働き方改革の一環として2018年1月に厚生労働省により策定された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」により、1つの勤め先に自分の人生を委ねる今までの働き方だけでなく副業や兼業などの柔軟な働き方が注目されるようになってきました。給与所得以外の収入については、自分で申告することが必要です。

しかしこれまで給与所得だけで生活してきた人にとっては、申告に対する知識がないことから「どのように手続きを行えばいいのか」などを知っておく必要があります。

副業で得た収入の申告について

確認しておこう!副業で得た収入を確定申告する際の留意点
(画像=akiyoko/stock.adobe.com)

副業と一口にいっても例えばパートやアルバイト、インターネットを利用した物品の販売、シェアリングエコノミー、FX、暗号資産、不動産賃貸などさまざまな種類があります。一般的に給与収入だけであれば源泉徴収や年末調整などにより課税関係が終了するため、給与所得を主にしてきた人は申告手続きに精通していない傾向です。

そのため副業などにおける取引を記録する習慣についても「知識が乏しい」という問題があります。

副業で得た収入について申告する義務はどこで判断する?

年末調整を受けた給与所得者においては、給与所得や退職所得以外の合計額が20万円以下であれば基本的に所得税の確定申告をする必要はありません。この場合の20万円とは、副業における収入からその副業を行う際に発生した経費を差し引いた所得金額のことです。よく申告義務の判定基準として収入金額だけを見る人がいますが経費を引いた金額が所得ですので注意しましょう。

ただし20万円以下で確定申告が不要なのは所得税だけです。つまり住民税については20万円以下であったとしても申告する必要があります。また雑損控除や医療費控除、寄付金控除や配当控除、住宅ローン控除など所得税の還付を受けるために確定申告を行う場合は、20万円以下であっても給与所得以外の所得を含めて申告することが必要です。

ケース別に解説!税務上の取り扱いと申告方法

副業において申告する際の所得の扱いは、その業務の内容によって異なります。副業の種類をいくつか挙げ、それぞれの所得区分と所得金額の計算方法、申告の際の留意点について見ていきましょう。

パートもしくはアルバイトの場合

副業がパートもしくはアルバイトの場合、これらの所得区分は「給与所得」です。また年末調整を受けた給与以外にパートもしくはアルバイトで得た収入が20万円を超えた際には確定申告が必要となります。この場合の20万円については「収入金額」で「所得金額」ではないことに注意しましょう。副業がパートやアルバイトなどの給与所得の場合は、1年間のすべての給与収入を合算しそれから給与所得控除額を差し引いて最終的な給与所得を求めることになります。

不動産賃貸の場合

アパートやマンション、駐車場などの貸付は「不動産所得」です。これらの不動産の貸し付けによる所得については、規模の大きい小さいにかかわらず「不動産所得」となります。しかし、例えばまかない付きの下宿など役務の提供が加わると所得区分が異なるため注意しましょう。この場合、規模が小さい場合は「雑所得」となり、事業的な規模で行っている場合は「事業所得」として扱われることとなります。

なお個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させる民泊は、一般的に利用者の安全管理や衛生管理、観光サービスの提供などを伴うため、不動産所得ではなく「雑所得」です。一方、賃貸併用住宅で例えば2階部分をいわゆる民泊ではなく居住用として貸し付けている場合は、サービスの提供とはならないため「不動産所得」とみなされます。

ネット販売やシェアリングエコノミーの場合

近年、スマートフォンなどの普及によりシェアリングエコノミーが増加しています。これは、遊休資産やスキル、隙間時間を活かした配送などのサービスをプラットフォーマーという事業者を介することで提供者から利用者に提供し対価を受け取るものです。具体的な例としては、以下のようなものが該当します。

  • 衣服や雑貨、家電など転売目的で取得した資産のオークションサイト
  • 販売だけを目的としたフリーマーケットアプリなどにおける売却収入
  • プラットフォーマーを介しての自宅等の貸し付け(民泊)
  • 自家用車や自転車などの資産の貸し付け
  • ギグワーカーといわれる隙間時間を活かす食品などの配達
  • ベビーシッターサービスなどの人的役務の提供による収入など

給与取得者が行うこれらの所得区分については「雑所得」として総合課税の対象です。ただし古着や家具など生活で使われているものを売却して得た所得は非課税とされています。雑所得については、年間の収入金額からその収入を得るための必要経費(仕入れや発送費、減価償却費など)を差し引いて求めることが必要です。

なお必要経費を算出する際に家事用の部分と業務用の部分が混在する場合については、合理的に按分しなくてはなりません。例えば自宅で民泊収入を得ている場合の建物の減価償却費は、建物全体の総面積に対する民泊のために利用している部分の床面積の割合や実際に宿泊として利用した日数を基にして計算するなど以下のような合理的な方法によって按分計算する必要があります。

なお民泊収入における必要経費となる減価償却費の計算方法は、以下の通りです。

  • 必要経費となる減価償却費=(取得価額×償却費×(賃貸部分の床面積÷住宅の総床面積)×賃貸月数)÷12ヵ月

FXや暗号資産などの金融取引の場合

FXや先物、オプション取引などの先物取引で得た所得については、申告分離課税の雑所得です。税率は所得税15%、住民税5%の合計20%となります。また2013~2037年までは、復興特別所得税として2.1%の上乗せがあることも覚えておきましょう。先物取引などにおいて赤字が生じた場合は、他の先物取引などの黒字と内部通算を行うことが可能です。

それでも赤字が残る場合は、翌年以降3年間、先物取引などの雑所得から控除することができます。ただし他の所得との通算や繰越控除を行うことができないことに注意が必要です。一方、暗号資産で得た所得については、総合課税の雑所得となるため、最高税率が適用される場合は所得税45%、住民税10%の合計55%となります。

この場合も復興特別所得税の上乗せがあります。また赤字が生じた場合については、総合課税の雑所得(例えばシェアリングエコノミーの所得や年金所得など)と内部通算を行うことが可能です。ただし残った赤字については損益通算や繰越控除を行うことはできません。

今後注意しておきたい雑所得

ちなみに会社などの組織に属さずに独立して業務ごとに契約をして自らの専門性などのサービスを提供するフリーランスの場合、その所得で生計を立てている規模であれば「事業所得」です。しかしあくまで給与所得者の副業としてのフリーランス業務の収入は「雑所得」とされています。ただし法令で事業所得と雑所得の明確な線引きが示されているわけではない点は押さえておきましょう。

さらに国や自治体は、近年シェアリングエコノミーなどの新分野の経済活動を含めたインターネット取引を行う個人に対し資料情報の収集や分析を行って積極的に調査する方針を取っています。2020年からは、事業者(例えばプラットフォーマーなど)への情報提供の協力要請や高額、そして悪質な無申告者を特定するための報告を求める仕組みが整備されています。

また2020年度の税制改正により2022年からは、前々年の雑所得を生ずる業務にかかる収入金額が300万円を超える場合、現金および預金取引など関係書類を5年間保存することが義務です。また1,000万円を超える場合における確定申告書への収入と必要経費の明細書の添付義務などが定められています。今後は、収入を得る方法の拡大とともに所得区分の判断が付きにくくなる可能性もあるでしょう。

そのため特に雑所得においては、日ごろから取引の記録を行って書類についても必ず保存しておくように心がけることが必要です。

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