田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

投資信託は、投資に精通していない人でもプロのファンドマネージャーに運用を任せられることが大きなメリットです。しかし「プロが運用するから安心」と無条件で思いこんでしまうのは早計といえるでしょう。なぜなら投資信託といっても「運用成績が良好とはいえない」「手数料が高すぎるあまりに投資家に利益が還元されない」など購入しないほうがよい商品もあるからです。

投資信託であれば何でもいいわけではありません。重要なのは「投資家にしっかりと利益がもたらされる投資信託であるかどうか」です。しかし資産運用の有効性が高い高収入者層は本業が忙しくそれを見極める時間を割くのもひと苦労ではないでしょうか。そこで当記事では、運用したい資金はあるけど忙しいので選ぶ時間がない人に向けて、投資信託に対する正しい認識と「3大NG」について紹介します。

また本当に資産運用に役立つ投資信託についても確認していきましょう。

投資信託なら何でもいいわけではない

「自分で投資をするには知識や経験が足りない」と感じている人の多くは、投資信託を検討されているのではないでしょうか。投資信託を選択すること自体は間違いではありませんが、投資信託であれば何でもいいわけではない点は注意が必要です。そこで知っておきたいのが、避けておきたい投資信託の「3大NG」です。

避けておきたい投資信託の「3大NG」

以下の3つの条件に当てはまる投資信託では、資産を増やすのが極めて困難と言わざるを得ません。投資信託の中でもこれらに一つでも当てはまる場合は、リスクが高いと判断しておきましょう。

1.基準価額が右肩下がり

投資信託の価格のことを「基準価額」といいます。基準価額が設定以来右肩下がりになっているのはNGです。理由は言うまでもなく運用成績が思わしくないからでこれまでV字回復できなかったものが今から上昇していくとは考えにくいでしょう。そのため「設定時の基準価額を下回っている」「基準価額が右肩下がり」「長期にわたって低迷したまま」といった投資信託は避けたほうが無難です。

投資信託の世界でよく使われる用語に「アクティブ運用」と「パッシブ運用」があります。パッシブ運用とは、市場全体の平均値(株価指数など)と連動する運用で、アクティブ運用はその平均値を上回る運用成績を目指すものです。もし購入を検討している投資信託がアクティブ型にもかかわらず市場の平均値を下回る運用成績しか上げていない場合、「パッシブ運用をするインデックスファンドを買ったほうがまし」ということになります。

2.信託報酬が高すぎる

信託報酬とは、投資信託の運用手数料です。ファンドマネージャーが投資家に代わって運用をするための報酬と考えるとイメージしやすいでしょう。信託報酬が高すぎると投資信託そのものが好成績を上げていても手数料に消えてしまうことになるため、信託報酬が高すぎるものは避けるべきです。目安としては0.5%より高ければ高すぎ0.5%未満であれば購入の検討余地があります。

3.タコ足ファンド

3大NGの中で最も問題なのが「タコ足ファンド」です。タコ足ファンドとは、投資家に支払う分配金を運用原資から支払っている投資信託のことで、飢えたタコが自分の足を食べることになぞらえて名づけられました。分配金が充実しているように見せるためにタコ足ファンドとなっている投資信託もあります。毎月分配型の投資信託にタコ足ファンドは多い傾向にあります。

見分け方は簡単で、「特別分配金」として分配金を支払っているものはタコ足ファンドの可能性が高くなります。特別分配金は運用原資のため、投資家が支払ったお金を払い戻しているのにすぎません。それだけなら差し引きゼロですが、タコ足ファンドであっても信託報酬は発生するため、投資家は手数料の分だけ損をすることになってしまいます。

本当に資産運用に役立つ投資信託とは

投資信託選びにおける3大NGについて解説しました。しかし本当に資産運用に役立つのはどんな投資信託なのでしょうか。1つのセオリーとして挙げるなら「インデックスファンド」がおすすめです。インデックスファンドとは、市場の指数と連動するように運用されている(つまりパッシブ運用)もので、市場全体の成長とともに資産を増やすことができるファンドのことです。

インデックスファンドの中には、ETFといって証券取引所に上場している銘柄もあります。そのため同じインデックスファンド投資をするのであれば信託報酬が総じて安く手軽に売買ができるETFが有利です。好成績を収めているアクティブ型投資信託であっても、それをいつまでも継続するのは至難の業といえるでしょう。

すでに平均値を下回っているアクティブ型投資信託であればなおさらで、それならインデックスファンドに投資をしているほうが有利なことは言うまでもありません。

多忙な人ほど投資信託を味方につけよう

投資信託の3大NGについて解説しましたが、投資信託のすべてが悪いわけではありません。もちろん投資信託の中には優良な銘柄もたくさんあるため、当記事で解説した内容を参考に優良銘柄を見つけ出してください。収入が高い人ほど資産運用の有効性は高い傾向です。しかしそんな人は本業が多忙なことが多いため、なかなか投資信託を始めるといっても銘柄の吟味をする時間を取ることができないでしょう。

そこで一つの提案としてインデックスファンド投資、とりわけETFを活用した積立投資を紹介しました。この手法は、運用期間が長くなるほど確実性が高く、老後などでお金が必要になるときへの有効な備えとなります。ETFは上場しているため、証券会社の口座開設をすれば今すぐ手軽に始めることが可能です。まずは、無理のない範囲で積立投資の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。