歯科医師の勤務実態は?気になる年収や初任給についても解説
(画像=New Africa/stock.adobe.com)

歯科医師の働き方には「総合病院勤務」「独自でクリニックを開業する」などさまざまな形態があります。本稿では、医師や看護師と比較してあまり知られていない歯科医師の勤務内容やその年収について紹介します。

歯科医師になるためには?

歯科医師になるためには、歯科医師としての歯科医師免許を取得することが必要です。歯科医師免許を取得するためには、6年制の歯学部を卒業し歯科医師免許を獲得した後、さらに1年以上の臨床研修を受けなければなりません。そのため歯学部を卒業し歯科医師免許を取得した場合でもすぐに歯科医師として勤務できるわけではないのです。

歯科医師の初任給や年収はどのくらい?

歯科医師の初任給は、どのぐらいなのでしょうか。総務省が公表している「平成31年地方公務員給与の実態」によると2019年における大学卒の医師の初任給全国平均は約26万8,787円、政令指定都市の平均値は約26万1,890円でした。大学卒の薬剤師の初任給全国平均は、約20万8,898円、大学卒の一般行政職(試験)が約18万5,939円と比べても医師の給与は突出していることが分かります。

一方で中央社会保険医療協議会が発表している「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」によると2019年における歯科医師(歯科診療所開業医)の年収は約660万円、法人化している歯科診療所の院長クラスになると約1,429万円です。さらに2020年の厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」によると歯科医師の平均年収は約788万円でした。

平均年齢は39.6歳となっており一般的に見ても高収入のランクに位置しているといえます。

歯科医師の勤務実態

医師の長時間勤務が問題視されていますが歯科医師も例外ではありません。厚生労働省医政局が発表している「歯科医師の勤務実態等の調査研究結果概要」によるとすべての年代の常勤勤務医が法定労働時間となる40時間を超えた長時間勤務です。(2018年時点)年代で見ると男性では30代、女性では20代が長時間勤務のピークとなっています。

60歳以上の常勤勤務医は、男女ともにピークと比較すると徐々に数値は下がってはいるものの依然として40時間以上の長時間勤務となっている点も見逃せません。さらに週の勤務時間が80時間以上の常勤勤務医の割合は、男性が20代と40代が約6.7%、女性は30代が5.0%で最も多い結果となっています。

このような歯科医師を含む医師の勤務実態を改善すべく厚生労働省では、医師の働き方改革を進めているのです。まず長時間労働への対策として2024年4月より時間外労働について規制を設けています。診療従事勤務医であれば「年960時間 / 月100時間」を上限としてそれを超える場合は、面接指導およびドクターストップがかかることとなりました。

具体的には、「連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息のセット」といった努力義務があります。特定の医療機関の場合、上限は「年1,860時間 / 月100時間」です。これを超える際には「連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息のセット」が義務化されることとなりました。

歯科医師の勤務における課題とこれからの取り組み内容について

上述の長時間労働の緩和を目的として以下のような具体的な取り組みがなされています。

医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み

ICカードやタイムカードなどの導入により医師の在院時間について客観的な把握を行うこととしています。導入が難しい場合は、上司が確認するなど在院時間を的確に把握することが必要です。

36協定などの自己点検

「36協定の定めがない」「定めを超えた時間外労働がないか」などを確認しながら時間外労働時間について適正な内容に見直す必要があります。

産業保健の仕組みの活用

衛生医や産業医を活用し長時間労働となっている医師や診療科ごとに対応方法について個別に論議することが求められています。

タスク・シフティング(業務の移管)の推進

診断書などの代行については、医師以外の看護師なども代行できるようにし、そのための特定研修を行うことが推進されます。

女性医師などの支援

短時間勤務など多様かつ柔軟な働き方を推進することが必要です。

これらの取り組みにおいては、医療機関の機能分化や連携、そして医師偏在への対策と合わせて私たち自身も上手な医療のかかり方を考えていくことが大切になります。しかし最も重要なことは、働いている医師や歯科医師の意識改革です。非常に難しい問題ですが今後の取り組みの中で解決できる部分は早急に解決しながら職場から個への意識改革の流れが順調に行われることが改革への近道といえるでしょう。

これからの歯科医療について

今後到来する超少子高齢化社会において歯科医療は、現在の「治療中心型」からの脱却が必要となるでしょう。例えば「全身的な疾患の状況などをふまえた関係者との連携」「患者一人ひとりの状態に応じた治療・管理・連携型への移行」なども検討したいところです。具体的には、以下のような歯科治療を目指す必要があるでしょう。

  • 歯科診療所と歯科病院との役割分担
  • 口腔保健センターとの機能分化をはじめとした地域住民への予防推進
  • 地域包括支援センターや介護保健施設との医科歯科連携をも取り込んだ「地域完結型歯科保健医療の提供」

需要の流れについても歯の形態の回復よりも口腔機能の維持および回復が求められるとされています。

かかりつけ歯科医の存在

歯科医に求められる患者のニーズの多様化や歯科医療における情報提供などにより、私たちが歯科医を選ぶ選択肢は広がっています。そのような中で生涯において自分の歯で食事ができ口腔内の健康を維持するためにも「かかりつけ歯科医」の存在は必要不可欠です。また身近にそのような「かかりつけ歯科医」がいることは、健康寿命の延伸にもつながるでしょう。

「かかりつけ歯科医」の役割は、単に私たちの健康管理だけではありません。以下に挙げるようなさまざまな役割を持っています。

  • 重症化予防のための必要な初期治療および継続的な疾病管理
  • 在宅、病院、介護施設など患者が療養する場における継続的かつ適切な歯科医療の提供および口腔機能管理、チーム医療、退院時カンファレンスなどへの積極的な参画
  • 行政や後方支援機能を有する医療機関、近隣の医科医療機関などの関係機関との連携
  • 歯科診療を通じた認知症や児童虐待の早期発見と関連機関との連携
  • 歯科健診や住民を対象とした講演会などの公衆衛生活動への参画
  • 介護認定審査会や地域ケア会議への参画
  • 介護保健施設などへの協力歯科医療機関としての立場
    出典:公益社団法人日本歯科医師会

このような多くの役割を持つ「かかりつけ歯科医」を持つことにより国民の虫歯や歯周病への予防意識が高まってきています。2020年11月に公益社団法人日本歯科医師会が発表した「歯科医療に関する生活者調査Part2」によると歯や口の中の健康状態について半数以上の56.1%が「健康だと思わない」と回答。約76.6%が「もっと早くから歯科健診や治療をしておけばよかった」と後悔しているのです。

一方で約33.1%(3人に1人)が歯の定期チェックを実施しており予防意識の高まっていることが読み取れます。同調査で「かかりつけ歯科医がいる」と回答した方は、全体の約68.3%です。直近の歯科診療の治療に対する満足度が77.9%となっていることも予防のために積極的に歯科診療を受診している近況の裏付けとなっています。

日ごろの健康管理のために運動を取り入れる感覚と同様に口腔ケアも日常的なものになりつつあるのです。これからの予防意識のさらなる高まりからより地域に根差した歯科医師のあり方が期待されるといえるのではないでしょうか。

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