不動産投資
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都心の中古区分マンションと、東京通勤圏にある隣接した県の中古アパートは比較的値段が近く、投資先として迷う方もいると思います。しかし2つには明確な違いがあり、それを知ればあまり悩まずに選択できるようになります。安全に投資先を選ぶために、まずは基本的な違いを理解しましょう。

都心中古マンションと東京通勤圏の中古アパートの相場

都心23区内の中古区分マンションでワンルームの場合、築10年程度の物件では2,000万円前後が価格相場になっています。さらに築年数が15年を超えてくると2,000万円を切る物件も出てきます。少ない投資額で不動産投資を行いたい方や、高額な投資はまだ慎重に考えたい初心者の方にとっては好条件と言えます。

一方で東京への通勤圏である埼玉県や千葉県といった隣接県で、部屋数が4戸程度の単身者用のアパートであれば、同じの築10年前後で2.000万円から2,500万円程度が相場です。戸数が増えると金額は上がってしまいますが、少ない戸数であれば都心のワンルームマンションにかなり近い金額になります。

隣接県でも価格がさらに安い物件はありますが、都心へのアクセスの悪さから空室が多くなる恐れはあります。まずは都心への通勤距離を確かめてから検討するようにしましょう。

それぞれのメリット・デメリット

金額の近い都心の中古区分マンションと東京通勤圏の中古アパートですが、それぞれのメリット・デメリットを見ると両者のはっきりとした違いがわかります。

種類メリットデメリット
東京通勤圏の中古アパート・利回りが高い
・家賃収入がゼロになりにくない
・売却時の価値が下がりやすい
・突然修繕費が必要になる
都心の中古区分マンション・安定した需要がある
・修繕費があまりかからない
・中古アパートより利回りが低い
・空室になると家賃収入がゼロに

詳しく見ていきましょう。

「東京通勤圏の中古アパート」のメリット、デメリット

・メリット
不動産投資物件としての中古アパートは利回りが高いことと、家賃収入がゼロになる恐れが少ないという2つのメリットがあります。中古アパートは新築物件よりも購入価格が安く済み、しかも中古と言っても家賃は多少安くなる程度です。部屋数が多いことを考えれば、利回りが高くなるのは当然と言えます。

さらに複数の部屋があるため全てが空室になることは考えにくく、1室の所有である区分マンションのように空室になって家賃収入がゼロになる恐れは、かなり少ないと言って良いでしょう。

・デメリット
中古アパートには築年数が経つと売却時の価値が下がりやすく、また突然修繕費が必要になることがあるというデメリットがあります。

中古アパートは木造が多く、鉄筋コンクリート造が中心の区分マンションと比べると耐用年数が短くなります。国税庁の示す耐用年数では木造の住宅は22年、鉄筋コンクリート造の住宅は47年です。このため所有し続けて築30年40年と経った中古アパートは価値が下がりやすく、売却時に思ったような値段が付かないことがあります。

また中古アパートに限りませんが、1棟物件では建物の修繕を行うかどうかは所有者次第です。このため適切な修繕が行われず傷みの多い物件も多く、購入直後に突然大きな修繕が必要になる例もあります。管理組合によって計画された時期に修繕が行われるマンションとは大きな違いとなります。

「都心の中古区分マンション」のメリット、デメリット

・メリット
中古の区分マンションには都心であれば安定した需要があり、また突然修繕費用が必要になることは少ないというメリットがあります。

不動産データリサーチ会社である東京カンテイの2020年10月15日付のプレスリリースによると、2020年9月における首都圏の分譲マンションの賃料は前年同月に比べて増額になっており、コロナ禍があっても需要が大きく落ち込んでいないことがうかがえます。さらに東京の賃料は他の都道府県に比べ高額なことから、家賃収入が期待できることもわかります。

また中古区分マンションは毎月修繕費を積立て、計画されたタイミングで共用部分の修繕を行います。もちろん室内の専有部分は所有者責任で別途修繕を行います。しかし費用が高額になりがちな建物外部は、突然修繕費用が必要になることがない仕組みになっているのです。

・デメリット
中古区分マンションのデメリットは中古アパートに比べると利回りが低いことと、戸数が1つのため空室になると家賃収入がゼロになってしまうことです。

価格は似通っているものの区分マンションは家賃収入先が1つのため、戸数の多い中古アパートと比べどうしても利回りは低めになってしまいます。アパートでは戸数が多いため、実際には管理委託料や設備の改修費などの経費も多くかかります。しかし単純に家賃収入を購入価格で割った表面利回りは、中古アパートのほうが高くなるのです。

また所有する戸数が1つのため、入居者が退去して空室になると家賃収入がゼロになってしまう点も、中古区分マンションのデメリットです。中古アパートは戸数が複数あるため全てが空室になることはあまりなく、家賃収入が途絶えてしまうリスクも低くなっています。そのため区分マンションでは都心の物件を選ぶなど、十分に賃貸需要があるかどうかを見極めることが大切です。

区分マンションは入居者管理をしやすい

物件の入居者管理は、1棟アパートに比べ区分マンションは行いやすくなっています。現実には区分マンションも1棟アパートも、入居者管理は管理会社に任せる場合が大半です。しかし1棟アパートは複数の部屋を抱えるため、区分マンションに比べ入居者のトラブルが発生するケースが多くなり、家賃が回収できないなど思わぬ損失が発生することもあります。

区分マンションでもトラブルの可能性はゼロではありませんが、やはり部屋が1つなので実際に発生することは少ないと言えます。この入居者管理という点では、区分マンションのほうが行いやすいと言って良いでしょう。

中古アパートは資金と経験が豊富な方に向いている

1棟アパートは前述したように築年数が経つと建物価値が下がるため、融資の際に土地の評価だけとなり融資額が希望に満たないことがあります。このため古い1棟アパートの購入にはある程度の手持ち資金があるか、金融機関を納得させるだけの不動産投資実績のある方に絞られることになります。

また資金面がクリアできても、建物状態の見極めや複数の部屋があるゆえの入居者リスク、通勤圏とは言え十分に需要をリサーチできるなど一定の知識や対応力も必要です。部屋数があり購入価格も割安なため高い利回りが見込める東京通勤圏の中古アパートですが、ある程度の資金と経験を持った投資家の方向けの物件と言えるでしょう。

都心の区分マンションは初心者や副業の方に向いている

都心の区分マンションは費用や管理の手間がかからないため、不動産投資初心者や副業で投資を行う方に向いていると言えるでしょう。

都心の区分マンションはワンルームであれば23区内でも比較的安価なものが多く、しかも東京の安定した賃貸需要に支えられ空室が発生しにくいというメリットがあります。また建物修繕は修繕積立金によって計画的に行われるため、中古アパートのように突然修理費が必要になる恐れもありません。さらに資産価値の高さから安定した収入が得ている方なら融資も受けやすく、入居者対応も1室ゆえに管理会社に任せておけば基本的には安心という良さもあります。

このため都心の区分マンションは不動産投資に不慣れな初心者や、本業があり時間が取れない副業投資を行う方に、特に適している投資先になります。

自分に適した投資先を冷静に判断しよう

価格が近い都心の中古マンションと東京通勤圏の中古アパートですが、それぞれ安定して収益を出すようにするには、投資家に求められる条件が異なります。どちらも手頃な価格とは言えあくまで投資ですので、しっかりと特徴を理解した上で適した物件を購入したいところです。

まずは自分の投資経験や資金力を冷静に判断し、その上でそれぞれの物件を専門に扱う仲介会社に相談してみるといいでしょう。