資産運用

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武井利明
武井利明
住宅メーカーに約20年営業職で勤務。現在は住宅専門ライターとして住まいの選び方、土地の選び方、ローンを含めた資金計画、プラン、メーカー比較、リフォームなど、幅広いテーマで多数のメディアに執筆。人気動画サイトの住宅系動画脚本なども手がける。営業マン時代に培った知識と経験を生かし、これから家を建てる方の悩みや疑問、不安を解決する記事を得意としている。

収入はある程度あるのになかなか貯蓄が増えないと、気になっている方は多いのではないでしょうか。銀行に預けておくだけでは増えるわけがなく、しかし資産運用となると手間がかかるイメージがあり、忙しくお仕事をされている方には難しく感じているかもしれません。しかし資産運用の中には資金を預けた後は手間がかからず、堅実にコツコツ資産を増やせる方法もあります。

## 手間を掛けずにお金を貯めるテクニック

資産運用の方法はいくつかありますが、今回はなるべく任せた後は手間のかからないテクニックを主にご紹介します。大きなリターンは望めないかもしれませんが、その代わり長期にわたって堅実に資産を増やしてくれる可能性がある方法です。

### 不動産投資

建物や土地といった不動産を購入し、それを賃貸することで利益を得る資産運用です。売買によって利益を得る方法もありますが、手間をかけずに利益を得るなら賃貸のほうが適しています。

不動産投資にはいくつか物件の形態があり、区分マンションの1室を所有し賃貸する形態から、アパートやマンションを建物1棟ごと所有して運用する形態まであります。実際の建物管理は管理会社に任せるため、手間がかからないという点もお仕事をされている方にはメリットでしょう。

また、不動産投資は実物の資産を所有するため、株式投資のように突然価値がゼロになるようなリスクは低いこともメリットの1つです。ただし、初期投資が大きいことや収益がプラスになるまでに時間がかかりこと、さらに空室が起きにくい物件選びが重要なことは事前に承知しておきましょう。

### 投資信託

投資信託は信託会社を通じてファンドマネジャーに資金を運用してもらい、手数料を除いた分配金を受け取る資産運用です。投資は国内外の株式や公社債、不動産などの金融商品に幅広く行われており、投資信託会社ごとにさまざまな商品が用意されています。投資対象が複数にわたるためリスクが分散され、安定的な運用を見込めるのがメリットです。

運用はほぼ専門家に任せられるため時間が限られている方に向いていますが、半面で購入時の手数料や運用管理費などさまざまなコストがかかり、他の投資に比べリターンは少なめの傾向にあります。また元本保証もされない点は十分に理解しておくべきでしょう。

### iDeCo(イデコ)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛け金を積立して自分で投資信託やREITなどの運用先を選び、60歳以上の老後に給付金を受け取る年金制度です。積立時に拠出した資金は所得税と住民税が軽減され、さらに発生した利益は非課税であることがメリットです。また、将来に給付金を受け取るときも税金がかからないため、非常に節税効果が高いと言えるでしょう。

ただし、投資した資金は基本的に60歳まで引き出せないため、急に資金が必要になった場合に使うことができません。また、年金とは言えあくまで投資であるため、元本割れするリスクを持っています。

### REIT(リート)

REIT(不動産投資信託)は資金を集めてマンションやオフィスビルなど幅広い不動産に投資を行い、賃貸収入や売却益を分配する投資信託の一種です。不動産投資のように高額な資金は必要なく少額から始められ、実際の運用は不動産投資法人が行うため安心感があります。また、さまざまな不動産に分けて投資をするためリスクを分散できるというメリットがあります。

ただし、不動産投資と違い実際の物件を所有するわけではないため、万一投資法人が倒産をすれば投資金の一部が戻る程度で、現物の不動産が手元に残るわけではありません。また、大きなくくりでは投資信託であるため、元本割れリスクがあることは頭に入れておきましょう。

