税金
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

不動産投資は、長期にわたって家賃収入を得られるのが魅力です。しかし築年数が古くなって家賃や物件価値が下がってきた場合は売却を検討しなくてはなりません。投資用マンションの売却は、税金がかかることもあるため、売却時の税金計算方法や節税対策について理解しておくことは必須です。

不動産を売却すると譲渡所得に税金がかかる

譲渡所得とは、不動産を売却することによって生じる所得のことです。投資用マンションを帳簿価額より高い値段で売却できた場合、帳簿価額と売却価額の差額が譲渡所得となり譲渡所得に対して所得税・住民税が課税されます。不動産の譲渡所得は購入価額ではなく減価償却後の帳簿価額を基準に計算するのがポイントです。

譲渡所得に対する税金は、分離課税として他の所得と区分して計算します。

不動産投資の家賃収入は「不動産所得」

不動産投資の家賃収入は「不動産所得」に該当し総合課税の対象となるため、給与所得や事業所得など他の所得と合算して税額を算出します。不動産を売却したときの「譲渡所得」と家賃収入の「不動産所得」は、それぞれに税金の計算方法が異なるため注意が必要です。どちらも不動産投資で得られる利益ですが混同しないように注意しましょう。

5年以内の売却は税率が高くなる

投資用マンションを売却したときの税金は、譲渡所得に一定の税率を掛けて計算します。譲渡所得は、売却する不動産の所有期間によって区分が異なり「短期譲渡所得」「長期譲渡所得」の2種類です。それぞれに適用される税率が異なります。

短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い

売却した不動産の所有期間が5年以内なら短期譲渡所得、5年超なら長期譲渡所得に該当します。所有期間は購入日ではなく売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるかどうかで判定。例えば2020年10月31日に購入した投資用マンションの場合、2025年12月31日までの売却は短期譲渡所得、2026年1月1日以降の売却は長期譲渡所得となります。

「購入してから6回正月を迎えたら長期譲渡所得になる」と覚えておくと分かりやすいでしょう。

投資用マンションの譲渡所得の税率

短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率は、以下の通りです。(復興特別所得税を除く)

  • 短期譲渡所得:39%(所得税30%、住民税9%)
  • 長期譲渡所得:20%(所得税15%、住民税5%)

売却する時期によって税率が変わってくるため、売却タイミングを適切に判断する必要があります。譲渡所得が生じない場合は、所有期間に関係なく税金はかかりません。

不動産売却時の税金計算方法

投資用マンションを売却するときの税金計算では、最初に譲渡所得を計算し譲渡所得に所有期間に応じた税率を掛けて税額を求めます。

譲渡所得の計算方法

投資用マンションの譲渡所得は、以下の算式で計算します。

  • 譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

譲渡価額は、売却価額のことで売却によって買主から受け取る金額です。譲渡価額から取得費と譲渡費用の合計を差し引くと譲渡所得が求められます。取得費は、投資用マンションの購入代金です。ただし建物部分は減価償却費相当額を控除します。取得時に必要経費に計上している登記費用や不動産取得税などは取得費に含まれません。

譲渡費用は、投資用マンションを売却するためにかかった費用のことです。仲介手数料や売買契約書に貼る印紙代、売却時に行ったリフォーム代などが含まれます。譲渡所得を正確に計算するために購入時の売買契約書などの関連書類は、大切に保管することが必須です。取得費や譲渡費用に含まれるか判断できない支出がある場合は、所轄税務署や税理士に相談するといいでしょう。

譲渡所得にかかる税金の計算方法

譲渡所得を求めたら税率を掛けて税額を計算します。税率は、短期譲渡所得なら39%、長期譲渡所得は20%です。例えば投資用マンションを売却して譲渡所得が100万円の場合、税額は短期なら約39万円(100万円×39%)、長期なら約20万円(100万円×20%)となります。譲渡所得にかかる税金は、確定申告して納付しなくてはなりません。原則として所得税は、申告期日までに一括納付します。

また住民税は給与から天引きされる金額が増えるか(特別徴収)、自治体から届く納付書を使って自分で納付します(普通徴収)。

不動産売却でかかる税金の節税方法

投資用マンションの売却で税金がかかる場合「なるべく税額を少なくしたい」と考える人が多いのではないでしょうか。ここでは、不動産売却でかかる税金の節税方法を2つ紹介します。

所有期間が5年を超えてから売却する

不動産の譲渡所得は、所有期間によって税率が変わるため、所有期間5年以内で売却すると短期譲渡所得として39%の税率が適用されます。一方5年超所有してから売却した場合は長期譲渡所得となり税率は20%です。不動産は取引金額が大きいため、税率の違いで税額に大きな差が生じます。そのため投資用マンションの売却で節税したい場合は、所有期間が5年を超えてから売却しましょう。

ただし不動産価格は経済情勢や国の政策、人口動態などさまざまな要因に左右されます。不動産市場の動向によっては、売却価格が大幅に下がってしまうかもしれません。長期的に不動産価格が下がると予測される場合は高く売ることを優先し所有期間5年以内で売却することも一つの方法です。

譲渡損失が発生する不動産を一緒に売却する

投資用マンションを売却するときは、譲渡損失が発生する不動産を一緒に売却すると節税になります。不動産の譲渡所得は分離課税であるため、他の所得と区分して税額を計算しなくてはなりません。ただし不動産の売却で譲渡損失が発生した場合、その譲渡損失は不動産の譲渡所得から控除することができます。

そのため譲渡所得が発生する物件と譲渡損失が発生する物件を同じ年に売却すれば損益通算で譲渡所得の金額を下げることが可能です。結果として所得税・住民税の節税になります。投資用マンションを複数所有している場合は、譲渡損失が発生する物件を一緒に売却することを検討しましょう。

長期所有後の売却は予想以上に税金がかかることも

投資用マンションを長期間所有した後に売却すると予想以上に税金がかかることがあります。マンションは、建物部分と土地部分があり建物部分は毎年減価償却を行うため、少しずつ必要経費に算入していくことが必要です。そのためマンションの所有期間が長くなるほど減価償却が進んで帳簿価額は下がります。

不動産の譲渡所得は、売却価額から帳簿価額を差し引いて計算します。長期間所有して帳簿価額が下がると譲渡所得が発生しやすくなるため、まとまった税金がかかる可能性もあるのです。購入価額より大幅に安い金額で売却しても譲渡所得が発生して税金がかかるケースもあります。長期間所有した投資用マンションを売却する際は、譲渡所得が発生することを見越して納税資金を準備することが大切です。

投資用マンションの売却でかかる税金について理解しておこう

不動産投資は毎月家賃収入を得られるため、長期間所有することを前提に物件を購入するケースが多い傾向です。しかし一般的には、築年数の経過とともに家賃や物件価値は下がっていきます。また不動産価格はさまざまな要因に影響を受けるため、状況次第では売却を検討しなくてはなりません。不動産投資を始める前に投資用マンションの売却でかかる税金について理解を深めておきましょう。

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