税金
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国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2017年推計)」によれば、日本の人口は2053年には1億人を割り込み、2065年には8,808万人にまで減るという予測がされています。また、日本で人口が最も多い東京都でも賃貸住宅の空室率は14.5%、すなわち7戸に1戸以上が空室というのが現状です。

そして、人口減少に伴って賃貸住宅の空室率は全国的に今後も上昇することが見込まれます。日本で不動産投資をしていくのであれば、このような現状を念頭におき、空室リスクへの万全な準備を行ったうえで投資活動をしていく必要があります。

それでは、空室への2つの備えと4つの対処法とは具体的にどのようなものでしょうか。万全の対策をとって安定的な不動産投資を実現しましょう。

不動産投資における最大のリスクは空室

不動産投資におけるリスクというと、空室や修繕、災害、事件事故といった要素が挙げられますが、その中でも最大のリスクは空室といえます。なぜなら、空室が出るということは不動産投資における主たる収入源である賃料収入が減るためです。

特に区分マンションにおいては空室になると賃料収入がゼロになるため、ローン返済がなくても固定費(管理費および修繕積立金)や税金の支払いで、その物件単体での月次収支は赤字確定になります。

加えて、賃料収入が減ると利回りが下がり、物件売却時の価格下落や売れ残りの要因にもなり得ます。従って、毎月のキャッシュフロー確保のためにも、有利な売却のためにも空室への備えと対処は不動産投資の生命線とも言えるのです。

投資家としての空室への姿勢

不動産投資を行う以上、空室の発生は避けて通れないものと認識しておくべきです。なぜなら、入居者にとっては人生の各フェーズで生活拠点が異なる上、家族構成の変化により必要な部屋数や広さも変わるため、賃貸住宅は入居と退去が繰り返されるものだからです。

例えば、進学や就職、転勤といった事由によって生活拠点は変わりますし、結婚や出産によって家族構成に変化があった場合は住むべき住居も変化します。従って、空室に係る出費は不動産投資に必要な事実上の経費として認識しておくとよいでしょう。

つまり、空室に係る出費があることを事前に認識しておけば、過度に空室を恐れることはなくなるということです。

空室への2つの備え

空室への備えとは、空室が出る前段階で実施可能な対策または準備のことで、以下の2つを指します。

  • 空室(退去)を可能な限り未然に防ぐ
  • 入居者募集に係る費用の準備

空室(退去)を可能な限り未然に防ぐ

空室は避けられないものと上述しましたが、空室になるのを防ぐことも可能で、これについては事前に対策を講じるべきです。

それは賃貸借契約の更新を迎えるタイミングでの退去による空室で、更新料を払うなら引っ越そうと考える賃借人が多いことに起因します。賃貸借契約の更新は賃貸借契約の満了時、すなわち得てして契約開始から2年が経過したタイミングで発生します。

更新時に賃借人は賃貸借契約時に定められた更新料(新賃料の1ヵ月分というケースが多い)を賃貸人に支払うことになります。従って、そのタイミングで更新料を払うなら退去しようと考える賃借人が多くなるのです。そして大切なのは、この種の退去は転居せざるを得ない事由によるものではないため、事前に十分な対策をすることで防げる可能性が大いにあるということです。

具体的な手段としては、更新の3ヵ月程度前に、賃借人に連絡して退去する意思の有無を確認するということが有効です。

なお、賃貸管理会社に管理委託している場合は、賃貸管理会社に対して更新を迎える住戸がある都度、その対応をしてもらうように依頼をしましょう。

このときに重要なのが、退去する意思のある賃借人に対しては理由のヒアリングを行うことです。退去理由が室内設備の老朽化やそれに起因する住み心地の悪さであるならば、その箇所の修繕や設備交換をすることで更新してもらえるチャンスが生まれるためです。

その際、賃借人リクエストによる修繕等に係る費用と、次の賃借人を見つけるための費用および予測される空室期間中の逸失賃料収入とを比較し、前者の方が安いのであれば修繕等を行うほうが賢明といえます。

また、更新料の支払いが理由である場合は更新料の減免も検討しましょう。この場合も同様に、更新料収入が減るという実質的なマイナスが発生しますが、目先の更新料よりも長期的に住んでもらうことの方が重要なので、減免を検討すべきといえます。

退去があるとそのたびに空室期間が発生する上に費用がかかるため、可能な限り退去を減らし、同じ賃借人に長く住んでもらうための施策を講じることは長期的に満室経営をするための非常に重要な仕事の1つです。

入居者募集に係る費用の準備

一度退去が出ると、次の入居者を募集するに当たって原状回復工事費や広告費(以下「AD」といいます)、仲介手数料といった費用が発生します。これらの費用が発生する場合に備えて資金をプールしておきましょう。

まずは退去が発生する頻度と空室期間、それらに伴う費用を見積もります。2年間という一般的な賃貸借契約の期間に基づき、退去の頻度は2年に1度、空室期間は2ヵ月と想定しておけば無難です。そして、空室期間中は各種固定費やローンの返済、税金等を賃料収入の中から支払うことができなくなります。

加えて、原状回復工事費やADの支払いも発生するため、これらの費用に相当するキャッシュを予めプールしておきましょう。なお、原状回復工事費用は専有面積や入居年数、劣化具合等によってまちまちですが、おおよその目安となる金額は以下の通りです。1Kおよび1Rは10万円、1LDKは15万円、2LDKは20万円、3LDK以上は30万円以上として見積もっておきましょう。

