税金

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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

フリマアプリを使って不用品を売却している人は多いでしょう。また、ポイントはあらゆる場面で付与される時代になりました。ショッピングの金額によっては年に数万ポイント付与される場合もあります。そうなると気になるのが、不用品売却やポイント付与に課税されるケースがあるかどうかです。あるとすれば、どのようなケースで課税されるのか確認します。

## フリマアプリやポイント付与で稼ぐのが当たり前の時代

「メルカリ」や「ヤフオク」などのフリマアプリで不用品を売却して小遣いを稼いでいる人が増えています。新型コロナウィルスによる給与収入の減少で、アプリ使用者の増加に拍車がかかっているようです。フリマアプリには、メルカリのような定価販売タイプと、ヤフオク(ヤフーオークション)のようなオークションタイプの2つがあります。

メルカリは出品価格をコントロールできますが、ヤフオクの場合はオークションなので、最終的にいくらで落札されるかはわかりません。自分の予想価格と異なり、入札が殺到して予想外の高値で落札される「嬉しい誤算」になることはよくあることです。高く売れるのはけっこうなことですが、あとから紹介するように、課税の有無に影響を与える場合があります。

また、現在はあらゆるショッピングや飲食などの機会にポイントが付与されます。1回ごとのポイントはわずかであっても、年間にすれば数万ポイントになるケースも珍しくありません。「ポイ活」という言葉が出来るくらい、ポイントを貯めることが副業に近い感覚になっているのでしょう。

もちろん、品物を安く購入するためにフリマアプリを利用している人もいます。買うにも売るにも生活のプラスになるのがフリマアプリの特長ですので、これからも利用者が増えることが予想されます。

## 不用品売却やポイント付与は基本的には課税されない

では、不用品売却で得た収入やショッピングなどで獲得したポイントは課税されるのでしょうか。

まず不用品の売却ですが、所得税法第9条第1項9号に「(次に掲げる所得については、所得税を課さない)自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゅう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得」と規定されています。家族が生活のために使っている家具や服などは売却しても所得税はかからないことになっています。

一方のポイントに関しては国税庁がホームページで見解を発表しています。要約すると、「商品購入に関する通常の商取引で値引きを受けた場合は課税対象となりません。企業が発行するポイントのうち、決済代金に応じて付与されるポイントは、ポイントを使用した消費者にとっては値引きを受けたのと同様の行為が行われたものと考える」としています。100円につき1ポイント付与されるショッピングポイントの場合は1%の値引きを受けたのと同じと考えればよいでしょう。

ただし、以下に紹介するようなケースでは課税される場合があるので、はてはまるかどうか確認してみましょう。

## 不用品でも30万円以上の書画・骨董を売ると課税される

不用品の売却でも申告が必要なケースとして所得税法施行令第25条に、「次に掲げるものは1個または1組の価額が30万円を超えるものは非課税所得の対象外」と規定されています。

(一)貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べっこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
(二)書画、こっとう及び美術工芸品

書画・骨董の蒐集を趣味にしている人は多いでしょう。多くのコレクションのなかには30万円を超える物があるかもしれません。30万円以上の書画・骨董は家庭用財産とはいえないので、売却すると譲渡所得税が課税されます。課税額の計算式は複雑で、国税庁のホームページに計算式が掲載されています。

譲渡所得のうち、土地、建物及び株式等の資産を譲渡したときの譲渡所得の計算式は、
短期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)+長期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)=譲渡益
譲渡益-特別控除額(最高50万円)=譲渡所得の金額

## 雑所得が20万円を超えると課税される

不用品を売って得た所得は税区分においては「雑所得」にあたります。給与収入がある人は年間20万円以上、働いていない人は年間48万円以上利益があった場合は申告が必要です。注意しなければいけないのは、20万円というのはすべての雑所得を合計した金額であることです。したがって、不用品の売却所得が18万円であっても、ほかに雑所得が3万円あったという場合は合計21万円になるため、確定申告しなければなりません。

ここで問題になるのが、前述したようにオークションの落札価格が予想外の高値になった場合です。例えば現在年間の雑所得が18万円なので、あと2万円以内で落札されそうな商品を出品したところ、3万円以上の価格で落札されてしまったケースです。このような場合は、オークションではなく定価で出品したほうが安心です。

なお、働いていない人(専業主婦・主夫等)は配偶者特別控除が48万円ありますので、売却所得が48万円以下なら申告の必要はありません。

## 仕入れを行って売る場合は課税される

定期的に仕入れを行って商品を販売する場合は、確定申告の必要があります。考えられるのは、自分で作ったアクセサリーをフリマアプリで販売する、古本屋で定期的に本を背取り(安く買った本を高値で転売する行為)してオークションサイトで販売するなどのケースです。

不用品の売却と同様に、アクセサリー販売の所得が、給与収入がある人は年間20万円以上、働いていない人は年間48万円以上利益があった場合は申告が必要です。ここで注意が必要なのは、「所得は売り上げから経費を引いたもの」という点です。売り上げが25万円でも材料費や郵送費などが10万円掛かっていれば、差し引き所得は15万円ですので、申告の必要はありません。

もちろん、事業として行う場合は売り上げが上がったほうがよいので、非課税限度を気にする必要はないでしょう。非課税範囲に収めたほうがよいのは副業で行う場合のみです。

## 例外的にキャンペーンポイントは課税される場合がある

ショッピングポイントは非課税ですが、例外的に課税されるポイントもあります。クレジットカードの入会キャンペーンで8,000円分のポイントが付与されるようなケースです。入会キャンペーンや抽選で当たったポイントなどはショッピングによるものではないため、値引きには該当しないと解釈されています。

確定申告においては、ポイントを使用した場合、使用したポイント相当額を使用した年分の一時所得として計上します。計算式は、

総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

です。ただし、キャンペーンポイントを付与されても使用しない限り申告の必要はありません。もっとも、キャンペーンポイントが年間50万ポイントも付与されるとは思えないので、ほかに一時所得がない限りは、申告に至るケースは少ないでしょう。

ここまでみたように、不用品の売却とポイント付与は原則として非課税ですが、例外もあるので注意しましょう。とはいえ、上述したようなケースは少数であり、普通に数百円から数千円の品物を売却している程度では課税される心配はないと考えてよいでしょう。

※本記事で紹介した内容は一例であり、収入や条件によって課税の有無が異なる場合があります。参考程度にお考えください。

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