投資用のマンションを「ペット可」にすることによりペット好きな富裕層など高所得者に賃貸することが期待できます。そのため「通常よりも家賃を高く設定できる」と考えている人も多いのではないでしょうか?たしかに「ペット可」とすることで家賃や入居率の向上などさまざまなメリットがあることは間違いありません。

しかしペット可とすることで不動産への投資金額が上がったり他の住民とトラブルになったりするといったデメリットもあるため、注意が必要です。本記事では、「ペット可」物件のメリット・デメリットやペット可の物件に投資する際のポイントについて詳しく解説していきます。

不動産を富裕層向けにペット可とするメリット

投資用の不動産をペット可とすると主に以下の4つのようなメリットがあります。

・ 入居率が高くなりやすい
・ 賃料を相場よりも高く設定できる
・ 富裕層の入居が期待できる
・ 礼金を取りやすい

高い家賃を設定しながらも空き部屋が出にくく優良な入居者の確保が期待できるでしょう。ここでは、ペット可物件の4つのメリットについて詳しく解説していきます。

入居率が高くなりやすい

投資用の不動産をペット可とすることにより高い入居率を維持しやすくなります。実際にペット可の物件は、まだまだそれほど多くありません。そのためペット可とすることで希少価値が高まり空き部屋が出にくくなります。不動産投資最大のリスクの一つが空き部屋ですがペット可とすることで空き部屋のリスクを軽減することが可能です。

賃料を相場よりも高く設定できる

ペット可とすることでペット不可の部屋よりも賃料を高めに設定することも可能です。「ペット可の部屋は家賃が割高になる」というのが広く一般に浸透しているため、多少は家賃を割り増しにすることができます。実際にペット可とすると1~2割は家賃が割り増しになるといわれており物件をペット可とすることで投資用不動産の収益率は高くなります。

経年劣化で収益力が落ちた物件でもペット可とすることで高めの家賃を設定できるため、収益力が回復することもあるでしょう。

コロナ禍によってペット需要が増えている

コロナ禍によってペット需要は増えているため、物件をペット可とすることによって入居者確保を期待できます。
矢野経済研究所の調査によると、2020年度のペット関連総市場規模は前年比1043.4%の1兆6,242億円となっています。
今後も市場規模は増加していく見込みとなっていることから、賃貸物件をペット可とすることによって空き部屋のリスクを軽減することができます。

礼金を取りやすい

ペット可の物件は礼金を設定しやすいというメリットもあります。「ペット可の物件は原状回復費用に多くのお金がかかるから」という理由で、礼金を設定しやすいのが実情で、実際に多くのペット可の物件が礼金を設定しています。あまりにも高い礼金を設定するのは問題ですが、1~2ヵ月程度であれば礼金をとっても不自然ではありません。

そのためペット不可の物件よりも礼金による収入増を期待することができるでしょう。

不動産をペット可にするデメリット

不動産をペット可とすることには、投資的なさまざまなメリットがあります。しかし以下のような3つのデメリットもあるため、しっかりと理解した状態でペット可物件を検討することが必要です。

・ 部屋の原状回復費が高額になる可能性がある
・ 他の入居者からクレームになりやすい
・ 部屋の設備投資が高くなる傾向がある

ペット可とすることによって、費用が割高になったり、他の住民とのトラブルになったりするリスクも考えられます。ここからは、ペット可物件の3つのデメリットについて詳しく解説していきます。

部屋の原状回復費が高額になる可能性がある

ペット可とするとどうしても部屋が汚れてしまいます。壁紙や床などに傷がついて退去時に交換しなければならないことも多い傾向です。そのためペット可の物件は原状回復費が高額になりやすいといえるでしょう。場合によっては、敷金だけでは原状回復費用が不足することも少なくありません。敷金で賄えない場合の差額は、賃借人の負担になりますが、賃借人が原状回復費に納得できずにトラブルになるケースも考えられます。

最悪のケースとして大家の自己負担となってしまうリスクもあり結果的にペット可としたことで負担が増えてしまう可能性もあるのです。

他の入居者からクレームになりやすい

投資した物件を急にペット可とすることで他の入居者からクレームに発展することがあります。これまではペット可でなかった物件が突然ペット可になった場合、ペットの鳴き声を騒音と感じる隣人からクレームが発生する可能性も否めません。そのため建物全部がペット可の物件でない場合には要注意です。

部屋の設備投資が高くなる傾向がある

ペット可の物件とするには、以下のように部屋をペット用に改装する必要があります。

・ ペット足洗い場
・ リードフック
・ 飛び出し防止柵
・ 貼り分けクロス

ペット不可の物件では、通常の物件では不要な設備投資が必要となるため、どうしても割高になります。そのためペット可として部屋の付加価値を高める代わりに投資金額が大きくなってしまう点はデメリットです。

ペット可の物件に投資する際の3つのポイント

ペット可物件に投資する際、以下の3つのポイントを押さえておけば失敗するリスクを低減することが期待できるでしょう。

・ 建物一棟がペット可の物件へ投資する
・ 以前からペット可の物件へ投資する
・ ペット飼育規約を作成する

ペット可物件へ効率的な投資を行うための3つのポイントを詳しく解説していきます。

建物一棟がペット可の物件へ投資する

建物全部がペット可となっている物件であれば入居者からクレームがある可能性はほとんどありません。区分所有マンションなど1部屋だけをペット可にした場合は、他の部屋の居住者からクレームになる可能性があります。そのため「建物全体がペット可となっている物件に投資」「一棟買いしたマンション全部をペット可」といった選択を検討しましょう。

以前からペット可の物件へ投資する

これまでペット不可だった物件を突然ペット可にすると「クレームに発展する」「ペットを飼わない住人が退去する」といったリスクがあります。以前からペット可の物件であればそのようなリスクはありません。そのためペット可となっていた物件へ投資するとよいでしょう。

ペット飼育規約を作成する

ペット可の物件とする場合は、以下のような内容を記載した必ずペット飼育規約(ペット飼育細則)を作成しましょう。

・ どんなペットならよいのか
・ ダメなペット(は虫類、大型犬など)
・ 何匹まで飼育できるのか
・ 飼育する際の届け出義務
・ 違反した際の罰則など

これらをしっかりと決めておきペット飼育規約に同意してもらえる入居者と賃貸契約ができればトラブルになる可能性は低いでしょう。

ペット可能な投資用不動産を検討するなら、入念な準備を忘れずに

投資用不動産をペット可とすることで建物に付加価値がつくため「家賃を割高に設定できる」「礼金を受け取ることができる」「長期入居者を確保しやすくなる」といったメリットがあります。しかし原状回復費用や設備投資が大きくなりやすい傾向のため、資金計画や敷金の設定は入念に行わなければなりません。またクレームにも発展しやすいことから必ずペット飼育規約の作成も忘れないようにしましょう。