### 個人向け国債

国債は国が資金を集めるために発行する債権であり、これを購入する資産運用が個人向け国債です。0.05%(年率)の再低金利が保証され、しかも発行体が国であるため安全性の高い投資先の一つと言えます。また元本保証されているため、リターン狙いというよりもリスク回避を重視したい方に適した運用先と言えるのではないでしょうか。

また償還日とその利率が決められているため“利益を見通せる”という、他の投資にはないメリットがあります。ただし利率は定期預金などよりは高いのですが他の資産運用と比べるとどうしても見劣りしてしまいます。さらに国債発行後1年以内での換金はできないこと、償還日前に売却すると中途換金調整額が差し引かれることは覚えておきたい点です。

## 貯金の平均金額はどのくらい?

どの程度の貯蓄が必要か考えるために、目安として日本人の1世帯当たりの平均貯蓄額を見てみましょう。厚生労働省が2019年に公表した「国民生活基礎調査の概況」によると、1世帯あたりの平均貯蓄額は1,077万4,000円となっています。

もしこの貯蓄額に至っていないとすると、これから迎えるさまざまなライフイベントの資金に不安があると考えることもできます。特に冒頭でお伝えした「収入はあるけど貯蓄が貯まらない」という方は、なるべく早い内に具体的な対策を取るようにしましょう。

全世帯 高齢者世帯 高齢者世帯
以外の世帯
児童のいる世帯 母子世帯
1世帯当たり
平均貯蓄額(万円)
1,077.4 1,213.2 1,017.6 723.8 389.8

## 預けたままではお金は貯まらない

残念ながら現在の銀行の預金金利では、預けておくだけではお金は増えてくれません。普通預金はもとより定期預金は非常に金利が低く、そこにお金を置いてあるだけという状態で何の変化も起きないのです。

そこでお金を増やすための考え方として、お金にわずかでも働いてもらう資産運用という考え方をぜひ取り入れてみましょう。たとえば、不動産投資のように手間がかからず安定性が高いと言われる運用先に変えてみるのも1つの方法です。

### 先に投資に回す方法が確実

よく投資に回すお金がないと言いつつ、手元にお金があると飲食代に使ってしまったり不要な高級品を購入してしまったりする方がいます。しかしそれでは、変化がないどころかむしろマイナスな状態です。月々の収入だけでなく、ボーナスもいつの間にか消えてしまったという経験をされた方は要注意です。

銀行に預けておいても利息は微々たるもので、しかもいつの間にか使ってしまうというのであれば、先に投資すると決めた額を資産運用先へ預け入れをしてしまうという方法もあります。毎月一定額を自動引き落としするのも良いですし、使い道が決まっている以外のボーナスをそのまま資産運用に回してしまうのも良いでしょう。これなら使ってしまうこともないですし、銀行口座へ預けておくよりも貯蓄が増える可能性がはるかに高まります。

## 自分に合った資産運用を選ぶ

もし今回ご紹介した資産運用の中で関心を持たれたものがあれば、まずは資料請求をしたり、機会があればセミナーや勉強会に参加したりして、その上で自分に合った方法を選んでみましょう。

資産運用の中には株式投資のように短期で大きくリターンを得られるものもありますが、利益を得るには一定の経験と日々市場動向をチェックする手間や時間が必要です。

一方で投資信託やREITのように資金を預けたあとはプロに運用を任せる方法もありますが、元本割れのリスクがあります。あるいは不動産投資のように、リターンを得るまで多少時間はかかりますが、手間がかからず家賃を稼いできてくれるであろう投資もあります。

どれを選ぶかはご自分の考え方次第ですが、1つ確実に言えることがあります。お金は置いておくだけでは増えることはなく、しかも人によっては減ってしまうということです。であれば、わずかずつでも増えていく手段を検討することが貯蓄を増やす第一歩ではないでしょうか。

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