硬貨は「穴があるもの」と「穴がないもの」の2つに分類できます。なぜ5円と50円には穴があるのか、不思議に思ったことはありませんか?どうして穴が作られたのか、気になる理由を紹介します。

現代の硬貨に穴がある意外な理由

日本の硬貨はすべて円形で、一部の硬貨には穴があけられています。日本の硬貨がすべて円形になったのは明治時代のこと。当時の政府が四角形よりも使うときに便利、角がないから摩損が少ないという理由で硬貨をすべて円形にしたそうです。

理由1「識別のため」

ではなぜ穴をあけたのでしょうか。すべての硬貨を円形にしたことで、どれがどの金額の硬貨か、その識別が難しくなりました。そこで他の硬貨との違いがわかりやすくなるように5円と50円に穴をあけたといわれています。硬貨に穴をあけた1つめの理由は「識別のため」だったのです。

理由2「偽造防止」

2つめの理由は「偽造防止」です。硬貨をすべて同じ形にしたことで、硬貨の偽造リスクが高まってしまいました。一部の硬貨に穴をあけたのは、「偽造の際に加工しにくくなるため」です。

穴あきの貨幣と日本の貨幣の歴史

日本では古くから穴あきの貨幣が使用されていたことはご存じでしょう。奈良時代・平安時代に使われていた和同開珎や江戸時代の寛永通宝など、歴史の教科書にも登場した貨幣も穴あきです。しかしこれは日本独自の文化ではないことが、貨幣の歴史からわかります。

実は貨幣を中国から輸入して使用していた

戦国時代まで、日本では中国から輸入した貨幣を使用していました。日本で産出した砂金を輸出して、その代わりに中国の貨幣を輸入し、国内で使用していたのです。室町時代には、中国との貿易が本格化し「永楽通宝」が輸入され、国内で使用されるようになりました。

その後、日本は採掘された金や銀を用いて独自の通貨を作り始めました。武田信玄の甲州金や豊臣秀吉の天正長大判・天正菱大判が有名です。

明治に入ると、近代的な貨幣制度を整えるために政府は造幣局を設置し、新たな貨幣を発行しました。日本の法定通貨「円」が誕生したのもこの頃です。

1871年に新貨条例が制定され、金貨、銀貨、銅貨が発行されて、金1.5グラムを1円と定めています。意外にも、日本銀行が設立されたのはさらに後の1882年です。

1920年には金貨幣の製造が中止され、1932年には実質的に管理通貨制に移行し通貨の発行量が調整されるようになりました。

調べてみると面白い!お金のこと

日本の通貨の歴史に興味を持ったなら、ぜひ世界の通貨の歴史も調べてみましょう。現代の生活では欠かせないものになっている「お金」という存在が、なぜ誕生し、いつ、どのようにして現在のような制度が作られたのかも少しずつ見えてくるようになるでしょう。

お金の歴史は経済の歴史です。仮想通貨(暗号資産)という新たなお金が生まれている今だからこそ、今後お金がどのような形になり制度が変わっていくのかを、これまでのお金の歴史をもとに想像してみるのも楽しそうです。