コロナ禍によって進む不動産業界のデジタル化
(画像=SasinParaksa/stock.adobe.com)

コロナ禍によって住まい探しにおけるデジタル化を望む声が高まっています。2020年8月に株式会社スペースリーが行った調査によると住まい探しで「在宅勤務のしやすさ重視する」と回答した割合は46.6%、「現地内覧よりもネットでの情報収集を重視する」と回答した割合は44.8%、「不動産会社の店舗への来店を控える」と回答した割合は42.2%でした。一方でイタンジ株式会社やWealthPark株式会社など、不動産テック6社と一般社団法人不動産テック協会との共同調査によると「DXに取り組んでいない」と回答した不動産会社の割合は約40%と多く企業規模100人以下の企業においてその傾向が顕著です。

新型コロナウイルスについては、ワクチン接種が進む一方で変異株への警戒が必要となっており「ウィズコロナ」の住まい探しのあるべき姿の模索が今後も当面続くことでしょう。この記事では、コロナ禍における生活者(賃貸検討層)と不動産事業者の意識・取り組みについて取り上げ不動産投資を成功させるための不動産DXについて考察します。

コロナ禍による賃貸検討層の態度変容

まずコロナ禍における住まい探しの傾向について検証します。

コロナ禍の住まい探しニーズ

以下の表は、コロナ禍の住まい探しでどのようなニーズが高まっているかをアンケートし、その結果をまとめたものです。

Q : 新型コロナウイルスの影響で具体的にどのように変わると思いますか?(複数選択)

回答内容2020年8月調査2020年12月調査
自宅周辺の生活のしやすさを重視55.2%50.8%
在宅勤務のしやすさを重視46.6%46.4%
不動産会社の店舗への来店を控える42.2%45.0%
現地内覧よりもネットでの情報収集を重視44.8%44.0%
住む場所(最寄り駅等)のこだわりが減る22.0%26.2%
インテリアなど家の中の住みやすさを重視23.9%22.5%
特にない・分からない5.2%4.7%

引用:株式会社スペースリー「賃貸お部屋探し全国消費者調査レポート」

コロナ禍における住まい探しで最も変わった点は、感染防止の観点から「他者との接触を控えたい」と考える傾向が強まったことにあります。「不動産会社の店舗への訪問を控える」「現地内覧よりもネットでの情報収集を重視」(赤字箇所)といった割合が増加しており約半数が回答。また同調査の世代別の結果を見ると10~20代は「現地よりもネットでの情報収集を重視」と回答した人が58.9%でした。

さらに「不動産会社の店舗への来店を控える」と回答した人は50%となっており若い世代のほうがオンラインでの住まい探しに積極的なことが分かる結果といえるでしょう。

オンラインでの住まい探しニーズ

以下のグラフは、賃貸物件の家探しでオンラインの相談、店舗相談どちらが良いかを聞いたものです。

コロナ禍によって進む不動産業界のデジタル化
引用:株式会社スペースリー「賃貸お部屋探し全国消費者調査レポート」

全体で見ると「オンライン」と回答した割合は10%強にとどまっていますが「オンライン」「店舗」の両方と回答した割合は50%程度です。30代男性に絞って見ると「オンライン」が20%強と特に高い割合となっています。以下のグラフでは、エリア・属性別に賃貸物件の家探しでオンラインの相談、店舗相談どちらが良いかを聞いた結果をまとめています。

コロナ禍によって進む不動産業界のデジタル化
引用:株式会社スペースリー「賃貸お部屋探し全国消費者調査レポート」

「オンライン」の割合は、男性のほうが高い傾向にあり、女性よりも約2~3倍程度多い結果となりました。特に東京の男性では、約30%が「オンライン」のみの対応を求めており同じ都市圏の大阪(5%未満)とは傾向が大きく異なっていることが特徴です。

