資産運用

(画像=kite-rin/stock.adobe.com)
菊原浩司
菊原浩司
一種証券外務員資格保有、管理業務主任者
お金の不安のない生活をおくるにはマネープランを作ることが有効です。マイホームの取得や養育費の準備、老後資金の確保といった大きなお金の問題に対処するには、資産運用の導入や各種保険を利用したリスクへの備えが必要となっています。日常生活では知る機会の少ないこれらの知識・情報について、分かりやすく解説していきます。

日本と欧米の家計資産の構成割合を確認すると日本では現金・預貯金の割合が際立って多く有価証券の割合が少ない傾向です。現金偏重はインフレに弱いといったデメリットがあり将来の老後資金の準備が不足する可能性があります。そこで政府はNISA(少額投資非課税制度)の導入により家計資産の現金・預貯金を有価証券への移行を促すこととしました。

しかし預貯金などの安全資産と異なり投資活動には元本が保障されないリスクがあり投資活動に結びつけることができず家計資産はいまだに現金偏重の状態が続いています。近年は、クレジットカードの利用により付与されるポイントを利用し投資活動の経験を積むことができるようになりました。今回は、サービスが増加傾向のポイント投資について解説します。

## 投資活動の重要性

2001年以降、日本は物価が下落し続けるデフレーションの時代に突入。デフレ下では物価が下がり現金の価値が上がるため、現金を保有しているだけで投資を行っていることと同様の効果を得ることができます。そのためリスクをとって投資活動を行う必要性がありません。しかし2012年以降はトレンドが変わりデフレの時代は終わりを迎えることとなりました。

それ以降コロナ禍となる2020年までは、アベノミクスなどに代表される一連の経済対策によって好景気が続いており株式や不動産などの資産価値上昇が進んでいます。人生においては、結婚費用・マイホームの購入・子どもの養育費・老後資金など、さまざまなイベントに合わせて資金を準備することが必要です。

しかし今後、仮にインフレ方向へ進んでいく場合は、貯蓄による準備だけでは資金が不足してしまう可能性があります。そのため投資活動による資産形成の後押しが不可欠です。

## クレジットカードのポイントで投資ができる
預貯金などの安全資産とは異なり投資活動にはさまざまなリスクがありますが、最も注意すべきリスクは元本が毀損してしまうリスクです。お金を増やすための投資のはずが目減りさせてしまっては元も子もありません。
投資経験が少ないうちは、ニュースなどによって金融商品の価格が一時的に低下した際、これ以上の損失を避けようと金融商品を慌てて売却・処分する「狼狽売り」を行いやすくなります。

投資活動を成功させるためには冷静な判断が必要ですがその判断力を育てるためには投資経験を積むことが大切です。実際の投資活動に移る前に所有資産に損失を与えることがないようポイント投資を活用して相場観を養っておくことをおすすめします。

## ポイント投資ができるクレジットカード
ポイント投資は、主に以下のような2つのタイプに分けられます。

* クレジットカードなどの利用によって得られたポイントのみを使って投資活動を疑似体験するタイプ
* ポイントを現金化し実際に株式などを購入するタイプ

本章では、ポイント投資が行える主なクレジットカード・サービスを説明していきます。

### UCカードのポイント運用サービス
UCカードの利用によって得られる「永久不滅ポイント」を運用するサービスです。投資方法は「投資信託コース」「株式コース」の2つがあります。

**・投資信託コースの仕組み**
永久不滅ポイントを使用し6種類ある投資信託で運用を行います。選べる投資信託はどれも実際の投資信託と同様の運用方針を備えているのが特徴です。例えば「売買を繰り返し平均以上のリターンを積極的に狙いに行くコース」「投資対象の分散を行ってリスクを抑制するコース」など投資方針に応じて選択することができます。

選択できる投資信託コース コース詳細
日本株(TOPIX)コース 東証一部に上場する国内株式の全銘柄を対象とした株価指数に連動します。
アメリカ株(VOO)コース アメリカの大型株500銘柄の株価指数であるS&P500に連動します。
アクティブコース 外国株式・債券を投資対象とし積極的な売買を繰り返すことで株価指数を上回るリターンを狙います。
バランスコース リスクの低い国内債券を中心とした資産構成を採用したローリスク・ローリターンの投資信託です。
グローバルバランスコース 世界の株式・債券を投資対象としリスクを抑えながらリターンを高めることを目標としています。
資産形成の達人コース 優れたパフォーマンスをあげると期待される世界中の企業の株式に分散投資を行います。

**・株式コースの仕組み**
永久不滅ポイントをストックポイントに交換し選択可能な企業の株価に応じてストックポイントが増減します。ストックポイントが1株分の価値に達したとき実際の株式に交換すること可能です(別途StockPointアプリをインストールする必要あり)。そのため投資信託コースよりも実践的な投資活動を行うことができます。

### 楽天証券のポイント投資
楽天カードなどを利用することで得られる楽天ポイントや楽天証券Pointを利用しポイント投資を行うことが可能です。運用方法は、楽天証券で取り扱われている「投資信託」「国内株式」「バイナリーオプション」の3種類から選ぶことができます。バイナリーオプションは、特定の通貨の為替レートが一定時間経過後に予想レートを上回るか下回るかを予想するものです。

他の運用方法とは異なり成果がすぐに分かる点が魅力ですが、二者択一のためリスクの高い投資方法といえるでしょう。しかしポイント投資であれば所有資産に影響を及ぼすこともないため、こうしたハイリスク投資の経験を積むことができることは大きなメリットです。投資方法は、楽天ポイントを楽天証券ポイントに交換し金融商品の購入に充当しますがポイントと現金を併用することもできます。

## ポイント投資で得た利益はどうなるの?

本来、投資活動によって利益が生じた場合、所得税や住民税などを支払うことが必要になります。しかしポイント投資によって得られた利益の場合は少々複雑です。純粋にポイントのみを運用しポイントによって利益を得た場合は、所得税や住民税は非課税となります。しかしポイントを現金へ交換して実際に株式などを取得し売却して利益を得た場合は、所得税などの申告分離課税の対象です。

この場合、利益に対し20.315%(所得税15%・住民税5%・復興特別税0.315%)が課税されます。(2020年度時点)

## ポイント投資が利用できるサービスは拡大している
2020年7月に三井住友カード株式会社と株式会社SBI証券が業務提携を行い2021年2月以降にVポイントを利用したポイント投資サービスを開始すると発表しました。ポイント投資は、個人の資産形成を促す大事なきっかけとなりえます。今後はキャッシュレス決済の拡大に伴いポイントが付与される機会も増えてくるでしょう。

そのためポイントをただ消費してしまうのではなく「貯めて・増やす」といった視点を持つことが大切です。

## ポイント投資を利用し、投資活動の経験を
実際に投資活動を行い成功するためには、投資経験を積んだり金融リテラシーを高めたりすることが大切です。今回解説したポイント投資は、所有している資産に損失を及ぼすことなく投資活動を疑似体験することができます。また疑似体験といってもポイント投資で運用されている株式・投資信託は、実際に運用されているものと比べても遜色のないものです。

そのため投資経験を積むにはうってつけといえるでしょう。ポイント投資は「純粋にポイントを運用し増加を狙うもの」「ポイントを現金化して実在する企業の株式を取得してしまうもの」の2種類があります。投資活動の習熟度合いによってより本番に近いポイント投資を選ぶことも可能です。今まで「投資は興味があるけど第一歩がなかなか踏み出せない」という人もいるかもしれません。

そういった人は、投資の感性を養うためにもポイント投資で経験を積み今後の資産形成に活かしてみてはいかがでしょうか。

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