また、ADは賃料の1〜3ヵ月分、仲介手数料は賃料の0.5〜1ヵ月分が目安です。これらの必要経費を毎月の賃料収入や本業の収入から分割して積み立てることで用意しておくと安心です。

空室が出た場合の4つの対処法

実際に空室が出た場合、迅速かつ適正賃料で次の賃借人を決めるためには大きく分けて次の4点の対処法が重要です。

  • 募集条件を市場に適合させること
  • 退去申出後すぐに募集を開始すること
  • 広範囲で募集活動を行うこと
  • 原状回復工事の工期管理

募集条件を市場に適合させること

同じ物件の客付けでも繁忙期と閑散期では市況が大きく異なります。したがって、賃料や礼金、ADの設定においては以下3つの要素が重要です。

  • 繁忙期プライスと閑散期プライスを使い分けて募集戦略を立てること
  • 空室日数が長くなるにつれて適時かつ柔軟に条件を緩和すること
  • 反響および内見数を見ながら募集条件を市況に即応させること

条件設定においては安すぎても高すぎても客付けは失敗してしまいます。それだけに、市況や市場からの反響にできるだけ柔軟に対応することが求められます。

退去申出後すぐに募集を開始すること

不動産の取引市場は売買、賃貸を問わずとにかく情報戦です。従って、自分の部屋が募集に出ているという情報をいかに早く市場に出すかが早期成約の鍵を握っています。

仲介業者はレインズという不動産業者用のポータルサイトで新着物件の情報を毎日チェックしており、エンドユーザーはスーモやアットホームなどのポータルサイトを敏感にチェックしています。物件の募集情報を公開しないことには自分の部屋が募集に出ていることが誰にも分からない状態のままなので、まずここから取り掛かりましょう。

それでは、どのタイミングで募集開始の情報を出すのが最短なのでしょうか。最短での募集開始は、現賃借人の退去申出があったタイミングです。具体的な説明に移る前に、現賃借人の退去から次の賃借人が入居するまでの流れを簡潔に説明します。

現賃借人が管理会社に解約申出をする(このタイミングで管理会社から賃貸人にその旨の連絡が入ります)、解約期限日(解約申出日から1〜2ヵ月後)および退去日(解約期限日以前のいずれかの日にち)が決まる、原状回復工事をする、次の賃借人が入居するというのが大きな流れです。

実際には現賃借人の解約申出があったタイミングではまだ現賃借人が住んでいるのですが、このタイミングから「退去予定」として募集を開始することができます。したがって、退去申出があったタイミングですぐに管理会社と協力して速やかに募集開始をしましょう。

広範囲で募集活動を行うこと

不動産の取引市場は情報戦であると先述しましたが、その観点からすると情報をいかに早く市場に出すかということに加えて、いかに広く拡散するかということも極めて重要です。

まず、ポータルサイトへの掲載は必須です。ネットが普及している現代において、部屋を探す際にいきなり不動産屋に行くことはほとんどありません。エンドユーザーは、まずスーモやアットホームなどのポータルサイトで住みたい物件に目星を付けてから不動産屋に問い合わせをするというのが主流になっています。したがって、エンドユーザーが目にするプラットフォームに情報を載せるというのは早期成約のための必須条件です。

また、管理会社に依頼をしてレインズにも物件情報を載せてもらいましょう。これは仲介業者への訴求のためで、彼らはレインズ上で新着物件やお客様に案内する物件の情報収集を毎日行っているからです。実際にお客様に物件を案内するのは仲介業者ですので、「彼らに動いてもらうためにはどうすればいいか」という視点を常に持っておくべきです。

なお、これらの情報掲載は管理会社が行う業務の範疇ですので、投資家の仕事は管理会社に素早く動いてもらえるように働きかけることです。そして、その管理会社が何種類のポータルサイトに情報を掲載しているのかをヒアリングして、十分な募集活動ができているかをチェックするようにしましょう。

原状回復工事の工期管理

原状回復工事は退去の都度必ず発生するもので、この工事が終わらなければ次の賃借人が入居できません。従って、原状回復工事は可能な限り早く終わらせるべきと言えます。

一方で、工事に不備があった場合は次の賃借人からのクレームや早期退去につながりますので、品質が最優先です。そして、工事の手配および工期管理は管理会社が窓口となって行っているものであるため、管理会社に早急に動いてもらうように働きかけるのが投資家の仕事です。

しかし、退去に伴う原状回復工事が重なる時期(特に2〜3月)は管理会社側も工事業者側も手一杯になり、工期の管理にまで目が行き届かないこともありえます。従って、工事内容と工期の見積もりをもらったタイミングで工期の交渉をし、工事開始後も定期的に進捗状況を確認するようにしましょう。

このように、1日でも早く自分の物件を商品化するという視点を持って原状回復工事に当たりましょう。

万全の空室対策で安心の不動産投資を

不動産投資において空室リスクは不可避的なものですが、事前の備えと迅速かつ適切な対処によって十分に回避およびリカバリーができるのです。

従って、予めリスクを知り、想定し、万全の対策を講じることでリスクをコントロールできるという点は、ほかの投資にない不動産投資の大きな優位性と言えます。

空室を未然に防ぐための施策や資金管理、空室が出た場合の素早い対応方法を心得ておくことが、空室リスクを過度に恐れることなく精神的にも資金的にも余裕を持った不動産投資につながります。

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