賃貸借契約のオンライン化ニーズ

以下のグラフは、賃貸借契約における電子契約の利用意向を調査したアンケート結果をまとめたものです。

コロナ禍によって進む不動産業界のデジタル化
引用:イタンジ株式会社「賃貸借契約における電子契約の利用意向について」

賃貸住宅の入居時に行う契約について「電子契約を選択したい」と回答した割合は73%に上りました。同社では、2020年2月にも同様の調査を実施しています。その際の「電子契約利用意向」は、57%でした。コロナ禍を経て電子契約の利用意向が徐々に高まってきている傾向です。

不動産業界全体のDX進捗

一方、サービスを提供する不動産業界のDXの進捗についてどのような状況なのでしょうか。以下のグラフは、不動産会社に対して「自社のDXの取り組み」について聞いた調査結果をまとめたものです。

コロナ禍によって進む不動産業界のデジタル化
引用:イタンジ株式会社 他5社、1団体「DX意識調査」

全体の62%がDXに取り組んでいると回答する一方、38%が現状で取り組んでいないという結果になりました。現状で取り組んでない38%を企業規模別に見ていくと、50人以下の企業の過半数が「まだ取り組んでいない」「取り組む予定なし」と回答しています。その理由について、DXを進めていくうえで課題となっていることについて聞いた調査結果を以下のグラフにまとめていますので確認してみましょう。

コロナ禍によって進む不動産業界のデジタル化
引用:イタンジ株式会社 他5社、1団体「DX意識調査」

DXが進まない主な理由としては、以下のことが挙げられています。

  • 知識・ノウハウを持っていない
  • 人的リソースが足りない
  • 費用対効果が分かりにくい

不動産業界には、書類での確認(押印)・重要事項説明・審査など古くからの商慣習があったり取引額が高額であったりすることなどからデジタル化に二の足を踏むケースが多くなっているといえるでしょう。

<まとめ>不動産投資と不動産DX

ここまでコロナ禍における生活者(賃貸検討層)と不動産事業者の意識・取り組みについて紹介しました。ポイントは、以下の通りです。

  • コロナ禍によって「不動産会社の店舗への訪問を控える」「現地内覧よりもネットでの情報収集を重視」する割合が増加しており特に10~20代はその傾向が他世代よりも顕著な傾向にある

  • 賃貸の住まい探しで利用意向が強いのは、オンラインと店舗相談の両方(併用)で60%を超える結果となっており女性よりも男性で顕著な傾向となっている

  • 不動産電子契約の利用意向は73%で2020年2月の調査の57%から増加しておりコロナ禍の影響で利用意向が高まっている

  • DXに取り組んでいない不動産会社は全体の約40%で特に小規模事業者において割合が高まる傾向にある。その主な理由としてDXに関する知識・ノウハウ不足、人的リソース不足が挙げられる

不動産投資を成功させるためには、入居率を高く維持することが必要です。そのためには、不動産会社の集客力が重要となります。エンドユーザーは、賃貸の住まい探しおよび契約におけるDXの利便性に加えコロナ禍における安心安全な住まい探しのためにデジタル化を望む傾向が高まっています。2021年時点においてもウィズコロナは、当面続く可能性が高いでしょう。

そんな中、不動産集客ひいては不動産投資の成否において不動産DXを適切に推進している不動産会社の利活用が欠かせない要素の一つとなりそうです。

【調査概要】

株式会社スペースリー「賃貸お部屋探し全国消費者調査レポート」

  • サンプル数
    363(配布数2,504、回答者530、回答率21.2%のうち賃貸家探し経験者の回答を集計)
  • 対象
    賃貸の家探しを経験したことある全国の10~50代の男女
  • 実施期間
    2020年8月20日~8月21日
  • 実施方法
    オンラインによるアンケート

イタンジ株式会社「賃貸借契約における電子契約の利用意向について」

  • 調査期間
    2021年6月7日(月)~2021年6月20日(日)
  • 総回答数
    1,556
  • 有効回答数
    1,301
  • 調査対象
    OHEYAGO Twitterアカウントのフォロワー
  • 調査手法
    インターネット調査

イタンジ株式会社 他5社、1団体「DX意識調査」

  • アンケート実施期間
    2021年6月3日~6月25日
  • アンケート回答数
    不動産事業者219社/237名
  • アンケート実施方法
    インターネットによる調査

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