田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

東京は、日本の首都かつ政治や経済の中心地です。東京一極集中が指摘されていますが日本全国だけでなく世界中から「人・モノ・金」が集まる大都市といえるでしょう。圧倒的な経済と人口の規模を誇り今や日本だけでなく世界有数の大都市として認識されていることは多くの人がご存じの通りです。不動産投資の候補地として東京を考えたとき大都市としての東京の魅力は言うまでもありません。

東京の魅力は、日本国内だけに限らず世界に目を向けると海外の投資家は日本人が感じている以上に東京の不動産に魅力を感じ旺盛な投資意欲を見せています。この投資意欲の高さは、日本人投資家にとって「資産性の維持や向上」という観点からも東京での不動産投資への追い風となるでしょう。

そこで今回は「海外から見た東京」という視点で東京の魅力を解説します。

データで見る「東京」の立ち位置

海外から見た東京を知るうえでいくつかの興味深いデータを紹介します。これらのデータを見ると不動産投資の観点から見た東京の実力を再認識できるでしょう。

東京都のGDPは「世界16位」

GDPの国別ランキングを見ると日本は米国、中国に次いで世界第3位ですがその国別ランキングに東京都を当てはめるとなんと第16位です。(2016年のデータ)メキシコとインドネシアの間にランクインします。東京都だけでこれらの国丸ごとのGDPと肩を並べるだけの経済規模があることは注目に値するでしょう。

日本全体の人口は減少している一方で東京都の人口は微増

内閣府が公表している「令和2年度高齢社会白書」によると日本の人口は2010年の約1億2,806万人をピークに毎年減少しています。(2021年3月時点)しかし東京都の人口は微増の状態です。もちろん東京都も今後人口が減少する局面になる可能性もありますが一部の地方と違って急激な人口減少は考えにくく横ばいや微減の状況が数十年にわたって続くと見られています。

不動産投資は、入居者を市場とするビジネスのため、その需要が長期にわたって続くと見られていることは、投資候補地として非常に魅力的です。

2020年1~9月は世界一不動産に投資された都市だった

2020年1~9月に世界で最も不動産に投資があった都市の世界第1位は、東京でした。この事実を示しているのは、ジョーンズラングラサールという不動産サービス会社が発表した2020年1~9月の商業用不動産投資額です。前年同時期はニューヨークが第1位で東京は第4位でした。コロナ禍で世界経済が停滞を余儀なくされた中で東京が1位にランクアップしたわけですから世界から不動産投資の候補地として高い関心を持っていることがうかがえます。

世界が「東京」に注目する4つの理由

さまざまなデータから見て東京が不動産投資の好適地として世界から見られていることが理解できたのではないでしょうか。ここからは、東京や日本が本質的に持っている魅力について4つの理由を交えながら解説します。

世界で一番安全な都市

外国への投資において投資家が重視することはたくさんありますがその中でも安全性は大きな関心事です。特に不動産は、動かない資産のため投資先の治安や環境からの影響を強く受けます。また不動産の場合は、投資家自身が住む選択肢もあるため、「治安がよい」「住みやすい」といったことは非常に重要です。

英国のエコミニスト誌が発表した「都市安全性指数2019」で東京は第1位、2位のシンガポールをはさんで大阪が3位にランクインしています。日本の主要な大都市が「金メダル」と「銅メダル」を獲得していることからも「日本の治安がいかに良好か」がうかがえるでしょう。外国人投資家にとっても不動産は高額資産となるため、資産がある都市が安全なことは、極めて重要なのです。

カントリーリスクが低い

日本は「国としての歴史が非常に長く政治・経済の面で安定している国」というイメージがあります。突然の政変や治安の悪化などで保有資産に危険が及ぶ可能性が低い(カントリーリスクが低い)ことは、投資家にとって好材料です。先述したように2020年1~9月という世界が激変を経験した期間中で東京は世界一の不動産投資を集めました。

これらは、日本のカントリーリスクの低さを受けて安全な都市へ資金が流れたことを示しています。

外国人が容易に不動産を購入、運営できる

日本は、外国人であっても不動産を購入し所有できる法体系になっているため、投資がしやすい点も外国人から見ると魅力的です。特に規制を受けることなく安全な日本国内に不動産を所有できることは、資産防衛の観点からも注目されるのは当然といえるでしょう。

割安感

日本人の感覚の場合、「東京の不動産は高い」と感じる人が多いのではないでしょうか。しかし海外の投資家や富裕層の見方は異なります。2020年11月に一般社団法人日本不動産研究所が発表した「第15回国際不動産価格賃料指数(2020年10月現在)」によると東京におけるハイエンドクラスの高級マンション価格の世界的な位置づけは以下の通りです。

国名 東京を100とした場合の価格水準
香港 205.2
ロンドン 175.8
台北 118.4
上海 116.9
日本 100.0

東京の指数を100とすると205.2の香港や175.8のロンドンなどと比べても割安なことが分かります。安全性の高い資産が海外の主要都市と比べて割安で買えるのであれば世界中で興味をもつ投資家がいてもおかしくないことが理解できるのではないでしょうか。

世界から見た「東京」のリスク

海外から見ると東京の不動産は、非常に魅力的です。しかしデメリットやリスクはないのでしょうか。海外から見た東京の不動産投資には、主に以下の3つのリスクがあります。

自然災害

すでに私たち日本人は慣れてしまっている感もありますが日本は世界有数の自然災害大国です。地震だけでなく台風や豪雨などいくどとなく大きな自然災害が発生しています。世界で起きているマグニチュード6以上の地震のうち約2割(2000~2009年)は日本付近で発生していることを考えると東京もその例外ではありません。

地震をあまり経験したことがない外国人の投資家にとって映像で見る日本の災害現場などの映像には強い恐怖を感じることがあるそうです。少々慣れてしまっている日本人よりも海外では日本の自然災害に脅威を感じられているのかもしれません。

為替リスク

日本国内で不動産投資をしてそこから得られる家賃収入は円ベースです。海外の投資家は、円貨を自国通貨に両替する必要がありますがそこには為替リスクがつきまといます。海外の投資家にとっては、円安になると為替差損が発生し逆に円高になると日本にある不動産や現金の相対的な価値が高くなるため為替差益を手にすることが可能です。

しかし将来にわたって為替相場がどう推移するかを完全に言い当てられる人はいません。海外から東京の不動産投資を見たときにこの不確実性もリスク要因となります。

少子化と人口減少

先述したデータからも東京の人口が極端に減少することは考えにくいでしょう。しかし日本がすでに長期的な人口減少フェイズに入っていることは動かしようのない事実です。その影響が少しずつ東京にも表れ始めています。さらに少子化が加速したり諸外国との都市間競争で東京が見劣りしたりするようなことがあると海外からの投資が減衰して不動産価値が毀損する可能性もあるでしょう。