季節を問わずに日焼け止めを使用している人も多いのではないでしょうか。日焼け止めは、とても身近なものですが使用するうえで注意したいことがいくつかあります。そこで今回は、日本人にあまり知られていない日焼け止めのリスクについて解説します。

化学物質が皮膚から吸収されていた

太陽光に含まれる紫外線は、浴びすぎると体に悪影響をおよぼす可能性があるため、年齢・性別を問わず多くの人が日焼け止めを使用しています。しかし米食品医薬品局(FAD)が「日焼け止めに配合されている化学物質が皮膚から体内に吸収されている」といった論文を発表していることをご存じでしょうか。(日焼け止め有効成分の血しょう濃度に対する最大使用条件下での日焼け止め塗布の効果:2019年5月)

これまで日焼け止めを含む化粧品などに含まれる化学物質は、皮膚の表面にとどまり体内に吸収されないのが通説でした。しかしそれがこの論文によって覆されてしまったのです。

塗布から数時間で血液に到達

同論文によると日焼け止めに含まれる化学物質は、塗布から数時間で血液中に取り込まれるとしています。スプレーやクリーム、ローションのいずれでも同様の結果が得られています。特にスプレーとローションでは、血液中の化学物質のレベルは「塗布をやめても実験終了まで上昇し続けた」というデータもあるのです。

日焼け止めに含まれる成分は安全なのか

化学物質が皮膚から吸収されるとしてもその物質が体に悪影響をおよぼすものでない限りそれほど気にすることはありません。しかし「日焼け止めに含まれる『アボベンゾン』が塩素や紫外線と反応して体に悪影響をおよぼす物質に変化する」という論文が2016年9月に発表されています。

論文によるとアボベンゾン入りの日焼け止めを紫外線と塩素消毒されたプールの水で実験したところアボベンゾンが毒性の強い化学物質に変化したそうです。

すべての日焼け止めが危険なわけではない

日焼け止めに限らず「安全に使える」と思われる市販品の中でも研究を進めていくうちに「実は危険なもの」と分かる可能性があります。そのため消費者は、体に直接使用するものについて慎重に選択することが必要です。

また今回紹介した論文は「すべての日焼け止めが危険」といっているわけではありません。気になる方は、紫外線吸収剤や防腐剤、保存料などの化学物質がなるべく含まれていない日焼け止めを選択するといいでしょう。