、「いくら持っていれば富裕層なのか」を考える際は、定量的なハードルとともに、総資産、純資産、純金融資産の違いを理解することが重要です。

富裕層は日本にどれくらい存在する?保有資産は?

それでは、富裕層は日本にどれくらい存在しているのでしょうか。前述のNRI調査によると、2019年の純金融資産保有額の階層別に見た保有資産規模と世帯数は以下のようになっています。

マーケットの分類 世帯の純金融資産保有額 世帯数 保有資産規模
超富裕層 5億円以上 8.7万世帯 97兆円
富裕層 1億円以上5億未満 124.0万世帯 236兆円
準富裕層 5,000万円以上1億円未満 341.8万世帯 255兆円
アッパーマス層 3,000万円以上5,000万円未満 712.1万世帯 310兆円
マス層 3,000万円未満 4,215.7万世帯 656兆円

NRI調査の場合、世帯の純金融資産保有額が5億円以上を「超富裕層」と定義しているため、富裕層は124万世帯という結果となりました。保有資産規模は236兆円です。

世帯数全体に占める割合は、124.0万世帯÷(8.7万世帯+124.0万世帯+341.8万世帯+712.1万世帯+4,215.7万世帯)×100=約2.3%です。

保有資産規模全体に占める割合は、236兆円÷(97兆円+236兆円+255兆円+310兆円+656兆円)×100=約15.2%です。

世帯数割合が約2.3%にも関わらず、保有資産規模割合は約15.2%ですので、富裕層世帯に富が集中していることが伺えます。なお、このNRI調査は個人数ではなく世帯数であることに注意して下さい。

富裕層は増えている?減っている?

上記は2019年のデータです。単年ではなくトレンドとしては、富裕層は増えているのでしょうか。減っているのでしょうか。結論として、ここ約10年の富裕層の数は増加トレンドにあります。

再び、前述のNRI調査の内容を確認していきましょう。2005年〜2019年における富裕層の保有資産規模と世帯数の推移は以下の通りです。

世帯数(万世帯) 純金融資産(兆円)
2005 81.3 167
2007 84.2 189
2009 79.5 150
2011 76.0 144
2013 95.3 168
2015 114.4 197
2017 118.3 215
2019 124.0 236

2009年調査、2011年調査は数字が低迷しています。これはリーマンショックによる景気後退が起こったことが影響していると思われます。一方、2011年から2019年までは世帯数、保有資産規模ともに一貫して増加傾向にあります。

増加している理由として、「資産価格上昇」と「相続」の2つが想定されます。日経平均株価の推移を見ると、2011年終値では1万円を割っていましたが、2019年終値では2万3,000円を超えています。同時期において、日経平均株価以外の多くの資産価格も上昇しています。それらの資産を保有していた人が、値上がりによって富裕層の仲間入りをしたということです。

また、高齢化が進む日本においては、毎年数多くの相続が発生しています。例えば、3億円の純金融資産を保有している富裕層が他界し、非富裕層の子ども2名が均等に資産を相続した場合、富裕層1名が亡くなって、新たに富裕層2名が誕生します(細かい相続税の計算は省略します)。高齢の富裕層が他界することで、子どもたちに資産移転が起こり、死去人数を上回る富裕層が新たに誕生しているということです。

富裕層にはどんな人がいる?

富裕層にはどのような人がいるのでしょうか。ここからは、代表的な富裕層の属性を紹介します。

まず挙げられるのは「オーナー経営者」です。事業法人のオーナー経営者はもちろん、開業医も病院やクリニックを所有(オーナー)している経営者ですので、このセグメントに入れて良いでしょう。オーナー経営者は、富裕層の代表格と言えます。

また、「地主(不動産オーナー)」も挙げられます。地主と呼べるほどの不動産を保有する不動産オーナーの場合は、代々の資産家であるケースが多いです。

さらに、「リタイアメント層」も挙げられます。資産を持つリタイアメント層を「シルバーリッチ」と呼ぶこともあります。

富裕層(オーナー経営者)の資産管理の考え方の変化

前述のNRI調査では、「富裕層の代表格であるオーナー経営者がコロナ禍で資産管理の考え方がどのように変化したか」についても調査しています。回答割合が最も多い3つは以下の通りです(富裕層だけではなく、富裕層と超富裕層の回答を合わせた比率です)。

1位「個人資産のことよりも、所有する事業や法人の先行きが、以前よりも心配になった」(53%)
2位「複雑でわかりにくい商品よりも、シンプルでわかりやすい商品を好むようになった」(50%)
3位「経済の先行きや、自分が管理・運用する資産に関して、積極的に情報収集や勉強するようになった」(47%)

事業への心配が増し、積極的に情報収集しつつ、シンプルな商品で運用したい姿が浮かび上がってきます。

富裕層の生活の変化

前述のNRI調査では、「富裕層の代表格であるオーナー経営者がコロナ禍で消費や生活の変化がどのように変化したか」についても調査しています。回答割合が最も多い3つは以下の通りです(富裕層だけではなく、富裕層と超富裕層の回答を合わせた比率です)。

1位「健康や体力増進に関する意識が強まった」(65%)
2位「家族との会話やコミュニケーションが増えた」(51%)
3位「ソーシャルディスタンスを意識した旅行をするようになった」(47%)

コロナ禍らしい回答が並んでいます。富裕層は相対的に消費額が大きい傾向があるため、彼らの消費動向を追うことは重要と言えるでしょう。

全世帯に占める富裕層の割合は約2.3%

ここまで、富裕層とは何か、いくら持っていれば富裕層なのか、全世帯に占める割合はどれくらいなのか、富裕層にはどのような人がいるのか、コロナ禍における富裕層の意識の変化などについて解説してきました。

明確な富裕層の定義はありませんが、純資産もしくは純金融資産が1億円以上の人のことを指すケースが多いようです。また、NRI調査によると、全世帯に占める富裕層の割合は約2.3%でした。ごく限られた人(世帯)が富裕層と呼ばれる水準に達しています。

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